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代々木の全日本といえば

今日からフィギュアスケートの全日本選手権が始まります。会場は、代々木第一体育館。全日本が代々木、と知った日から、今年の全日本を思うときいつも、あの代々木の全日本を思ってきました。

2005年12月の全日本。今回と同じ会場の代々木でした。

その後代々木は改修もあったので、あのときとはまた違った会場になってはいるけれど、でも、代々木の全日本。そういえば、あの時以来14年ぶりなんですね。あの大会、ものすごかったんです。

その前週には、同じ会場で、GPファイナルが開催されていました。GPファイナルには日本選手が5人(髙橋、織田、浅田、中野、安藤)の選手たちが出場していたのですが、彼らにとってはとくに、かなりキツイ大会だったと思います。だって、あの全日本は、翌年のトリノ五輪の代表枠もかかる大会だったから。ちなみに、MOIのゲストはドリカムでした。今のようなフィギュアスケートブームの黎明期の全日本でした。

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この全日本を語るには、その前の数年を語らねば。

ということでものすごくざっくり説明しますが、2002年世界選手権@長野で本田武史さんと村主章枝さんが銅メダリストになったあたりをきっかけに、日本人が再び世界でメダルを手にする時代になってきました。

2003-04シーズンの女子は、世界選手権は荒川静香さんが、GPファイナルは村主章枝さんが、四大陸選手権は太田由希奈さんが、世界ジュニアとジュニアGPファイナルは安藤美姫さんが優勝。Japanese Power Houseと言われたり。

その翌季、世界選手権で日本人メダリストなし、ということに。(村主さん5位&安藤さん6位で13ポイント。ぎりぎりの3枠でした。前年女王の荒川さんは9位)。トリノ五輪の3枠は確保しました。

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そして件(くだん)の代々木の全日本のシーズンです。

このシーズン、浅田真央さんがGPシリーズのみデビュー。しかも、GPファイナルで優勝するのです。センセーショナル!!

年齢制限がいまとちょっとちがっていて、シーズン後半の五輪や選手権大会はシニアに出られなかったので、「真央ちゃんをトリノ五輪へ」みたいなもろもろもありましたが、結局それはならず、彼女は世界ジュニア選手権で2連覇…かと思いきや、キム・ヨナさんにつづく2位に、ということも。

2005-06シーズンのGPシリーズ、シニアデビューで元気いっぱいの真央ちゃんは、中国杯とエリック・ボンパール杯(フランス大会)に出場しています。その同じ2戦にアサインされたのが、前々季世界選手権優勝の荒川さん。いずれも真央ちゃんが順位を上回り(2位と1位)、荒川さんはどちらも3位でGPファイナル進出ならず。かなり追い込まれた表情やコメントを、荒川さんが見せるようになりました。

どうしてももう一度五輪に行きたいと切望していた村主さんは、怪我の影響もあり、スケカナ8位、NHK杯は2位。やはりGPファイナル進出ならず。大変に追い込まれて行きます。

このシーズン大ブレイクしていたのが、中野友加里さん。佐藤信夫先生のところに移って2季目、苦しい時期を越えて洗練された演技で、スケカナ3位、他選手の怪我の影響で出場の決まったNHK杯で優勝! さらに初出場のGPファイナル3位に輝きました。このシーズンの勢い、ちょっとすごかった。

さらに、2004年に世界ジュニアで優勝して、数週間後の世界選手権で4位となっている安藤美姫さんもいました。彼女もGPファイナルに出場しており、4位。さらにさらに前回五輪に出場していた恩田美栄さんも、五輪を狙っています。

という女子シングル。そしてこの6人がきっちりフリーの最終グループ揃いました。興奮で震えるっていうか、めちゃくちゃどきどき、怖いくらいでした。

そしてスタートした女子フリー最終グループ。あとはぜひ、動画サイトなどで見ていただきたい! できれば、滑走順どおりに。

フリーの最終グループの滑走順は、荒川静香、浅田真央、恩田美栄、村主章枝、中野友加里、安藤美姫。

今見ても随所で胸が詰まり、随所で涙がこみ上げてしまいます。6人全員が、すごかった。すごい大会でした。私はこのとき、プレス席で見ていたのですが、村主さんのところで、涙をこらえきれなくなってしまいました。横にいたライターさんも泣いていました。

以下、2005年全日本選手権女子シングルの結果です。…と思ったら、リンクがうまくいかず、全スケジュールが出ちゃいますが、全日本のところをsあがして見てみてください。


男子シングルも過酷でした。トリノ五輪の枠が「1」。それを、髙橋大輔さん、織田信成さん、本田武史さんが狙っていた、そんな大会でした。

直前のGPファイナルでは、髙橋さん3位、織田さん4位。織田さんはこのシーズンがシニアデビューでしたが、ものすごい快進撃で。スケカナで3位となったあと、NHK杯では優勝。あの有名な、キスクラでの泣きのシーンですね。このNHK杯には髙橋さんも出ていて3位でした。

髙橋さんにとっても、あれが初めてのGPファイナルでした。GPファイナルと全日本が間が1週間内というのは、結構なムードで。また、本田さんはこのシーズンで引退の予定。というか、五輪が決まらなかったら引退だろうな、という空気でした。

表彰式を行ったのちに採点ミスが発覚し、順位が入れ替わって再度の表彰式、というどの選手にとってもかなりキツイ状況も生じてしまいました。どの選手も気の毒でした。そして髙橋さんが五輪へ、織田さんが世界選手権へ、本田さんは引退、ということになった、そういう大会でした。

以下、同大会、男子シングルの結果です。・・・ってこっちも先ほどと同じページに行ってしまいます。全日本の男子のところに行ってくださいませ。


あの代々木の全日本は、そんな熱く切なく息詰まる大会でした。

さて、14年ぶりの代々木での全日本。どんな大会になるのかな。楽しみで、はやくあの熱狂の中に行きたいと気持ちがはやるのと同時に、でも終わってほしくないと思ったり。

何よりも、初出場の選手たちも、最後と決めている選手たちも、特別な思いを持っている選手たちも、みんながいい演技ができますように、とただただ願うばかりです。それはなかなか難しいことだと知っているけれど、でも、代々木の全日本でなら、もしかしたらすごいことが起こるかもしれない。そんな風に思いながら、全日本初日の昼を迎えています。


【朝日カルチャーセンター新宿教室】の講座もぜひ。おひとりで参加されている方がほとんどです。

12月28日(土)は「2019-20シーズン前半とは」

1月18日(土)「ジャンプを見極める」

2月29日(土)「ザヤックルール、リカバリーを極める」






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