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2023年9月分_400文字読書感想文まとめ
Xにて400文字の読書感想文をポストしている。
2023年9月分のポストをまとめた。
目的への抵抗 シリーズ哲学講話 「國分功一郎」
![目的への抵抗表紙](https://assets.st-note.com/img/1696423937464-Vk2gu8IH20.png?width=800)
ポスト日:2023年9月14日(木)
書名:目的への抵抗 シリーズ哲学講話
著者:國分功一郎
人と人間とキャラ(キャラは僕がけ勝手に付け足した言葉)
この本、実は目的は後半に出てくる。しかし、目的という単語になる前の言葉は前半からバンバン出ていた。
アガンベンの語る「剥き出しの生」から、動物としての人を想像した。人は生きるために食べ物を確保し、生きるために戦い、生きるために群れを作る。生きるため、に追われて過ごしている。生きる、それだけを満たせば良い。
後半に消費と浪費の関係が出てくる。二つの違いは、追われるかどうかだと思う。例えば、稼ぐための勉強、は稼がなければならないに追われている、脅迫されている。
政治が進むに伴い人に似た状態が現れた。僕はそれをキャラと呼びたい。キャラは人と違い自己欲求ではなく、社会の要求に追われている。
ここまで書いておいてちゃぶ台返しだが、目的、追うものは不必要なものではない。ただ、現代では強くなりすぎたと僕は思う。
アイスネルワイゼン(文學界10月号)「三木三奈」
![文學界2023年10月号](https://assets.st-note.com/img/1696424144225-P4CKpfVBxu.jpg?width=800)
ポスト日:2023年9月16日(土)
題名:アイスネルワイゼン
著者:三木三奈
掲載誌:文學界10月号
スーツケースの中は空っぽだった。
子を持つ機会のない女と母子らの物語に読めた。
前半は会話劇が続く。どれも子を持つ母と主人公の間でかわされていく。
交わされる話は他愛のないものだ。しかし、子を持つ喜びが節々に差し込まれている。無意識だけに残酷な状況だ。
後半に会話劇の調子が一気になくなる。街をあるき回る主人公が描かれる。
ここにきて主人公の状況ははっきりとしてくる。主人公は辛さを帯びていく。新しい彼氏候補に気づかない。優しくされる妊婦には気づく。最後に、高校生三人組が過去の主人公と友達を思い出させる。
同じラインに立っていた主人公ら三人はもはや並んでいない。無情だ。
そして、ラストで子を宿す機会を持てない辛さを示唆して終わる。
僕は主人公に共感できない。子をなしてもらう側だからだ。ただ、子を持つ以上の楽しみを主人公が見つける未来を祈りたい。
小説の空白に信を置く(文學界2023年10月号)「辻原登 絲山秋子」
![文學界2023年10月その2](https://assets.st-note.com/img/1696424440193-5Lpgb0DLJf.jpg?width=800)
ポスト日:2023年9月20日(水)
対談名:小説の空白に信を置く
対談者:辻原登 絲山秋子
掲載誌:文學界2023年10月号
僕には何も聞こえない。
まずびっくりしたのが、小説を聞く、というフレーズだ。僕は小説を読んでいる時も、(趣味で)書いている時も、音が聞こえた経験なんて頂戴したことがない。僕の頭には映像が流れ続けている。珍しいのだろうか?
