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『”オープンレター”醜聞記』2022-1-24

※本ページはセンサイクロペディア【呉座勇一】の項からも転送されます。

「オープンレター」という言葉がネット界隈を騒がせている。
 本来は英語で、多くの読者に対する呼びかけ、あるいは特定個人宛ではあっても多くの読者に読まれることを最初から想定して書かれた「公開書簡」のことである。
 しかし2022年1月現在、ネット界隈でオープンレターというと、歴史学者の呉座勇一氏のツイッター発言に端を発する「オープンレター 女性差別的な文化を脱するために」という特定の”オープンレター”のことを指している。
 これである。

 ざっくりいうと「呉座勇一という歴史学者はとんでもない差別主義者だ!そいつと仲良くしていたり同じような発言をするネット民もそうだ! そいつらを仲間外れにしようぜ!」という内容である。

 レターというがこの場合は賛同人を募っており、実際に人文系の大学人を中心とする1300人を超える賛同人が集まってしまったのだから、事実上の署名運動である。
 そして「ネット界隈を騒がせている」と書いたものの、発足から1年近くが経過した2022年1月現在、一般ネット民にとってはむしろ見物の対象であり、本当に戦々恐々として真の意味で大騒ぎになっているのは、このオープンレターによって呉座氏を事実上の失職に追い込んだはずの、署名した「人文系アカデミア」界隈のようなのである。
 というのは、2021年10月に呉座氏が、オープンレターもその理由の一つとして不当な懲戒をされたとして所属する国際日本文化研究センターを提訴したこと(つまり、オープンレター関係者に法的責任が被さってくるおそれが出てきた)、そして翌2022年1月にその署名に氏名の冒用をされている例が複数発覚したこと。
 さらにはオープンレター中心人物のひとりで、呉座氏の発言の「被害者」とされる北村紗衣氏が、自身やオープンレターに対する批判(するおそれのある)者に弁護士等を介して現在進行形で圧力を掛けまくり関連情報の削除などもしまくっており、その情報統制ぶりが逆に問題になっていることである。

 時系列はこちらにまとめておいたので、随時確認していただきたい。

 この流れはかなりややこしいのだが、一連の流れを非常にかいつまんでいえば
「呉座勇一氏のネットでのフェミニスト批判を、針小棒大に『アカハラ』『差別発言』と騒ぎ立てた騒動が、彼を社会的に追放するような署名運動にまで発展し、逆に訴えられかねない状況になっている上、最近になって署名の不正まで発覚した」
 ということだ。

 最初から話すとしよう――話は、2020年の3月にさかのぼる。

1.呉座勇一鍵垢事件

 呉座勇一氏は、日本中世史を専門とし『一揆の原理』などのベストセラー書を出している歴史学者。国際日本文化研究センターの助教であった。氏はツイッターユーザーであったが、以前から俗に「鍵垢」と呼ばれる非公開ツイート機能を用いており、フォロワーのみに発信先を限定していた。
 そこでの会話にはいわゆるフェミニストや左派界隈に対する批判的なものも数多くあった。そこで批判されていた一人が、ハンドルネーム「さえぼう」こと北村紗衣氏。こちらは武蔵大学の准教授で、専門はイギリス文学なのだが、早い話がフェミニストでもある。 

 そして呉座氏は現代のフェミニズムのあり方について批判的な考えを持っており、その意見を何度もフォロワーに開陳していた。その批判対象者の一人に北村氏も入っていたのである。
 ただしその多くは一般的な批判や疑義、苦言などであり、悪口に類されるものもあったが他愛のないものがほとんどであったと思われる。
「思われる」というのは、呉座勇一氏本人が後述の騒動でツイッターアカウントを削除してしまったこと、そして残った記録も、おそらく北村紗衣氏側が同事件を記録した様々なサービスに削除要求を繰り返して、残った発言のデータが少ないからである。
 残ったものをできるだけ画像にして掲載していこう。
 フェミニズム・左派批判についてはこんな調子である。

 発掘した限り、ほとんどのツイートはフェミニズムその他への批判や疑問としてはそれほどおかしなものではなかった。過激すぎるわけでもない。

「女性漫画家~」に至っては、これが懲戒理由の一つであると呉座氏が明かしたものである。
 偏見であろうが、ごくごく他愛のないものだ。男女を逆に考えればこんな「日本アニメにはこんなポリコレな表現がない!遅れてる!」「こんなのオッサンが考えたに決まってる!」程度のツイートはフェミニストやポリコレ信者側から日常的に垂れ流されている。
 だからといってせいぜい反例を貼り付けられまくって終わりである。それで職を失うフェミニストなどいない。
  
 ただ唯一筆者の視点から「それは言い過ぎだろう」と思われたのはこれである。

 これにしても「金持ちの問題よりも一般庶民におけるジェンダー差別が大きな問題ではないか」という話であって、最後の一文が言い過ぎなだけで大筋では分からなくはない。筆者はこれについて呉座氏とは別の考えを持っているが、それはまた別の話、いつかまた別のときに話すことにしよう。
「女性の社会学教授」といった地位を典型とする金持ちのインテリ女性が喜ぶイデオロギーばかりが先行し、より弱い立場の人のことを考えていないこと、これは後述する【#TOKYO女子けんこう部】についての発言にも通底する、呉座氏のフェミ批判の基本姿勢であると思う。
 こうした批判は反フェミニズムというよりも、むしろジェンダー問題に理解をしめす人々の反省点として近年言われてきているものである。

 というか、そもそもこれらの発言は事件に対する一般的な考えの吐露であって、北村氏などの特定個人についてのものではない。北村(さえぼう)氏は実際何を言われてきたのだろうか。

 これらのうち、最初の「何を根拠に言っているのか、それこそ妄想じゃん」という発言を、スクショを取って北村氏本人に「御注進」した者がおり、それがその後の呉座バッシングに繋がっている。

 しかし、ずいぶん余裕のある態度である。この後の「被害者しぐさ」からは嘘のような状況である。
 実は当初このように、北村紗衣氏の反応はこのように余裕のあるものであったのだ。第三者から見ても、たとえば関西大学商学部の岩本明憲教授はこのように語っている。

 他の人の感想もこんな感じである。

 では、なぜこんなものが呉座氏の追放と「人文系大学人を中心とした1300人もの”オープンレター”」にまで発展したのだろうか。

2.創作されたハラスメント

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