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[DX事例79]AIが保険加入時の医務査定を自動化_大同生命保険株式会社

ITコンサル×パートナーCFOのタナショーです。

このnoteではDX事例やIT活用事例の紹介を通して、経営者の方がITを身近に感じたり面白いと思ってもらえることで、企業の成長に役立つ情報をお届けしていきます。

今回は保険業界からです。法人保険の代表格である大同生命保険株式会社のAIを使った保険業務の自動化DXです。


AIを使って保険の加入査定を効率化! 大同生命保険株式会社のDX事例

大同生命は特に中小企業向けの法人商品に特化している保険会社です。法人保険といえば、2019年6月に行われた法人保険の損金のルール変更を思い浮かべる方もいるかもしれませんね。あのルール変更に伴い、法人保険の見直しをした経営者も多いかと思います。(記事の趣旨とは異なるので詳細は割愛しますが・・・)

激変が続く法人保険業界ですが、大同生命は1902年の創業から経営者保険のパイオニアとして中小企業市場に特化した商品開発・販売体制を構築しています。
今回はそんな大同生命のDX事例をお伝えしていきます。


①AIが保険加入時の医務査定を効率化「医務査定AI」

保険は最初の加入時に審査がありますが、その加入審査を効率化した事例となります。
今回表題にもなっている医務査定ですが、医師が申込者の病歴や健康状態を確認することにより、保険契約の加入可否や契約条件の有無を判断する業務となります。
申込者の情報を様々な観点から検討・判断する必要があることから自動化やルール化が難しく、従来は医師などの人手による業務が必要不可欠な状態でした。

大同生命は2020年4月にアクセンチュア株式会社と共同で医務査定をAIが自動審査する「医務査定AI」を開発しました。大同生命が抱える過去数年分の保険申込み情報や健康診断表の情報、約10万件のデータ分析をもとに独自のAIモデルを構築されています。

PRTIMES「大同生命、アクセンチュアと共同開発した「医務査定AI」のビジネスモデル特許を共同取得」より抜粋


「医務査定AI」は申込者の症例・健康情報をもとにAIが査定予測を実施するというもので、査定業務の最終判断は査定者が行っています。ここだけを見ると完全に自動化できているわけではないですが、引受の可否や契約条件の判定をAIが実施することで、査定業務で行われた判断プロセスの可視化ができるようになりました。
また、AIモデルによる事後検証も可能となっているため、査定者のサポートや保険締結までの効率化・スピードアップにつながっています。

今回の取り組みにより、2021年2月にはアクセンチュアと共同で業界初のビジネスモデル特許を取得しています。大同生命はこのAI予測モデルの精度向上に取り組むことで、お客様への迅速な引受可否の回答や、保険引受業務のさらなる高度化・効率化につなげたいとしています。



②すべての保険加入でリモート手続きが可能「つながる手続き」

保険業界では、契約の際に対面手続ではなくリモートでの手続きも珍しくなくなってきましたね。
大同生命は2021年10月に、自社が取り扱うすべての保険手続きにおいてリモートでの加入手続きを実現しました。法人向け保険契約での完全リモート化は業界初となります。

大同生命が提供するリモート加入手続「つながる手続」では、保証内容を決定した以降の加入手続きをスマホやPC等で完結することができます。

本人確認や重要事項の説明はスマホによる本人確認書類のカメラ撮影動画視聴が可能。オペレータによる有人説明では、画面共有を使って不明点の説明や入力操作方法をサポートできます。

大同生命保険株式会社「『つながる手続』の利用対象を拡大〜すべての保険加入でリモート手続が可能に〜」より抜粋


リモートでの契約手続のメリットはもちろん、いつでもどこで手続が可能なことです。「つながる手続」はすでに2万件利用されているとのことでニーズの高さが分かります。
さらに、2022年2月には保険金・給付金請求や解約請求でも「つながる手続」が可能になったと発表しています。

大同生命は今後、年間約20万件の保険申込みがスマホやパソコンで完結する試算を立てており、引き続きお客様自身の都合にあわせて時間や場所の制約なく保険サービスを利用できる環境を作っていきたいとのことです。


経営戦略とDXの関連性について

大同生命は2021年8月に発表した「DX戦略」にて、自社におけるDX戦略の位置づけとは「データとデジタル技術の活用を加速・高度化」であると定義しています。

中期経営計画の目標でもある「商品・サービスをお届けする力の強化」「あらゆる事業領域での構造改革」を達成するためにDX戦略を立てており、今回紹介した事例を始めとしたDXへの様々な取組を進めていることを公表しています。

大同生命保険株式会社「DX戦略」より抜粋

特に、今回紹介した「医務査定AI」や「加入手続きのリモート化」では、事務の業務効率や無人化を行うことで人的資源を営業・サービス領域へシフトできたり、デジタルを使った顧客との接点を拡充・関係性の強化につながる「デジタル接点」を増やす効果も出ています。

大同生命はDXを進めることでリアルでの接点やデジタル接点の両方を強化し、お客様”一社・ひとり”にていねいに向き合うという、お客様視点での企業への変革に向けた活動を続けています。

大同生命保険株式会社「DX戦略」より抜粋



まとめ

いかがでしたでしょうか?
今回は保険業務で人が行っていた業務を、AIやリモート化により自動化・効率化するという取組みでした。
保険契約や不動産契約のときの重要事項説明は必ず人が行わないといけないというイメージがありますが、ITの利活用により徐々に無人化が進んで来ました。
皆さんの会社業務でも「絶対にこれは人が行わないと行けない業務」があると思いますが、もしかしたら省人化・効率化できるところがあるかもしれません。ITやDXの利用で改善できるところがないか探してみてくださいね。
タナショー

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参考にさせていただいた情報
大同生命保険株式会社「中小経営計画(2019-2021年度)」
https://www.td-holdings.co.jp/ir/ir-policy/pdf/mid-term-plan.pdf
大同生命保険株式会社「『つながる手続』の利用対象を拡大〜すべての保険加入でリモート手続が可能に〜」
https://www.daido-life.co.jp/company/news/2021/pdf/211001_news.pdf
大同生命保険株式会社「DX戦略」
https://www.daido-life.co.jp/company/info/pdf/dx.pdf
大同生命保険株式会社「『つながる手続』を保険金・給付金請求、解約請求に拡大

https://www.daido-life.co.jp/company/news/2022/220218_news.pdf
PRTIMES「大同生命、アクセンチュアと共同開発した「医務査定AI」のビジネスモデル特許を共同取得」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000289.000019290.html

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