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三重県尾鷲市の「おわせむかい農園」の挑戦を聞いた

こんにちは。とあるご縁があり、三重県尾鷲市にあるおわせむかい農園さんにお世話になっています。

皆さんは、尾鷲市と聞くとどのようなイメージを感じられますか?
尾鷲ヒノキ?尾鷲と聞いても、場所がイマイチ分からない…という方もいらっしゃるかもしれません。



尾鷲市の場所

尾鷲は、伊勢神宮よりももっと南側、和歌山県の県境にとても近いまちです。伊勢方面と、和歌山の新宮との間にあるまちです。

東京から行くと、名古屋まで新幹線で向かいその後JR特急南紀に乗って約2~3時間。大阪からは、近鉄で名古屋まで出るか、津や松阪まで出てそこからJR特急南紀で向かうことになります。車で向かった方が時間を効率的に使えるかもしれません。

おわせむかい農園さんの挑戦

おわせむかい農園さんと私との出会いのきっかけは、私がおわせむかい農園さんが"新しい事業に挑戦する"というお知らせを見たことにあります。私もコロナ以降新しい事業をつくる部署にいながら仕事をしているので、共感を持ちました。

尾鷲に昔存在した火力発電所とその後

おわせむかい農園さんから尾鷲の海を見渡せます。その海に、小さな空港や遊園地ができるのでは?というくらいの広さで人工的な空き地があります。

ちょっと見えづらいですが、手前の畑の向こう側に更地があります。

実はこの空き地は、60年前に中部電力が火力発電所建設のために海を埋め立てて作った場所でした。現地で雇用を促すため、尾鷲の甘夏農家さんたちが発電所の職員へ転職をしていったそうです。

しかし、2018年に火力発電所は廃止。じゃあそのあとどうなったのか。廃止と共に多くの方が尾鷲市外へ出ていったそうです。おわせむかい農園さんも例外ではなく、当時の社員の方々が皆退職をしていきました。

本当にこのままでいいのか。という思い、尾鷲が発電所廃止と共に廃れていくことは違うのでは。という思いで、おわせむかい農園さんは残ったスタッフで観光農園として新しい挑戦をスタートさせました。外部から関わる方のサポートもあり、尾鷲の子どもたちを対象にした、多世代で交流できるような場所も運営されています。



ジャスト・トランジションの考え方

そのような背景があることをご理解いただいた上で、おわせむかい農園さんでは「ジャスト・トランジション」という考え方を進めていらっしゃいます。

【ジャスト・トランジション】
もともと2015年のパリ協定(※)の前文で使われた言葉で、各国が脱炭素社会への移行を進めるにあたって、それによって不利益を被る人たち――すなわち一時的に仕事を失う人たちにもきちんと配慮していこう、という考え方を指す。急速な脱炭素政策を進める欧州発の概念である

https://drive.media/posts/37630

おわせむかい農園さんは、"鉄から木へ"のコンセプトを掲げ、火力発電所から農業への転換を今目指しています。そして、農家さんたちが発電所建設によって転職し、発電所廃止とともに職員の職を失うことを課題に感じていらっしゃいます。

この考え方のもとになったのが、先ほどご紹介したジャスト・トランジションという考え方です。おわせむかい農園さんは、2024年9月に向けてそのモデル事例を作ることを目標に動いていらっしゃるそうです。以前、北欧のデンマークに行ったというお話も伺いました。

「発電所が廃止になってしまった、じゃあこのまちは終わりだ」と悲観的になるのではなく、廃止になってしまった現実を受け入れ、その地域の事業者が次の未来に向けて何ができるのかを考える1つの解決策を提示することを目指しています。

また、市の政策には「おわせSEAモデル」が進行しています。

産業の衰退とその後の復興


福島県の原発問題や、環境問題に配慮する発電の議論が活発化しています。廃止することを決めるのは簡単ですが、その後の「復興」をどうしていくのかを深く考える必要があると思います。

阪神淡路大震災、東日本大震災、熊本地震、そして年明けの能登半島地震などそれぞれの地域のその後から学べることを私たちはきちんと学び、今からでも活かせることを活かしていく必要があるかと思います。

今回、おわせむかい農園さんを訪れたことで、こうした議論を自分ごとのように感じることができました。貴重な機会でした。

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