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『ひとすじ』のいきさつ

こんにちは。ひとすじメンバーの後藤です。
今回はインタビュー記事はおやすみ、プロジェクトのヒストリー編です。
(前回のヒストリー編:「ひとすじ」を一人ではなく、チームでやる理由

なぜ『ひとすじ』というタイトルに辿り着いたのか、その裏側を書いてみたいと思います。

言葉や名前の説明をすることは、時に野暮だったりします。
名前って、その名前がついた瞬間から、何故だかはじめからそれ以外なかったみたいに思えてくるからです。

『ひとすじ』も、今となってはある意味そういう言葉のように思います。

だけど、そんなことを言いつつ、メンバーのみんなにタイトルを提案した時の資料を見返したら全然45案くらいあって。
だからきっと、どのタイトルになっていても、今はそういう気持ちになっていたのかも知れません。

タイトルを提案した日の1枚

50年以上、ひとつの仕事を続けてきた人を写真におさめる。
このプロジェクトのことをはじめて聞かせてもらった時、明確に一番衝撃だったエピソードがありました。
「ひとつの仕事を続けているからといって、必ずしもプラスの感情を語る人ばかりではないんです。」というお話。

それまで私は、「長くひとつのことを続ける」=「満足している、納得しているから」なのだろうと思っていました。
夢があって、ロマンがあって、しかもそれがある程度叶っていて。だからこそ50年続けてきた、輝かしい姿のかたまりなのだろうと信じ込んでいました。

だけど、もちろんそういう方もたくさんいるけれど、全員の50年がおしなべてそうだったわけじゃない。
続けてきた人もいれば、続けざるを得なかった人もいる。
取材させていただいた25人の方々には必ず、25通りの50年の理由があるのだと知りました。

取材記事もあと11名のエピソードを公開予定です。

私は、すべての取材に伺えたわけではありません。
だからこそ、話伝いで想像する25人の姿の奥に、さまざまなものを見ることができたように思います。

皆さんがこれまで生きてきた、人生の紆余曲折。
巧みに築いてきたであろう人間関係。
たくましい背中。
語り切れない、数え切れない苦労。
きっともうわざわざ思い返すこともない涙。
それでも、時々見ていた(らいいなと私が勝手に願う)光。

そういうものを絶対に裏切らない言葉を、見つけたいと思いました。

そして、25人それぞれの姿があって、
その共通点はただひとつ、文字通り「50年以上続けている」ことで。

だからタイトルは、そのしたたかさを伝えられる言葉であってほしい。

それが、『ひとすじ』でした。

提案当時の資料をスクショしてみました

そんなことを言いつつ、他にも45案くらい出していたんですけどね!

名前が決まってから、メンバーのみんなはこのプロジェクトのことを当たり前のように『ひとすじ』と呼ぶようになりました。
あまりにも当たり前のようなので、いつの間にか恥ずかしさもなくなったけれど、はじめのうちはそこらじゅうで我が子の名前を叫ばれているような気持ちで、緊張したことを思い出します。

何かに名前をつけさせてもらうというのは、何度やっても、身の引き締まるものだなあと思います。

この作品が1冊にまとまって、もっといろんな方々に届くこと。
『ひとすじ』という言葉とともに、25人の皆さんの姿が刻まれること。
この上なく、誇りに思います。

作品の完成をぜひ、楽しみにしていただけたらうれしいです。

書き手:後藤 花菜
編集:新野 瑞貴
監修:中村 創

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