どこに価値を感じているのか〜「ゆっくり、いそげ」の読書感想文
「ゆっくり、いそげ」という本を読みました。この本に出会ったきっかけは、freeeさんが運営されている「透明書店」のnoteでスモールビジネスを始める人におすすめ、というコメントがあったからです。
このnoteは、私が「ゆっくり、いそげ」という本を読んだ感想をまとめています。
freeeさんの「透明書店」のnoteはこちら。
本の要約
クルミドコーヒー店主の影山さんの著書
コンサルティングファーム→VC(ベンチャーキャピタル)で勤務後、独立してクルミドコーヒーを開店
「僕らが提供しているのは時間」であり、コーヒーやケーキといったコンテンツではない。いい時間を過ごしてもらうための時間を取り扱っている。そのためには、(ひとまずの結論が)存在を傾けた、手間ひまのかかった仕事をちゃんとこなすこと。
"利益"の定義を考える
数式で表せば、成果=利益÷(投下資本×時間)。ビジネスの世界においては、利益はお金だが、世の中で大事なものという観点でいえば、お金だけではない。利益は誰にとっての利益なのか?という問い
お金以外のものも利益、自分の大事な人にとっての利益も、自分の利益と考える。それは、「特定多数」の関係においてこそ成り立つもの。
→誰にとっての利益なのか?を考える際、社会全般や不特定多数が対象となると、どうすることが相手の利益になるのか想像も及びにくくなるし、何を大事と考えるかの合意形成が難しい。特定多数とは何人を指すのか
閉じた集団をイメージしているわけではない。価値観を共有する1つのグループをイメージしているわけではない。
例えば、クルミドコーヒーを大事だと考えるポイント(飲食店としてのお店、人が出会う場としてのお店…)は、グループを超えては必ずしも共有されてはいない。グループは円のようで、その円は開かれていて、境界があいまいなもの。クルミドコーヒーの場合、SNSでのフォロワー数や店舗に来てくれる人数を踏まえ、約3,000人を想定。GIVE&TAKEのTAKEを仕事にするではなく、GIVEすることを仕事の目的にする。
資本主義を疑問に感じる価値観へ変化
お金だけが全てという時代がもう限界を迎えているのかもしれません。
過去、「共感資本社会を生きる――共感が「お金」になる時代の新しい生き方」という本を読んで、大量生産・大量消費の時代があり同質化してしまったサービスが生まれてしまったという意見が書かれています。
アメリカではZ世代の政治に対しての考え方を通じて、資本主義への疑問の議論があるみたいです。
アメリカは最も強い国、という考え方が9.11を始め国際的なテロ活動から現在のロシア・ウクライナ戦争を踏まえ、本当に最も強い国なのか?という疑問がアメリカ国民の中に生まれているようです。
少しアメリカの話になってしまいましたが、要するに一昔前にあたりまえであった経済の弱みが明らかになってきている(限界を迎えている)のだと思います。
ターゲットの意味が変化
とある大企業が日本国民全員に対してウケるような商品を作ったとしても、なかなかヒットしづらいように感じています。
私はここ数年仕事をしていて、ターゲットを絞って商品を販売することで話題になり、それがターゲット層以外の人にも広まっていく、という流れに変わってきているように思います。
そのターゲット層(本の中でいう「特定多数」)が価値を感じるからこそSNSで広まり、売上につながっていく…。
「利益」の定義も変化している
ターゲット層がどこに価値を感じるか?という点を突き詰めるにあたり、単純に安くすれば価値を感じてもらえるわけではなくなりました。
市販の100円くらいの缶コーヒーではなく、なぜスターバックスが好きな人はスターバックスに行くのか。スターバックスではなく、なぜクルミドコーヒーに行くのか。それぞれのお客さんは、スターバックスであれば、スターバックスの店舗が好きで足を運ぶ人もいるだろうし、クルミドコーヒーの場合はファストコーヒーと真逆の時間をかけてコーヒーを提供する丁寧さに価値を感じているのかもしれません。しかも、それぞれどれが正しいとは言えないと私は思います。
もし「売上が上がらない」と悩んでいる方がいれば、自分のことにして考えたときに、自分が売る商品やサービスに対して、お客さんはどこに価値を感じているのか?を考えると新たな発見があるかもしれません。
合わせて読みたい
贈与論の話に関する本を読んで、過去にnoteにまとめていました。関心ある方はぜひ読んでみてください。
「共感資本社会を生きる――共感が「お金」になる時代の新しい生き方」の本に関心を持たれた方は、こちらのnoteもご覧ください。
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