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1997年2月14日(金)、旅5日目。いつか忘れてしまうかもしれないのが悔しい。

1997年2月14日(金)晴れ

7:00起床。昨日は12時すぎに寝たのに、ちゃんと起きられた。朝のカレル橋を見たいと思ったけど、遅くて無理でした。

8時ころ駅に着き、パンやジュースを買い、8時53分発の電車の乗るべき電車(ターボル行き)のホームが発表されるのを待つ。
8時半ころ、5番ホームへ。Kくんもやってきた。

電車内は、8人掛けのコンパートメント。2人で乗ってしゃべり続ける。「腹、いてー」というKくんは寝っ転がっている。

とにかく車窓から見える風景が素晴らしかった。風景がのどか。家々が立ち並ぶところ、一面何もない青空と緑の草原、というところもあれば、雪の残りがある枯れ木いっぱいのところとか。こんなところがあるなんて。穏やかで不思議な気分。
いつか忘れてしまうかもしれないのが悔しい。写真を何枚撮っても、いまこの時に目で見た風には写ってはいないだろうことを思うと、もどかしい。とはってもどうすることもできないから、しっかりと脳裏に焼き付けておくしかない。

検札には、お姉さんが来た。

そして23年後の現在、すっかり忘れてしまっています。23年前の自分に申し訳ない気分。その後、さまざまなところに行き、こうした光景をたくさん見たからかもしれない。今回思ったのは、初めて見たものへのインパクトと、若さの持つセンチメンタルさっていうのはすごいんだな、ということ。

10時37分ターボル着。
駅前は何もなくて、ケンブリッジ(イギリスのことだと思う)のようだった。
まっすぐ大通りを歩いていくと、15分くらいでやっと広場に出た。塔があって、噴水らしきものがある(水は、なし)。今日は快晴で、青空が透き通っている。ヤン・ジェシカの像も青空をバックにくっきりとしている。

城壁があると知って、この街に来たいと思った。城壁で囲まれている感じってどんななんだろう。守られている感じなんだろうか。狭い分、心地いいのかもしれない。城壁というもの自体も見てみたい。
今回の旅では、城壁のある街にたくさん行く予定。城壁、城壁、城壁。身体の奥の方からとても懐かしいような心地いいような思いがわいてきて、とても惹かれる。

と、城壁についての思いを募らせているのにもかかわらず、日記には城壁の記載ゼロ。謎。でもその後訪れる街々で、城壁に夢中になっているので、このあたりはまた追々。

コトノフ城の方へ行く。ジェシカ広場が一番高いところで、他のところへは下っていく感じ。
途中、フス運動博物館を見学。私たちしかいなくて、ゆっくり見て回った。ヤン・ジェシカさんのゆかりのもの。

その後、地下道があるらしいから行ってみようと、聖エリザベス教会方へ歩いて行ったとたん、犬のふんを踏んでしまった。右足の前方部分。大ショック。結構いい眺めのところだったのに。
「うんこと一緒に写真撮ってあげる」とKくんが嬉しそうに写真を撮ってくれた。右下の方に写っているらしい、ちょっと楽しみ。

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当時はフィルムカメラだったので、現像・プリントしたのは帰国後。その後30日くらいの旅のあいだも、うんことの写真、結構楽しみにしていたのを覚えています。そして、たしかに写真右下に写っていて、満足しました。チェコでは本当に犬の落し物がそこここにあり、たびたび驚きました。23年経ったいまは、海外ではそんなの当然、って思ったりもしています。

うんこにめげずに今度こそ本当にコトノフ城の方に進む。と思ったらすぐ着いてしまった。

城壁からの眺めは、この世のものとは思えないほど、のどか。田舎風景の最たるもの。目の前にルズニツェ川が水をいっぱいに抱え流れて、その川にかかる橋や街(というか村?)並みや、写真とか絵でしか見たことのなかった風景。実際に見ると、こんな風なんだ、こんな風に感じるんだと。とにかく美しかった。

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川にかかる橋を渡り、土の道を歩いた。川は素晴らしい。民家の方に行こうとして、でっかい犬(ゴンと名づけた)にすごい勢いで吠えられて、慌てて戻る。

