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コラム by 西山瞳

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#ジャズ

今年聴いたもの2023年

毎年恒例、今年聴いたものです。 ベストと書いてもいいのですが、順位をつけることが難しいので、よく聴いて好きだったものを挙げていきます。 過去年のものは、下部に貼っておきますね。 人間椅子『色即是空』 作品の完成度、メッセージ、時代に向き合った精神、全てにおいて、今年一番心が熱くなりました。いろんなところで書きましたので、Mikiki https://mikiki.tokyo.jp/articles/-/35305 など、ぜひご覧下さい。 BRIAN BLADE & T

『Dot』プロダクションノート

ピアノトリオ+3の作品『Dot』が、11月22日に発売となりました。 沢山の方に聴いて頂ければ幸いです。 ライナーノートを付けていませんので、取材用に用意したプロダクションノートに加筆して、掲載いたします。 ※記事下部に、アルバム販売リンク、配信サービスへのリンクがあります プロジェクトを始めるにあたっての背景 ・2021年アルバム『Calling』の制作を終えて、活動のある種の区切りがついたと実感した。 ・ここ10年ほど、機能和声やピアノという楽器自体にもどこか息苦

メタルもたぶん伏流水

タワーレコードのキュレーションサイト〈Mikiki〉で連載を持つようになって、4年ほど経ちます。 毎月のトピックは、こちらから提案することも編集さんに提案してもらうことも両方あるのですが、「メタルを経由してプロのジャズ・ミュージシャンになった方へのインタビュー」を昨年から続けています。これは私の提案で始めました。 私はいつも、そしていまだに、 「メタルを聴いていたように見えない」と言われるのですが、人を見た目で判断するなと言いたい。ガチメタラーだよ!しかも面倒臭めの。 結

CD『Hometown』が完成しました

CD『Hometown』が完成しました。 制作の経緯は、話せば長いので、フライヤーの文章を転載します。 はじめまして。ジャズ・ピアニストの西山瞳と申します。 私は枚方で育ちました。デビューして16年経ちますが、今年自主制作したこのCD『Hometown』は、枚方にちなんだ作品となっています。どこが?と思われると思いますが、2曲目「Take The “K” Train」をぜひ聴いてみて下さい。皆さんご存知の”あの”フレーズをモチーフに作曲し、演奏しています。 事の発端は20

PIANO TRIO FROM RUSSIA

なんとなく思い出して、こちらを聴いていました。 NIKOLAY SIZOV TRIO / PIANO TRIO FROM RUSSIA - Vol.1 ウクライナ、ロシアのニュースを見るたびに心を痛める毎日ですが、ロシアのジャズ・ミュージシャンはどうしているのだろうと思って、このロシアのピアニストのアルバムを思い出したんです。 ウクライナやウクライナの音楽家にはこれから国際的な支援があるでしょうが、おそらくロシアの、しかも商業規模の小さいジャズ・ミュージシャンは、今後の

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アウトリーチの記録

11月の学校公演の後に体育館のピアノという記事を書いてから、他の原稿や演奏仕事が立て込んでいてなかなか書けず、かなり時間が経ってしまいました。 瞬発力で書くタイミングを逃してしまったので、記録程度に書いておきます。 (もしアウトリーチ公演にご興味ある方がいらしたら、ご連絡下さい) 「小学校からジャズ・アンサンブルの授業があったらいいのに」 そんな同業者の呟きを、ずっと何年もSNS上で、年に数件は目にしていました。見るたびに、本当にそうだよねと思っていました。 だって、めっ

体育館のピアノ

今週は、栃木県に行っていました。 小学校の音楽鑑賞会のためで、サックス奏者の夫とデュオで、6校7公演してきました。 公演の中で気付いたこと、考えたことは沢山あり、そのうち書くと思いますが、先にピアノのことだけ書きます。 全ての学校で、体育館の壇上で演奏したのですが、お世話して下さる教育委員会の方や先生が、たびたび「ピアノの状態が悪くてすみません」とおっしゃるのですけど、ピアノの状態は勿論良くはないんですけど、私自身はものすごく楽しい気持ちで弾いており、全く気になっていませ

『Calling』制作の経緯など

『Calling』制作の経緯です。ライナーノート代わりにでも読んでください。 これまで出たインタビューなどでお話ししていますが、今回、いくつかのタイミングが重なって録音に至りました。 最初のきっかけは2020年7月19日、池袋のレコーディング・スタジオStudio Dede(デデ)からの高音質4K配信ライブです。 2020年4月から6月中旬まで、仕事がゼロの日が続きました。 私も自宅からの配信ライブなどをしていましたが、デデがレコーディング・スタジオならではの価値ある配

新譜インタビュー記事公開etc.

