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「反省させると犯罪者になります」を読んでみた①

とってもセンセーショナルなタイトルの本を読んだ。
その名も新潮新書の「反省させると犯罪者になります」。
岡本茂樹さんという刑務所などで受刑者の更生支援などに携わっている人の本だ。

SNSである人が本書を投稿しているのを見て、少し気になったので書店で購入。
読み始めてみると「あなたは私か?」という事例が多数あり、あっという間に読み終わった。

抑圧されたストレスが爆発をして「問題行動」につながっている

反省させてはいけない理由として「問題行動」の背景にこそ本当の課題(親との確執や甘えられない環境、男は強くあるべきのような価値観の刷り込みなど)があり、その抑圧されたストレスが爆発をして「問題行動」につながっている。

そのため、反省文を書かせても「反省させたつもり」で、根本の部分を解決できていないので、上辺だけで、本人はまったく「反省」していないということらしい。

反省文を書かせれば書かせるほど抑圧は強くなる

むしろ、反省文を書かせれば書かせるほど抑圧は強くなるという。
確かに心当たりがある。
私も、子どもの頃よく親に不条理に叱られたり、怒鳴られたりしたことがある。
わけがわからないので「反省をしたふり」をする、自分が悪いことをしていると自覚がある場合でも、この「反省をしたふり」でその時間が早く終われば良いと思っていた。「ごめんなさい、もうしません」と心から言ったことはないかもしれない。
心にもないことを言わされていることがストレスであり、〝お前(親)が悪いからこうなったんだろう〟とすら思っていた。
正しいことも間違っていることも、親の価値観で決まる。
私の視点では見えていないモノが勝手に正義となり悪になる。
この支配からどう抜け出そうか、早く大人になり、自由になりたいと本気で思っていた(尾崎豊かw)。

犯罪者にならなかった〝私〟と犯罪者になった〝あなた〟

私は、本書に出てくる犯罪を犯した人と似ている。
同じではないけど、共通すること、わかることがいっぱいあった。
親は「りっぱにしつけて」いるつもりだったんだろう。
しかし、私は抑圧されて苦しかった。
私も一歩踏み外せば、犯罪者だったんだと怖くなった。
本書にも書いてあるけれど、反省させられ、りっぱにしつけられた子は、その抑圧から、犯罪者になるか心の病になる可能性があるという。
結果、私は心を病んでしまったけど、本書に出てくる犯罪を犯した人と私にはたいした差は無い。
親がストレスで仕方なかった学生時代を振り返りながら、こういう人って多いだろうと感じる。

そして、それは世代間連鎖をするということも恐ろしいことだった。
親もまた親(祖母祖父)にそういう風に育てられているから、どんどん負の連鎖が続き、いづれ子や孫が犯罪者になる、ということらしい。
だから「反省させてはいけない」「りっぱにしつけてはいけない」と。

そういうことを知れただけでもこの本を読んだ価値があった。
もし心当たりがある人は読んでみると何かスーッと腹落ちすることがあるかもしれない。
生き方そのもの、人との付き合いかたを変えるきっかけになるかもしれない。
犯罪被害者や親との確執がある人は受け入れられないかもしれない、もちろん受け入れなくて良いとも思う。
私も親を全面的に赦すことはできない。
でも、自己理解を深めると少しだけ生きづらさの理由を知ることができる。

お子さんがいる人は、もっと違った視点で読めるだろうし、世の中が多様性へとアップデートしている昨今では、この本に多くのヒントがかくされているように思った。

明日はこの続き、生きづらさと孤独・孤立の話と人とつながることについて書いてみる。


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