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【ドラえもん のび太の宇宙小戦争2021】
2022年3月4日公開の、大長編ドラえもん第41作となるアニメ映画。1985年の第6作『のび太の宇宙小戦争』のリメイク版にあたる。
本来は標題通り2021年の公開予定だったが、新型コロナウィルス禍の影響で1年公開が延期された。
ストーリーは、地球に亡命してきたピリカ星人パピという手のひらサイズの宇宙人と友達になったのび太達が、彼を追ってきたピリカ星の独裁者ギルモアの軍とレジスタンスの戦いに巻き込まれる。
延期後の公開時期が偶然にもロシアによるウクライナ侵攻と重なり、ネット上では現実の侵略者に抵抗する市民の姿を本作に見出した人も多く、リメイク前から名作とされていた本作の評価をさらに押し上げた。
現在上映中の『映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争 2021』は『ドラえもん のび太の宇宙小戦争』(1985年)の新版で、もとよりウクライナ問題前に制作された作品ながら、藤子・F・不二雄先生の透徹した人間のあり方への視点が時代を超えた普遍性を備えていることを物語っているのかも知れません。 https://t.co/7N9kvhzW1c
— Yusuke Suzumura/鈴村裕輔 (@yusuke_suzumura) April 10, 2022
宇宙小戦争2021みた。
— 🐝看護師のおとも📚 (@99emergencycall) March 5, 2022
コロナで1年延期したところに、此度のウクライナへの侵攻が加わって現実とのシンクロがやばくて冒頭からずっととんでもないことになってる。 https://t.co/8gO1roQMgp
この名作に対して、日本共産党の大和高田市議・向川まさひで氏が次のような投稿をした。
![https://twitter.com/muka_jcptakada/status/1517542634457546752](https://assets.st-note.com/img/1651032306079-gM61WssZ2P.png)
一応後続するツイートでは「バランスを取った風」のエクスキューズを残してはいるものの、要するに「戦争賛美だ!」というパターンの批判である。
もちろんこのツイートは多くの人の賛同を得られず、大量の批判的な引用リツイートがついた。中でも多かったのは、ドラえもんの映画で彼らが武機を持って敵と戦うのはいつものことではないか?というものである。
宇宙小戦争だけが目を付けられたのは、ただの偶然なのか、他に理由があるのだろうか?
おそらくは後者である。
というのは、普段ドラえもんたちが劇場版で戦うときに持つ武器は、ドラえもんが直接ポケットから取り出すSF的なアイテム(「空気砲」「ショックガン」「瞬間接着銃」など)や、あるいは舞台(『パラレル西遊記』や『夢幻三剣士』など)に合わせたファンタジー風デザインのものである。
しかし本作でのび太たちが使う武器は、スネ夫のラジコンを改造した戦車なのである。のび太たち自身もスモールライトで小さくなり、地球風の戦車に乗り込んで小型宇宙人の兵器と戦うという展開になる。
つまり現代の軍隊や自衛隊と同様の武器を使っているのだ。
向川氏が日本共産党の議員であることを考えると、おそらくこの点が向川議員の言う「親御さん」ひいては本人の嫌悪感を刺戟したのだろう。
日本共産党の実質的な下部組織である【新日本婦人の会】は、【静岡ホビーショー】をはじめとする自衛隊のイベント参加や、乗り物図鑑【はじめてのはたらくくるま】に自衛隊の車両等が出てくること、果ては【やいまふれあいコンサート】で自衛隊の楽隊が演奏することまで抗議している。
おそらくこの「親御さん」も新日本婦人の会メンバーか、それに近い思想の持主だろう。
要するに「自衛隊アレルギー」がその本体なのだ。
それは向川氏のツイート自体に、しきりに「武器」という言葉が登場することでも分かる。
「のび太たち子どもが武器を取り軍隊と戦うという展開が耐えられない」
「子どもが武器を撃つのを楽しく見れない、見せたくないと。」
「子どもが武器を取ることはやはりあるべきでなく、そこに敏感であることは正しい。」
一般にも「戦う」ことを「武器を取る」と表現したりはするが、それにしたって「武器」というワードの出現頻度が高すぎる。
この「武器」の多用は、彼らの実際の嫌悪源である「現代風兵器」を、それを糾弾するとあまりに政治思想が露骨になると思って言い換えた結果だろう。
こうした政治的党派性の向川氏らの動機を推測すると、おそらく本作がウクライナ侵攻と重ねられて評価されたこととも無関係ではないだろう。
共産党に代表される教条的な反戦主義者達の、自分達さえ反戦平和に徹していれば戦争など起こらないとする「憲法9条」的な思想にとって、ウクライナの現実はきわめて不都合なものであったからだ。
なお、本作が戦争をむやみに賛美するものではない、恐ろしく危険なものだということは、スネ夫が繰り返し恐れを吐露する形で何度も描かれている。
![](https://assets.st-note.com/img/1652042614670-09K9WQbCY6.png)
スネ夫のこういう役回りは、大長編ドラえもんの第1作『のび太の恐竜』にも見られたものだ。
彼は危険な恐竜時代での冒険から逃れようと、ピー助と引き換えに現代に帰してくれるという悪役・恐竜ハンターとの取引に応じることを提案する。
![](https://assets.st-note.com/img/1651032727496-QvKzh8bjH0.png)
『恐竜』『宇宙小戦争』での彼は、単に観客に馬鹿にされるべき臆病者としてだけ存在するのではない。
作中の状況がどれほど危険で深刻なのか、それを一般人の目線から捉え直し、観衆に伝える役割を担うキャラクター。それがスネ夫なのだ。
命を懸けて戦う「戦いの物語」を、楽しく憧れるものとして提示することは、こうした矛盾を孕むものだと思う。もちろん、これは教育に良いものか悪いものか、見せるべきか見せざるべきか、というような単純な是非論ではなく、両面的に見て、子どもには丁寧に説明するべきだ。
— 向川まさひで (@muka_jcptakada) April 22, 2022
向川氏は後段のツイートで言い訳のようにこう述べているが、そのような「楽しく憧れるだけではない」視点はすでにスネ夫によって十分に提示されているのである。
最後に『ドラえもん』という作品そのものも繰り返し戦争批判が描かれていることを紹介しておこう。
![](https://assets.st-note.com/img/1651034950801-J69z1rSdQM.png)
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![](https://assets.st-note.com/img/1651035367608-uCdYLiYd1E.png?width=800)
参考リンク・資料:
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