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あささんの手仕事 『浴衣のリメイク』
他界した家族との想い出が詰まった浴衣。
何年も眠らせたまま。かと言って捨てることもできない。
何年、何十年と月日が流れることで、普段使うことができる物などにリメイクをしたいという気持ちが湧いてくることもあるのかもしれません。
ひときたしゃべるのメンバーでもありスタッフのあささん。
あささんの手しごとのひとつに『リメイク』があります。
浴衣をリメイクする際に1番手間が掛かる作業は、縫い糸を解く作業だと話すあささん。早速、浴衣を目の前にして解き方が始まりました。と、同時に浴衣の柄を眺めながら、あささんの頭の中では既に創造が始まっている顔になるのです。手に触れて浴衣の素材を感じ、浴衣の柄を眺めてどこの柄を活かそうかと。そして思わず依頼する側もどんな想い出が詰まった一着なのかを伝えてしまう人柄なのです。
「昔は学校に行きたくても行くことができなかった家庭に育ったから、洋裁やリメイクは独学で学んできたからプロとは出来が違うのよ。」と自分の手仕事を低評価し劣等感を感じさせる言い方で、あささんはよくこの言葉を口にするのです。素人にすると縫い目の違いなどは分からず気にしないことでも、あささんは違いが分かる目をもっているのです。
リメイクは型紙を用意してオーダーしたものもあれば、紙に希望のデザインを簡単に描いて依頼したものもあります。
出来上がるまでの時間は心の中でワクワク感と楽しさが広がり、そして完成を目の前にすると思わず嬉しさや笑顔が広がり、完成品を使いだすと他界した家族の温かさや時には激励されているかのようにも感じ取れることがあるのです。
ポーチを開いた際の柄の位置にも拘っているのがお分かりになりますでしょうか?
こちらはヘアターバン。予めイメージも湧くように型紙と画像を用意して製作を依頼しました。自ら製作し完成したものをみて、思わずあささん自身も気に入ってしまったと乙女のような笑顔で教えてくれました。
こちらはスカーフ&風呂敷として使えるように一枚布にしてもらいました。
様々な用途に応じて自分で結び方を変えて、楽しむこともできます。
大切な人が他界して何年、何十年経っていても、あささんによるリメイクの手しごとは『グリーフケア』としても人の心に癒しを齎してくれています。
− 追記−
この浴衣のリメイクの依頼主はひときたしゃべるの阿邊になります。10代後半〜20代前半、毎年のように縁側で笑いながら母、或いは祖母に着せてもらっていた思い出が詰まった浴衣。中学生の頃から入退院を繰り返していた母は今から16年前に病にて他界をしています。大人になった今。母の生き方。社会や医師に対しての母の訴え。そして早過ぎる死へ母1人で抱いていただろう怖さや本音というもに、あの当時の私がもっと大人だったら、もっと違う最期を迎えられたのかもしれないと歳を重ねるに連れてその想いは増していき13回忌が終わるまで、ずっと後悔ばかりが募っていました。祖母も仕方のない転倒と言えるのかわかりませんが、看護付き小規模多機能型ホームにお世話になっている時にトイレで介護士さんと共に転倒し腕を打撲。(祖母が履いていた上靴も原因のひとつだったのだと思っています。)足は怪我をしていないのにも関わらずその後、トイレに行きたいと言っても24時間オムツへの排泄とベッド上での生活になり、尊厳が無視されたどこか介護、看護側の満足に過ぎないのかと疑心暗鬼になったことがありました。転倒から約3ヶ月後、祖母は他界しました。2人の死に対して、もっと何か私はできなかったのかと後悔が続いていましたが、リメイクをしてもらった品々をみながら、1人で抱えていたその思いは解きほぐれていっているようにも思います。
あささん。ありがとう。
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