見出し画像

スタートアップ支援を強化する日本政策金融公庫の新たな融資制度



(1)はじめに

日本政策金融公庫は2024年4月1日、スタートアップ向けの融資制度を大幅に拡充しました。政府が掲げる「スタートアップ育成5か年計画」の一環として、新規開業資金の融資限度額を従来の2.4倍に引き上げるなど、起業家や若い企業への支援を強化しています。
本稿では、2024年4月に実施された新たに制度改定を中心に解説します。

※記事内に添付した資料は、日本政策金融公庫ニュースレターより抜粋添付させていただいております。

なお、日本政策金融公庫融資の概要などを確認したい方は、以下をご覧ください。

(2)日本政策金融公庫のスタートアップ支援の領域

日本政策金融公庫では、国民生活事業と中小企業事業の2つの事業が、それぞれ、シード→アーリー→ミドルに至る幅広い領域のスタートアップの融資支援を行っています。

(3)日本政策金融公庫の創業融資・新制度(新規開業資金等)

新たな融資制度「新規開業資金」の主な特徴は以下の通りです。

①要件:創業時における、創業資金総額の1/10以上の自己資金要件が撤廃
②融資限度額:融資限度額が、7,200万円(運転資金は4,800万円)に拡充
③返済期間:運転資金の返済期間が10年以内に延長(据置期間も最大5年以内に延長)

新規開業資金を、無担保・無保証人で、新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を2期終えていない方がご利用する場合の新旧対照表は以下の通りです。

これにより、創業間もないスタートアップがより柔軟な資金調達を行うことが可能になります。特に、自己資金要件の撤廃は、資金面で障壁を感じていた起業家にとって追い風となるでしょう。

ただし、自己資金要件が撤廃されたからと言って、多くのスタートアップベンチャーが多額の融資を受けられる訳ではない点は留意です。
あくまで、融資を受けられる裾野が広がったイメージかと思います。

(ご参考)
スタートアップ支援資金は、2024年2月に、既に拡充が実施されています。

(4)シード期のスタートアップと創業融資

今回の制度拡充は、特にシード期のスタートアップに大きな影響を与えると考えられます。
通常、シードラウンドは、ビジネスモデルが決まり、必要最低限の製品プロダクト(=MVP)の作成や仮説検証など市場ニーズの検証を行う段階です。
そして、資金調達は500万円~5,000万円程度に収まることが多く、7,200万円もの無担保・無保証融資は、十分な資金と言えます。

なお、シード期のVCの役割については、VCは資金提供だけでなく、経営支援やネットワーキングなどの面でもスタートアップの成長を後押ししすることため、その役割の違いから、新制度とVCの協働が今後進むと考えられます。

(5)日本政策金融公庫のスタートアップ支援拠点の設置

日本政策金融公庫は、スタートアップ支援の拠点を東京、名古屋、大阪、福岡の4都市に設置することも発表しました。
シード・アーリーステージのスタートアップを主な対象とし、民間金融機関やVCと連携しながら、融資相談をはじめとする支援を行っていく方針です。

資金調達や資金繰りに悩むスタートアップにとって、これらの支援拠点は心強い味方になるでしょう。経験豊富な専門家からのアドバイスは、事業の成功確率を高める上で、重要な役割を果たすと期待されます。

(6)まとめ

日本政策金融公庫の新たな融資制度では、融資限度額の拡大や自己資金要件の撤廃により、これまで以上に柔軟な資金調達が可能になり、スタートアップにとって大きなチャンスをもたらします。
同時に、支援拠点の設置により、資金面だけでなく経営面でのサポートも拡充されます。
こうした政府の支援策を活用しながら、より多くの起業家がスタートアップに挑戦し、イノベーションを生み出していくことが期待されます。
日本のスタートアップ・エコシステムが一層発展し、日本経済を牽引する事業が多く輩出されることを期待します。

ぜひ、みなさまの、起業・経営のご参考にされてください。

代表X(Twitter)もぜひフォローしてください!



よろしければサポートお願いします! いただいたサポートはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!