ファンマーケティング施策を見直す〜MARPSイベントレポート
こんにちは。「売上の地図」の著者の池田さんが主宰の「MARPS(マープス)」での講義をまとめたnoteです。
講義の内容
ファンマーケティングは「最高」「再安」「最愛」で語られがちであることを再度復習しておく。
【最高】市場が成熟化してしまい(S字カーブ)、各社が持っている技術力の差がほとんどなくなってしまった。物理的な消費者のニーズはほぼ応えきった…。→全社の商品がそんなに変わらないなら、安いものを買う。
【最安】利益率が少なくなれば、ビジネスが長続きしない。
【最愛】日本の人口減は長く言われている話。ただし、その論を皮切りに、"新規顧客ではなく既存の顧客に目を向ける"施策は必ずしも正とは限らない。既存の顧客も寿命が来れば減っていく
【最愛】ロイヤルカスタマーと言われる層に該当しないが、継続的に購入している層(ブランドスイッチが面倒と思っている層)にも注目すべき。ロイヤルカスタマーやファンと言われる層は感情で決めているが、継続的に購入している層は感情で購入しているわけではない。
推奨してもらいたいのであれば、顧客を熱狂させるべき。→代表的な指標としては、NPSが挙げられる。が、あまり熱狂しているかを表す指標としては相関性がなさそう。
マーケティングの罠
競合他社とほぼ同じの品質のはずなのに、ファンマーケティングの施策を行うことにより、既存顧客はもちろん、新規顧客も増えるといえるのか?
X 消費者のスキはすぐ効果が出て来る。→数年間の時間軸が必要。ファンマーケティングは今すぐ顧客向けの施策ではない。(広告は"今すぐ客"を取り込む。)
X 既存顧客は1度つけばずっとついてくれる→(特にサブスクのSaaSビジネスで言われるが)既存顧客は必ず一定層離反する
X 小さい企業の方がファンの比率が高い→超ニッチブランドがファンマーケティングを実施して成功したとしても、売上規模が拡大すると顧客は平準化する。
X 小規模ブランドの方が離反顧客が少ない。→小規模ブランドの方が、顧客の入れ替わりが激しい。なので、新規顧客を獲得する施策に力を入れるべき。
ファンマーケティングの代表的な事例
TOBE
旧ジャニーズ出身のタレントさんが、世界進出を目指し新たに動き出した事務所です。ちょうど3月のある週末に、NYCのタイムズスクエアに広告を出し、Amazon Prime限定でライブ配信を行いました。「TOBE」の名前をリリースした際にとても話題になりましたが、リリース当初は新たな出発だったことでしょう。
新しい事務所が、2023年3月に設立以後1周年記念でNYタイムズスクエアへ広告露出することは相当インパクトがあることの証ですし、ファンに受け入れられていることの証でもあります。さらに、日本国内に限らず世界から"新規顧客"を獲得する施策だと私は感じました。
またK-POPなどアイドルグループの戦略は、どの施策を切り取ってもファンマーケティングの塊だな〜と思います。
YETI
「世界のクリエイティブ思考」というPodcast番組で紹介されていた、キャンプグッズを販売する企業「YETI」のキャンペーンもまたファンマーケティングを活かしていると考えます。
そのキャンペーンとは、キャンプ場の忘れ物を送り返すというキャンペーンです。YETIの商品は相場としては高めで、頻繁に買い換えるというよりは長く使うユーザーが多いそう。なのでユーザーからしたらYETIの商品を忘れるのは、かなり致命的になりかねません…。
このキャンペーンは、短期的な施策ではなく長期的な施策としてスタートしており、YETIのブランド愛の醸成を長い目線で意図しているのです。
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