#001_【レビュー論文】Organization Structure and Performance: A Critical Review(#3-52)
今日の論文への気持ち
実務の世界で人事という仕事を通して試行錯誤をしながら感じたのは、
組織というのはあまりに大きくて、個人は小さすぎる。
そして同じ戦略(組織サイズ)や能力や特性(個人)を集めても同じに結果にならない。それは多くの人が感じている課題ではないでしょうか?
ということで?組織と個人をつなげるものって何だろう?
色んな定義も概念もありますよね。
そこで今回は「構造」ってやつに関心を向けてみました。
そして個人的に Critical Reviewって好き。
この論文の目的は?
組織構造は個人の行動と組織のパフォーマンスに影響を及ぼす可能性が高いことが先行研究(Hall,1977)からわかっているが、組織構造とパフォーマンスの関係を扱った研究は少ない・・・んだそうです。
じゃぁ関係あるなら、文献レビューして【ハード】なパフォーマンスと【ソフト】なパフォーマンス基準、分析単位が組織なのか、サブグループなのか、どのような次元かを区別するし、これまでの研究の欠点を炙り出し、是正していこう!とすることを目指していたようです。
Critical Reviewですものね。
POINT1. StructuralとStructuring
先行研究から、組織の「構造的」特性と「構造化的」特性の2つに区別。
「構造的」特性は物理的特性を示しています。
本論文では構造的特性は4つ取り扱われています。
Size/subunit(大きさ、部署の数)
Span of control (統制範囲・部下の数)
Flat/tall hierarchy (フラット/階層が深いか)
Administrative intensity (管理強度)
「構造化」特性は、組織内で発生する、組織構成員の行動を規定または制限する方針および活動を示しています。
本論文では構造化特性は3つ取り扱われています。
Specialization(専門化)
Formalization(形式化)
Centralization(中央集権化)
POINT2.とりあえず全部ダメなところを上げてくれている
やや言いすぎですが、Critical Reviewなので、粗さがしなわけです。
「こういう結果が出てよかったね」ではなく、「ここがダメ」なわけです。
特に指摘として大きく取り上げられていたのはパフォーマンスの基準。
従属変数としてパフォーマンスの明確な尺度を用いるべきである。と言っています。
上司の評価、自己認識、および類似のソフトなパフォーマンス測定は、売上、粗利益、生産、効率などのパフォーマンスとは違うよね、と。
おっしゃる通りでございます。
このレビュー論文読めば、卒論くらいならさくさく書けそうな気になってきます。
POINT3.一般化の困難さ~職種間での違い~
研究の特性上、対象を絞り込む必要があります。
その研究対象者で得られた結果を一般化するのは困難であり、だからこそ肯定的な結果も否定的な結果もある、とのこと。
例えば、営業はフラットな組織の方が効果的という研究もあるようです。
感想
とにかく気持ちいいくらい批判的(笑)
リサーチギャップがざっくざく(1980年当時の話ですが)
もっと研究しようね!ということで締められています。
わかりやすいな、と感じたのはStructuralとStructuringの整理。
この二つに分類して、各次元を検討することで、かなりすっきりします。
実務的にもわかりやすい。
パフォーマンスの基準について曖昧であることも度々指摘しています。
これも非常に腹落ち。いつも私がモヤモヤしているポイントなので。
あと、POINT3の職種間での違い。
これの示唆は大きい。通常の企業で研究しようとすると複数の職種が入り混じっているため、構造そのものを取り上げると結果がうまく出ない可能性がある。実務的にも構造いじっても実は何も変わらない可能性がある。
そこには奥深い人間ドラマが・・・(いかん、ふざけてしまった)
でもまぁそういうことですね。だから面白いんです。
「何が会社のパフォーマンスを上げるのか?」
「箱なの?人なの?それの何なの?」尽きないテーマです。
サポートしていただけると嬉しいです! ぴよぴよ社会人博士課程の学生ですが、Organization Justiceについて研究を進めています。また、理想だけでなく実務で壁となるGoing Concern(売上、利益)といった面も考えつつ・・・模索しています。