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デザインの効き目ってどこだろう?

こんにちは、ディレクターの森岡です。
今回はヒトノハが普段考えている、デザインの効き目ってどこにあるんだろう?という話を少し深めていきたいと思います。

地方でデザインを提供する仕事をしていると、デザインにお金をかけるってなんだかもったいない……というような感覚の人と出会うことも多くあります。そんな実感の中で「私たちのデザインの価値って何??」「どこに効き目があるの??」という問いを日々思考している訳でございます。

今回はデザインの結果生まれる効果に視点をあてて、私たちが日頃意識していることの概要を紹介したいと思います。



人と人の間をつなぐ

ヒトノハ サービス紹介資料から抜粋

デザインをつくるとき、私たちは3つのタイプの受け手となる人たちの顔を思い浮かべています。それが「クライアント」「ユーザー」「社会」です。この3つのタイプの人たちに対して、デザインすることでどのような「豊かさ」を生み出すことができるのか、そんなことを考えるわけです。

クライアント(デザインを提供する、いわばヒトノハのお客さん)に対しては、デザインがあることで営業成績が伸びたり、企業の知名度が上がったり、印象がよくなって採用に役立ったり……そんな、企業活動を持続可能にしたり成長させるような成果を生み出すこと。

ユーザー(クライアントのお客さん)に対しては、このデザインを通してクライアントの商品やサービスについてよく理解することができ、購入や利用、拡散、コミュニティ形成など、明確なアクションを起こしやすくなること。そしてもちろん、その人の人生がより豊かなものになること。

社会(先の2つとは異なる粒度の対象ですが、特定の地域社会や、もっと広く、人の営みの集合体くらいのイメージで考えています)に対しては、クライアントのサービスや商品が社会に出ることで、少しでも人の営みを前に進めたり、クライアント活動の社会的意義、企業そのものの存在意義を高めることにつながること。

例えば私たちはこんなことを考えながら、デザインしています。繰り返しになりますが、この整理は、デザインの受け手がそれぞれどのような豊かさを享受するのか? という視点をもとにしています。

ですが、デザインはその作り手と受け手の間だけで行われるものではありません。デザインはコミュニケーションツールであり、「誰か」と「誰か」の関係性の構築や、人々の間でのコミュニケーションをよりよくするために働くものです。私たちは「人と人の間をつなぐ」作用にこそ、デザインの本来の役割があると思っています。

デザインは「誰か」と「誰か」をつなぎ合わせる双方向矢印のような存在

そう考えると、デザインの効き目というのは、「クライアントとユーザー」「ユーザーと社会」「クライアントと社会」など、人々の関係性の継ぎ目で発揮される効果のことだと言えるでしょう。

例えば、デザインをすることで商品がよく売れるという結果は、「クライアント」と「ユーザー」の間で生じる効果の一つです。これは、デザインの効き目として最も理解しやすいものでしょう。

以下ではもう少し話を掘り下げて、「クライアント」「ユーザー」「社会」の関係性の中で、私たちがどのようなデザインの効き目を意識しているのか、まとめてみたいと思います。


クライアント↔️ユーザーの関係

<クライアント↔️ユーザー>関係は、デザインをつくった時に最も効き目がよくみえる関係性です。例えばデザインによってユーザーの購買や利用につながる、商品やその背景にある思いや考えが伝わりファンになっていく、ユーザーとともに何かを創り上げていく、信頼関係が生まれるなどの効果が期待できます。

デザイン制作段階でのポイントは、ペルソナ設計とも呼ばれるユーザーの特徴設計です。クライアントの求めるユーザーのアクションから逆算し、最もフィットするユーザーはどういう人だろう?という問いから、性別、年齢、趣味、仕事など仮のユーザーのパーソナリティ・人格を設定していきます。そうすることで、より具体的にユーザー像をイメージしてデザインに取り組むことができます。

それと同じくらい重要なことが、クライアント自身のアイデンティティ(コーポレート・アイデンティティ:CI)です。まずは自分たちは何者なのか、サービスや商品を通して何を実現していきたいのか、ユーザーとどのような関係性を築いていきたいのかをしっかり整理できていることが大切。ヒトノハでは、このような企業のあり方についてより深く共通認識を作るためのワークショップなども提供しています。

購買・サービス利用
信頼関係の構築
ファン化(共有・拡散)
共創

<クライアント↔️ユーザーの関係>で生じうるデザインの効果


ユーザー↔️社会の関係

ユーザーと社会の関係へのデザインの効き目は、一般的にあまり意識されていないかもしれません。ですが、例えばブランド品のバッグを持っていることが社会的なステータスになったり、ある特定のサービスを利用していることでユーザー間の共感が生まれたりなど、デザインされたプロダクトやサービスを通して、ユーザーたちを社会の中から浮き彫りにするような効果をうむことができます。

少し前に「Shopping is Voting」といった標語が生まれたなんてこともありましたが、持つものや利用するサービスはその人の考え方や価値観の表出であり、社会に対する意思表示である、そう言うこともできると考えています。

この関係のデザインにおいて私たちが意識していることは、どのような物語を描くかということです。クライアントのプロダクトやサービスの先にいるユーザーが、それらを利用することでどのような意思表示につながるのか、また社会の中で個々の物語を描けるのか。デザインを通じて、ユーザー一人ひとりが社会生活の中で他者と価値観を共有し、豊なコミュニティを醸成していくこともデザインの効き目の一つです。

コミュニティ形成
価値観・意思表示
ステータスの付与

<ユーザー↔️社会の関係>で生じうるデザインの効果


クライアント↔️社会の関係

ではクライアントと社会の関係に対して、デザインはどのような効果をもたらすのでしょうか。これは企業などの存在意義に直結してくる部分です。存在意義はニーズの有無と言えてしまうかもしれませんが、これはただ単によく売れるものを作っているということだけではありません。

その企業が存在していることで社会をどのような方向へドライブしているのか、地域文化の醸成にどのように役立っているのか、働く人の未来や地域の未来にどのように貢献していくのか等々。この会社があってよかったねと、多くの人々に感じてもらえる企業であるために、社会とクライアントの間で考えるべきことはたくさんあります。ここでは企業を例に話しましたが、どんなクライアント(個人事業主、自治体など)でも同じです。

クライアントのアイデンティティを見極め、最も理想的な形で社会に位置づけること。そしてそのために、どのような理念を掲げ、何に取り組み、どのようなデザインを携えている必要があるかを、考え、検証すること。<クライアント↔社会>を意識してデザイン制作を行うとき、私たちはこの視点を大切にしています。

独りよがりなデザインで多くの関係者に負荷をかけ、自分たちだけ良い思いをしているようでは、価値あるデザインとは言えません。どのような粒度で見た「社会」であっても、そこに属する人々にとってこの会社があってよかったと思えるように、デザイン制作を進めていくことが、私たちの役割だと考えています。

存在意義
地域文化の醸成
社会貢献

<クライアント↔️社会>関係で生じうるデザインの効果


今回は3つの関係性の視点からみたデザインの効き目をテーマに話を進めてきました。いただいたご依頼を最大限意味あるものにすること。試行錯誤しながら試し、考えた結果私たちが現在たどり着いた整理が以上になります。

ヒトノハではこのような視点を持ちながら、独自のリサーチやワークショップなどを活用して、より成果につながるデザイン制作を目指しています。

ご興味をお持ちの方は、ぜひお問合せください。



ヒトノハのnoteでは、ヒトノハで働くメンバー紹介や、これまで制作してきたデザイン業務の紹介などを行っています。

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