「異端の鳥」鑑賞後メモ

・ひとりで生きていこうとする中で出会う人が与えてくれた「小さな(時には命懸けの)善意」に生かされながら命を紡いでいく。繋いでもらったから、ただそれだけのために生きるのも尊いことなのかもしれない。
・宗教、イデオロギー、性愛、友情それら全てが「取るに足らないもの」として心の中で相対化されざるを得ないほど壮絶な体験を経た末に、主人公は「倫理的な視点」に帰着する。そして優しさも暴力性も備えた自分を知る。
・ひとの思いや祈りが及ばないような不条理さ、大きな力の象徴としての「炎」と、それとは対照的に脆くて小さいが空を自由に飛ぶ羽根を持つ「小鳥」と言うモチーフの対比がある。
・自分の意思とは関係なしに苦しむ運命を仕組まれた「色のついた小鳥」、単独で飛ぶにはあまりに危険な「無色の空」、鳥の群れがいない開放的な場所に小鳥を放つ「優しい手」
・定期的に見返したい。3時間弱、辛いことばかり起きるが、ストーリー自体はすごくシンプルでセリフも少ない映画なので観やすさも担保されている。
・本編とは関係ないけれど、こういう映画を見るといつも「飯を大事にしよう」という気持ちがやたらと強くなる。「チャーリーとチョコレート工場」を読んだり観たりした時も同じ気持ちになった。

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