決断を茶化さない揶揄しない書き方はなかなか難しい。書いている文章は恥ずかしくて当たり前で、茶化しでもしないと平静でいられない。だからこそ、茶化してはいけないのだろう。その文章こそが何かに隠されている泥である。泥は宝に変わる。曜変天目茶碗のように。
言葉が外からやって来る瞬間を僕も体験したい。というか、体験できる瞬間なのだろうか。その瞬間があった痕跡なら僕にも自分の小説から見つけ出せる。ただ、痕跡はバラバラに引き裂かれているけど。この瞬間に気づく感度を、書きながら読んでいる状態が作っている。そんな奇跡を信じたい。
勉強の哲学 来たるべきバカのために 増補版「千葉雅也」
![勉強の哲学表紙](https://assets.st-note.com/img/1696424789620-6DqjjyKH9U.jpg?width=800)
ポスト日:2023年22日(金)
書名:勉強の哲学 来たるべきバカのために 増補版
筆者:千葉雅也
新書レーベル:文春文庫 ち91
唐揚げ美味しく作るならモミモミ〜♪
作ります、唐揚げを。
唐揚げのレシピを用意します。通常はこのレシピ通りに調理します。
下味を付けます。袋の中にもも肉と調味液を入れて、揉み込みます。
なぜ揉み込むのだろうか。なぜ下味を付けなければならないのだろうか。なぜ味がないと不味いのだろうか。不味いとは何だろうか。
唐揚げはできませんでした。
唐揚げに衣をつけます。パッドに小麦粉を広げます。
小麦粉ではなく片栗粉を使ったらどうだろう。きなこならどうなるだろう。抹茶でも試してみたい。パッドじゃなくてザルに小麦粉を広げてみよう。
唐揚げではないなにかができました。
唐揚げを作れなかったバカ。しかし、このバカは唐揚げの裾野を広げた、来たるべきバカだ。
ただ、無意味まで突っ走らないために、提供時間というこだわりだけは持とう。
ビッグモーター化する世界の中で(文學界2023年10月号)「國分功一郎 若林正恭」
![文学界2023年10月号その3](https://assets.st-note.com/img/1696425156496-v2cOwIaYPX.jpg?width=800)
ポスト日:2023年9月24日(日)
対談名:ビッグモーター化する世界の中で
対談者:#國分功一郎 #若林正恭
掲載誌:文學界2023年10月号
誰でも修行によってブッダになれる。
電車に乗っていると、広告をつい読んでいる自分が現れる。塾に転職、脱毛の広告は、勤勉な牧羊犬みたいに、追い立てる。もしかしたら、追われた先でブッダになれるかもしれない。なら追ってくる牧羊犬はすでにブッダだろう。こんなことはありえない。
本来なら、行動はタガによって有限になっている。よって資本主義の成長も有限になってしまう。じゃあ、追い立ててタガを外してしまおう。ビッグモーターは社員のタガを追い立てによって外した。結果、保険金詐欺を行い、街路樹をからした。もう一度広告を見る。ここにはビッグモーターがいっぱいだ。
考える時間は重要だ。考えればタガをかけ直せる。しかし、資本主義は考えさせないよう追い立てる。
良く生きるとはなにかは、個人的な問題であるはずだ。資本主義に任せっきりはまずい。引き取って育てる時間を持とう。
ボーっとせずに生きてんじゃねーよ!
きのう下田のハーバーライトで(すばる2023年10月号)「篷菜竜太」
![すばる2023年10月号](https://assets.st-note.com/img/1696425531840-D3qD7tlGh7.jpg?width=800)
ポスト日:2023年9月27日(水)
書名:きのう下田のハーバーライトで
著者:篷菜竜太
出版社:すばる10月号
教祖と信徒。
教祖と信徒なんて書いたが、夢を与える者と夢を受け取りたい者の物語といったほうがいいかもしれない。
物語の中に宗教が大きく関わってきている。しかし、上の関係を表すために使っているだけだ。だから、宗教自体に意味はない。
主人公の親が宗教人でお金がある点と、だから家から出たい点から、血の才能と血から逃れる欲求が見えた。しかし、主人公は、運命的に、血の才能で食い、血から逃れられなかった。
一方で、相棒の中身はよく見えなかった。捧げ物を献上し続ける信徒によく似ていた。
対等な関係を望んでいた。しかし、だんだんと信者と教徒の関係になってしまう。一度リセットしても、対等な関係は、悪意なく、その関係へ向かって行ってしまう。良かれと思っての地獄だ。
だから、関係が崩れた直後に訪れた対等な関係に、喜びを見出したのだろう。
ゴリラ裁判の日「須藤古都離」
![ゴリラ裁判の日表紙](https://assets.st-note.com/img/1696425820626-fzjisgKjw4.jpg?width=800)
ポスト日「2023年9月30日(土)
書名:ゴリラ裁判の日
著者:須藤古都離
出版社:講談社
権力を奪われた者
世の中には様々な権利がある。それだけ権力もある。権力は強い者だけの特権ではない。
人権だって権利だ。人権があるから、人間らしく生きさせない力に抗う権力を持てる。
この本の主人公はゴリラのローズだ。人権がない。つまり、人間として力に抗う権力を生まれながら奪われている。
権力を奪われた者は、他者にとっていいように扱えるコマとなる。ローズもツアーの目玉にされたり、政治の道具として扱われたりされた。
しかし、ローズはこれらを受け入れていた。権力を奪われている状態を知らないからだ。
権力を奪われている状態は、日本の労働でも見られる。
会社で労働組合が機能していなければ、団体交渉権などに紐づく、会社に抗う権力を得られない。つまり、権力が奪われている。
権力を奪われないように動く必要がある。裁判の前例を積むように。
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