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”社会的文化のレベル”【Ep42】

こんにちは、ひとかどさんです。
今回は、「社会的文化(socio-culture)」について理解を深めたいと思います。

文化にはレベルがある?

「社会的文化」ってナニ?って感じかもしれませんが、
MAPの4つ目のステージである
【④社会に良い影響を与える人になる】には重要な概念です。

社会的文化」とは、芸術的文化とは異なり、
個々人が持つ価値観が、共有され、それが集合体となった文化です。
そして、それは属する社会によって決まるものです。
なので、「文化」それ自体に良いも悪いもないのです。
しかし、ある種の文化は説明しずらいものもあります。
それが原因で、固定概念・先入観・差別(過去記事参照)を生み、
社会心理学上の問題が引き起こされることがあります。

「社会的文化」にはレベル(深さ)というものがあり、
深いレベルに行けば行くほど、どんどん説明しずらくなります。
では、「文化」のレベル(深さ)について、具体的に見てみましょう。

Lv.1(表層):「顕在文化」

まずは、最も説明しやすいもの、というより既に見えているものです。
例えば、外国人に日本の文化を説明をするようなシーンをイメージしてもらうと、
祭り、ファション(着物など)、和食、言語(日本語)、ゲーム、音楽などは、
「百聞は一見にしかず」であり、
説明するよりも、見てもらって(または聴いてもらって)、
「ほら、コレだよ」と言えば、相手も「なるほど」と理解できるでしょう。

※イメージしやすいように国の文化を例に出しましたが、社会心理学的には、ある集団や、場合によっては「個人」という非常に狭い範囲にもこのアイディアは適用できるものと考えています。

Lv.2(水面下):「概念」

次は、見えてはいないけど、説明すれば割とすぐにわかってもらえるものです。
具体的には、「概念」という類いの文化です。
例えば、礼儀(マナー)、金銭感覚、正義感、道徳観、職業観などです。
これらは、Lv.1のように見てわかる、というわけにはいかないけれども、
それなりに説明できるし、説明すれば分かってもらえるものです。

Lv.3(水中):「態度」

そして、水中にあって見えていないからこそ説明しずらく
なんなら、説明を聞く側にも「理解しようとする気持ち」がないと、
中々伝わらない
もの、それが「態度」という類いの文化です。
例えば、日本人の年配者に対する態度(目上の人を敬いなさい)、
というのは「Japanese seniority(年功序列)」という言葉があるように、
欧米社会から見れば難解だったりしますし、
他にも、仕事に対する態度にしても、
サービス残業」という言葉があるように、
ある意味(日本人の社会の”アタリマエ”が世の中の当たり前ではないように)、
特殊な文化だったりします。

Lv.4(深層):アプローチ

最後は、最も説明が困難(場合によっては、真の意味で理解するのは不可能)なもの、「アプローチ」という類いの文化です。
例えば、「なぜ、多くの日本人は8月中旬に先祖を供養するの?」と聞かれても、
この文化を持っていない人に説明をするのは難しいのではないでしょうか?
宗教的背景などから説明しようにも、「それはなぜ?」と更に問われていったら、最後は「それが伝統だから!(以上、説明終了)」となるのではないでしょうか。

これこそ、説明困難な文化のイメージであり、
この例で言えば、「先祖供養」に対する「多くの日本人のアプローチ」
を説明しようとしているからで、
それは、日本人の礼儀(Lv.2)や年功序列(Lv.3)よりも説明が難しいのです。

各文化レベルの補足説明

なお、「食事の前に『いただきます』と言う」ことは
Lv.2の礼儀として説明可能かもしれませんが、
「なぜ『いただきます』と言うのか」という
「食事に対するアプローチ」の領域まで踏み込んだ時には
Lv.4になることもあります。

その意味で「社会的文化」は複雑で、
同じ文化の話をしていても、
どのレベル(深さ)で説明を求められるかとセットで考える必要があります。

終わりに

いかがでしたでしょうか?
この多様性の時代にあっては、
「文化」にも、レベル(深さ)があることを知って、
「文化のレベル的違いによる説明のしやすさがある」ということが理解できたら、
より豊かな社会形成に役立つのではないかと考えています。

#心理学
#社会心理学
#文化


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