キジバトたちの子別れ

顔馴染みのつがいのキジバトが

仲睦まじく並んで餌をつつく

いつもの平和な風景

それが一変　今朝はどことなく緊張感が漂う

少し小柄なもう一羽がそばに寄ると

つがいの片割れが激しく威嚇し追い立てる

追っては戻り、戻っては追い

梢の間を繰り返し飛び渡る

ナワバリを守る行動は見慣れているが

今朝の相手はどうやら恋敵ではなく

巣立って間もない我が子らしい

よく見れば尾羽のあたりには白い産毛

昨日まで優しく慈しまれていたろうに

今日突然に突き放されて

ただただ戸惑いながらそれでも

何度もそばに寄ってきては

その度激しく追い立てられる

幾度めかの追いかけっこの後

その幼鳥は少し離れた梢に止まり

途方に暮れたようにこちらを眺め

やがて　意を決したように

どこかへ飛び立っていった

残ったのは

何事もなかったかのように餌をつつく

穏やかなつがいの姿

どことなく寂しそうに映るのは

わたしの勝手な思い込みか

森を満たす初夏の風と木漏れ日の中

繰り広げられた生命のドラマの一幕を

記憶に残す今日

五月五日　端午の節句

夏立つ日　巣立ちの日