城壁の方に戻るのはかなりの急なのぼり坂で苦しかったけれど、そこからの眺めも素晴らしかった。
ここで私のカメラが作動しないことに気づき、ちょっとショック。とはいえそんなことにはめげず、楽しい気分で。

お昼を食べようとレストランを探すが見つからず、パンとチーズ、牛乳を買って広場で食べる。12時を過ぎたあたりから広場が騒がしくなってきた。何かお祭りらしい。私たちもどこかワクワクしてきた。

今日はバレンタインだったのでKくんにチョコを買ってあげたら、「そんなこと忘れてたよ」と言っていた。私もカメラの日付を見るまですっかり忘れていました。
日本だと情報に追われてせこせこ動いている気がする。何を毎日あんなに忙しくせせこま暮らしていたのかと不思議に思う。「こういうところで生まれて生きていくっていうのも、いいよね」とKくん。同感。本当に消費税が5パーセントになろうが、世界情勢がどうとか、どうでもいいって思えてくるし、本当にどうでもいいことなのかもしれない。

お祭りは、本格的になってきた。ウィンナーを焼いている人や、何か大きな鍋とやかんを持ってきて何かを作っている人も。鍋の中は、ミートソースみたいなものだった。いいな食べたいと思ったけど、まだできていないから少し後に来てくれと言われる。残念、電車の時間があるから、そこまでは待てないんです。

ウィンナーとパン1切れとマスタードを18チョココルナで買う。見た目と違って、微妙な味。パンは黒パンみたいなものだけど、変なにおいが。
さらに、バッグの中に牛乳がこぼれていることが判明。うわあとバッグを開けると、カメラとウォークマンという2大濡れてほしくないものが濡れていた。ああああ。他は無事だった。

15時45分の電車にのるため、15時半くらいに出発。みんながみんな広場に向かって笑顔で歩いていくのに、私たちは駅に帰らねばならない。残念。

私は15時45分の電車でプラハへ、Kくんは15時50分の電車でチェスケー・ヴィデヨヴィツェへ。明日は私もチェスケー・ヴィデヨヴィッツェに行く予定。また会えるよ多分、と言って別れる。

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帰りの車窓は、夕暮れの西日と草原、ぽつぽつとったっている赤い屋根の家々……と、またも夢のような世界で、カメラが直った興奮も相まって、すごい勢いでシャッターを押した。

今日はプラハ最後の日。
カレル橋からのプラハ城と夜空の美しさをもう一度見ておかなくちゃと、旧市街広場へ。その後、またまた迷いながらカレル橋へ。プラハ城から旧市街へは、迷わずにはたどりつけない。かならず迷って不安になるんだけど、しばらくすると必ずたどり着く。不安なのに不思議な信頼感。

プラハ城はやはり美しい。ライトアップされた風景を18時半くらいまで見て、旧市街広場へ行くと18時45分。天文時計を見るには時間がありすぎたので、夕食を食べる。その前に、トイレを探してデパートを回るが、どこにもない。夕食は、チキンとパンとフレンチフライと水。チップ入れて140チェココルナ。まあいいか。

変えると、Daneとお母さんが出てきて、いろいろしゃべった。チェスケー・ヴィデヨヴィッツェは雪だね、とか、長旅だね、日本に帰ったら手紙を書くね、と約束しておやすみを言った。


<経費>
朝食(パン3つ、ファンタ) 51チェココルナ
アイス 25
博物館(学割) 20
昼食(チーズ、パン、ミルク、チョコ) 70.3
祭りのウィンナー 18
夕食(チキン、フレンチフライ、水、チップ 140
ポストカード 4
切手 6


<両替>
10000円トラベラーズチェック → 2229.40チェココルナ

<朝日カルチャーセンター新宿教室>
 ●4月4日(土)「ザヤックルール、リカバリーを極める」
 ●4月18日(土)「2019-20シーズンを振り返る」
 ●5月16日(土)「4回転ジャンプを、もっと知る」
 ●6月6日(土)「男子シングルの潮流を知る(1)」(旧採点時代から2009-10シーズンまで)


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