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”少数派の影響”【Ep40】

こんにちは、ひとかどさんです。
今回ご紹介するMAP【④社会に良い影響を与える人になる】ためのアイディアは、”少数派の影響”というものです。

公共圏(Public Space)

そもそも社会は、ドイツの哲学者ユルゲン・ハーバマスが提唱した「公共圏」を基盤として形成されます。「公共圏」で、人は「共通の関心事」について話し合います。そうして他者と関わり社会が形成されていくのです。

例えば、「働くこと」は私たちの「共通の関心事」になり得ます。だからこそ、私たちは労働時間や賃金について対話し、労働環境をめぐる社会が形成されていくのです。

一方で、「私の明日の夕食」は私たちにとっての「共通の関心事」にはなり得ないでしょう。したがって、こういうテーマでは「公共圏」が成立しないのです。

公共圏での人々の関わり→合意形成・社会変容

さて、万人が共通の関心を持ち得るテーマについては「公共圏」が形成されることはイメージを持ってもらえたかと思います。
そんな「公共圏」での人々の関わりが、新たな合意を形成し、それが社会の変化を起こすわけですが、その時のキーワードが「少数派(マイノリティ)」というわけです。

社会的伝統=その時代の「普通」

「公共圏」には、社会的伝統というものが存在します。
これは、いわば人々の関わりのスタート地点であり、その時代の「普通」です。
それは、多数派(マジョリティ)の考えだったり、組織においては上層部の考えとも言えるでしょう。

社会的伝統に対する抵抗が始まる=”少数派の影響”

通常、社会的伝統強固で変わりにくいものです。
ですがそうであれば社会は変わるはずがありません
しかし、歴史的にも社会は変化し、今に至っています。

それは、いつの時代も、「少数派(マイノリティ)」が「既存の伝統(マジョリティ)」に反抗するから、社会が変わるのです。

その意味で、社会の発展は、伝統に対する少数派の反抗に依存しているのです。

”少数派の影響”の具体的なイメージ

社会心理学者のセルジュ・モスコヴィッシは次のように考えました。
多数派の影響は、多数派の人々が多くいるところで大きく、その時には少数派の意見は見向きもされないが、ひとたび多数派の存在が感じられなくなる少数派の意見が気になってくる、と。

実際にこんな実験があるそうです。
10人の人に集まってもらい、「ある花」が描かれた一枚の絵を見て、「ある花」が何か答えてもらいます。その結果、10人中自分も含む9人が「ひまわり」だと答えました。そして1人だけが「⚪︎⚪︎(ひまわり以外の花)」と答えました。

すると、「ひまわり」と答えた自分以外の9人が近くにいる時は、「は?⚪︎⚪︎(ひまわり以外の花)?何言ってんの?どう見てもひまわりじゃん」と気にも止めません。ところが、その場を離れ、一人になると(=多数派の存在が感じられなくなると)、「あの人、なんで「⚪︎⚪︎(ひまわり以外の花)」って思ったんだろう…?本当は「⚪︎⚪︎(ひまわり以外の花)」なんじゃ…」と思ったりすることがあるのです。

終わりに

伝統に抗う”少数派の影響”こそが、社会を変える力になる。
近代ヨーロッパにおける絶対王政から共和制への移行にしても、
現代の経済発展至上主義からSDGs的な新しい社会的枠組みの構築にしても、
いつもその始まりは”少数派”が声をあげたからだと再認識しました。
そんなことを考える時、例え自分が「公共圏」において「少数派(マイノリティ)」だったとしても、少し捉え方が変わるのではないでしょうか。

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#社会心理学
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