先日公開になったインタビュー記事です。 西山瞳トリオ『Calling』久しぶりのトリオ作で追い求めた、音楽の〈普遍的な強度〉 | インタビュー - Mikiki インタビューと執筆をして下さったのは、音楽ライターの大石始さん。楽しくお話しさせてもらうと同時に、プロのライターさんのインタビューって見事なものだなと学ばせてもらいました。 先日、新譜『Calling』の発売日当日にYouTubeでトークライブをして、その時に「最近CDにライナーノートを入れていない」とお話し

高槻ジャズストリート

三度目の緊急事態宣言で、また仕事が沢山キャンセルになりました。 特に、毎年恒例のGWツアーが無くなったのが寂しい。毎年、長野、名古屋、大阪、岡山や広島や博多に行くこともありましたが、この時期はツアーをしていました。それも今となっては幸せなことだったなと思います。 今年は、大阪のロイヤルホースと高槻ジャズストリートで、私のバンドのパララックスで演奏する予定でした。久々のパララックスのライブで、暗譜の練習を3月からしていたのですが、曲も覚えたというところでこの事態でキャンセルに

私のお世話になったディスクガイド

タワーレコードのMikikiというサイトで、ヘヴィメタルの連載「鋼鉄のジャズ女」を開始して、3年になります。基本的に毎月20日更新なのですが、今月分が公開になりました。 当初Mikikiでは、その当時編集部にいらしたTさんが書き手に推薦して下さって、キャラソンのクロスレビューという企画で時々書いていました。 Mikikiでは、他には単発でBABYMETALの映像作品や楽曲のレビューなどで書いていて、いまだにジャズ系の文章は書いたことがありません。 アニメもメタルもBAB

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『ロックのウラ教科書』記事の付け足し

2018年4月から連載しているMikikiの「鋼鉄のジャズ女」ですが、今月の記事が公開されました。 昨日もHELLFESTが今年の開催中止というアナウンスがあり、今年もメタル界隈のライブやフェスは厳しい一年になりそう。 ですので、なるべくお家で楽しめることを取り上げたいなと思って思い付いたのが、この本の紹介でした。 3年前に発売され、私も発売後すぐの時期に読んでおり、Facebookページでは一度書いたことがあったと思います。これ、本当に興味深く楽しい内容の本でして、発売時

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マッチョ

2015年にNHORHMプロジェクトを始めてから、6年ほど経ちました。現在はコロナ禍でライブができないので、メタル方面では文筆活動ばかりですが、もうジャズ活動のサブ活動としてみたいな段階はとっくに終わって、当たり前のようにジャズとメタルとの生活になっています。 NHORHMの活動を通じて、メタル界、メタル・ミュージシャン、メタル・ファン、メタル媒体など、ジャズ活動だけでは絶対に接点を持たなかったであろう人たちと濃く関わることができていて、考え方や生き方、音楽の感じ方など、本当

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神戸 acoustic live Creoleの思い出

出会いは一本のメールでした。 「もうすぐライブスペースをオープンします。エンリコの曲やオリジナルなどやっているのなら、ぜひうちでライブしませんか」 こんな風に声をかけて頂いたのは、後にも先にも一度きりです。 当時私は24歳になったばかり、エンリコ・ピエラヌンツィの研究と並行してオリジナル曲を作って演奏し始めた時期で、そういう曲を演奏していてもお客さんは来ないし、そういう内容で演奏できるライブハウスも少ないし、そもそも誰もエンリコ・ピエラヌンツィなんて知らないし、ヨーロッパの