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一人暮らしを始めて3日目のアパートでめちゃくちゃ怪しい男に遭遇した

新しいアパートに入居してまだ3日目の夜。

今日は新しい仕事の初日だった。初日と言うことで今日は会社や仕事についての説明と座学だけで1日が終わったけれど、久しぶりのガチガチにルールで固められた組織に入るとなると、おびただしい量の契約書やらルールの説明ばかりでヘトヘトに疲れてしまった。

仕事は定時で終わったけれど、帰ってから仕事で必要だと言われたものを買ったり、食材の買い物をしたりして、それから家に帰りシャワーを浴びてやっとハイボールを飲みながら一息ついた頃にはすでに21時を過ぎていた。

俺は煙草を吸うのだが、最近の建物が全部そうなように、この部屋の中は禁煙だし、俺の部屋は2階なんだけど部屋にベランダはない。なので煙草を吸うときには一度玄関を出て2階の通路で吸っている。

このアパートの向かい側にもアパートがあり、俺が煙草を吸いに外に出ると向かいのアパートの部屋からいつも猫ちゃんがこっちを見ていて、俺が煙草を吸っている間、俺達はじっと見つめ合ってテレパシーで会話しているのが俺のこの数日の楽しみだった。

「今日はあの子出てこないなぁ」

ベランダの縁に肩ひじをつきながら煙草をふかし、ぼんやりと向かい側を見ながら少し寂しさを感じ、煙草を吸い終わって灰皿に捨てようと思ったら誤って煙草を下に落としてしまった。

「あれ、落としちゃったな…仕方ない、取りに行くか」

落としてしまった煙草を拾うために1階に降りて、自分の部屋の下の方に向かって歩いて行くと1人の男がいることに気づいた。男は何やら下の階の部屋あたりでうろついていた。でも俺の存在に気づくと、逃げるようにすぐに振り向いて歩きだした。すれ違いざまにチラッと目が合う二人。少し歩いてなんとなく怖くなって振り向くと、その男は通路を渡りきったところでその男もこっちを振り向いて見ていた。

「えっ?なに今の人?怪しすぎる…覗きか?なんでこっち振り向いてんの?」

一抹の恐怖を覚えながらも、落としてしまった煙草を回収し、俺も自分の部屋に戻ろうと、今歩いてきた道を戻ってく。

階段を上がりきり、通路に出るとさっきの男が通路の奥の方にいて、俺の部屋の2つ隣に入っていった。男はこっちをかなり気にしている様子で、時折こっちに振り向いては目が合いながらも逃げるように去っていった。

「えっ?あいつここの住人なの!?じゃあ何で下の通路にいたんだ?明らかに下の階の部屋の様子を伺っている様子だったし、怪しすぎる」

俺は恐怖を感じた。

あの男はあそこで一体何をしていたんだろう?ストーカー?覗き?
一瞬のうちに様々な考えが頭の中を巡りながらも2階の通路を歩いていて、自分の部屋に戻って部屋に入ろうとドアを開けようとしたとき、すぐ近くでまたドアの開く音が聞こえ、振り向くとさっきの男がこっちの様子を確認してすぐにまたドアを閉めた。

「えっ?なに今の!?あいつ、俺がこのアパートの住人だと確認し、さらに部屋まで確認したのか?怖っ。あいつ怪しすぎる…」

自分の部屋に戻り、玄関を閉めて様々な思考が巡っている中、ふと自分の様子にも気がついた。上半身ハダカでロン毛に裸足。ついいつもの癖で、ほんの少しとはいえこんな格好で外を出歩いていた。

あれ?これはもしかして…
はたから見たら俺の方が怪しい?

思えばさっきの怪しい男も明らかにこっちを警戒している様子だったし、シンプルに向こうも向こうで俺のことを怪しいと思ってあんな怪しい動きをしていただけかもしれない。日本人的な観点から見てどっちが怪しいかと聞かれたら、100人中100人が、俺の方が怪しいと答えるような気もする。

あの男の風貌はいたって普通と言うか、さっぱりとした短髪にハーフパンツ、T‐シャツといった感じだった。ぱっと見では普通のどこにでもいるサラリーマン、と言った感じ。かたや半裸でロン毛にヒゲで外をうろついている男。

だが、人は見かけで判断してはいけない。
キリストの風貌を思い出して欲しい。彼もロン毛にヒゲだし、時代的な背景もあるが、半裸みたいな格好で描写されることも多い。

これ、客観的にどっちが怪しいですか?

ぜひ、あなたの意見をコメント欄で聞かせてください。


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