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映画を英語でレビュー#31 1917 命をかけた伝令 1917 (2019)

リアルを追求した戦争映画

監督の祖父からヒントを得て作られた映画

舞台は第1次世界大戦。西部戦線にいたドイツ軍が後退していましたが、これはドイツ軍の罠でした。これが罠であるとは知らず、イギリス軍は、明朝、突撃予定でした。航空偵察でドイツの罠に気が付いたイギリス陸軍は、この罠について伝えようとしましたが、電話線が切れており、伝えることができません。このままでは、イギリスは多数の兵士を失ってしまう。そこで、陸軍は、2人の兵士、ウィルとトムに、現地に行って作戦中止命令を伝えるように指示します。現地には、トムの兄もいます。兄を救うためにも、この命令を真摯に受け止めるトムとは対照的に、ウィルはどこか冷めた様子。

2人は、どこに敵が潜んでいるか分からない状況で、無人地帯を抜け、前線へと向かっていきます。

前半は派手な戦闘シーンはあまりなく、静かに話は進んでいきます。しかし、この静けさがすごく怖いのです。後述した通り、この映画は長回しで撮られているので、この二人の兵士と一緒に戦場を進んでいるような錯覚を起こします。前線に近づくにつれて、敵にも遭遇し、攻撃されます。しかし、自分たちが死んでしまったら、多数のイギリス兵が明日、死んでしまいます。命懸けで伝令するウィルとトムの運命。無事任務を完了できたか、映画を見て確認してください!

ちなみにこの映画、当時イギリス軍で西部戦線の伝令を務めていた、メンデス監督の祖父から聞いたエピソードを多数用いているそうです。だから、よりリアルに感じたんですね。

まるで全編ワンカットのような緊張感あふれる映画

この映画を見る前、リアルさを追求した戦争映画と言われて、真っ先に頭に浮かんだのが「プライベート・ライアン」でした。冒頭のノルマンディー上陸作戦のシーンは映画史に残るのではないでしょうか。次々と殺されていくアメリカ兵を休むことなく映し続け、子供心にすごく苦しくなった記憶があります。
今回の映画、「1917 命をかけた伝令」を見たときも、私は同じく心が苦しくなりました。なぜならこの映画、長回しで撮影され、まるで全編ワンカットのように作られているからです。長回し、ということは、基本、シーンが切り替わることがありません。観客は、主人公のウィルとトムがどこにいるか分からない敵を警戒しながら歩いているのを、ずーっと見ていなければなりません。この緊張感。敵の登場を恐れて私も息をするのを忘れて見入っていました。


イギリス名優が端役で登場!

主演の2人はジョージ・マッケイとディーン=チャールズ・チャップマン。私は2人ともこの映画で初めて知りました。二人ともこれからが楽しみな役者さんです。

2人に大事な任務を命ずるエリンモア将軍は、「英国王のスピーチ」でオスカーを受賞したコリン・ファース。突撃を予定していたデヴォンシャー連隊長のマッケンジー中佐は「ドクター・ストレンジ」シリーズのベネディクト・カンバーバッチ。
この二人、映画の登場シーンはほんの数分ですので、ボーっと見ていると、見逃すかもしれません!

監督はサム・メンデス

私の中では、面白い映画の保証書的存在のサム・メンデスが監督です。私が初めて見た彼の作品は、ケビン・スペイシーが娘の同級生に恋するしょうもない父親を演じた「アメリカン・ビューティー」です。アメリカの一見幸せそうな家庭が崩壊していく様子を描き、衝撃的なラストもあって、私はこの映画に夢中になりました。

その後、007シリーズが好きな友人の影響で、「スカイフォール」を映画館で見ました。あまり007の映画は見たことがなく、知識がない私でも、物語の展開に引き込まれて、最後は涙まで流したのですが、この映画もサム・メンデスの監督作でした。

他にはタイタニックコンビが夫婦役を演じるというファンには何とも嬉しい設定だった「レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで」やアメリカの良心、トム・ハンクスがマフィアの殺し屋を演じた「ロード・トゥ・パーディション」も彼の監督作です。

私にとって、映画を選ぶとき、ストーリーやキャストの他に大事なのが、監督。私の中には、この監督の映画は見たい!という監督さんが多数いますが、サム・メンデスももちろんその一人です。
皆さんのお気に入りの監督は誰でしょうか?

「ボーっと見る」は英語でなんて言う?

”この二人、映画の登場シーンはほんの数分ですので、ボーっと見ていると、見逃すかもしれません!”
を英訳すると、
These two are in the movie only for a few minutes, so if you aren't paying attention, you might miss them!"
となります。

ここでは、「ボーっと見る」=「気を付けていない」と考えて、
pay attention を使いました。

英訳するときは、日本語をそのまま英語にする必要はなく、言いたいことが伝わればいいんです!


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