見出し画像

[DX事例76]コネクティッドカーから得られる情報とAIを使って安全な走行体験を提供_日野自動車株式会社

ITコンサル×パートナーCFOのタナショーです。

このnoteではDX事例やIT活用事例の紹介を通して、経営者の方がITを身近に感じたり面白いと思ってもらえることで、企業の成長に役立つ情報をお届けしていきます。

今回は自動車業界からです。主に商用トラックやバスを製造する自動車メーカーである日野自動車株式会社のAIを使った安全運転のDXです。


コネクティッドカーから得られる情報を安全運転に活用。日野自動車のDX事例

日野自動車は商業トラックを中心に製造販売する自動車メーカーですが、主要車種である日野プロフィアや日野レンジャーなどの多くの製品にセンサーやICT機器が取り付けられています。インターネットに接続されたこれらのトラックは「コネクティッドカー」と呼ばれますが、日野自動車はコネクティッドカーを使った安全運転のためのDX活用をしています。


①コネクティッドデータをもとに安全運転情報をアプリで表示「安全エコ運転支援サービス」

日野自動車は2018年からHINO CONNECTを開始しています。車両から取得したコネクティッドデータをベースに、現在位置や安全装置の作動状況などをメールやWeb上で確認できるサービスです。

今回そのHINO CONNECTをバージョンアップした「HINO CONNECT+」として、「安全エコ運転支援サービス」アプリを1月20日から地域限定で先行リリースしています。
HINO CONNECT+はスマホアプリとして用意されており、従来のHINO CONNECTより豊富な情報が見れるようになっています。

日野自動車株式会社「日野自動車、ドライバーの安全で環境にやさしい運転を支援する「安全エコ運転支援サービス」を開始」より抜粋

上図のように安全速度や、車間距離、ブレーキのかけ方などが採点されており、同事業所内の他ドライバーとの走行結果をランキング形式で確認することもできます。
それだけでなく、走行に関するアドバイスを表示したり、分析結果に合わせたトレーニングメニューや、振り返りも提供しています。これらの指標を経営者や管理者向けにもサマリレポートを配信することで、全体的な安全運転の支援を図ることができるとのことです。


②AI が運転状況をもとに最適なバッテリー制御や緊急停止を実行「道路勾配先読み制御」「ドライバー異常時対応システム(EDSS)」

日野自動車のトラックにはAIを使った安全運転の仕組みが用意されていますのでご紹介します。
まず、日野自動車のトラックにはAIを使ったバッテリー制御システム「道路勾配先読み制御(バッテリーマネジメント、トルク配分制御)」があります。
このシステムは100km先までの標高情報を認識・分析し、AIがバッテリー使用の最適なシナリオを作成します。さらに運転状況や運転者の癖をもとに、状況に応じてバッテリー走行/アシスト走行/ガソリン走行かを判断・制御することで最適かつ効率的な燃費を実現することが可能とのことです。

日野自動車株式会社「日野プロフィア_ハイブリッド」より抜粋


また、危険運転を検知し急制動をかけるシステム「ドライバー異常時対応システム」もあります。こちらは2019年に当時としては商用車として世界初のAIシステムとして開発されました。ドライバーモニターを使ってAIがドライバーの顔を認識、健康状態や居眠り状態を監視することで、異常時や安全運転の継続が困難な場合に車両の減速および停止をします。

日野自動車株式会社「日野自動車、商用車世界初となるドライバー異常時対応システム(EDSS: Emergency Driving Stop System)を開発 今夏、日野セレガに搭載し発売予定」より抜粋

日野自動車は2025年までに交通事故をゼロにすることを目標としており、AIを使ったこれらの技術を活用することで目標達成に向けて活動を続けています。


経営戦略とDXの関連性について

日野自動車は「2015年に向けて 会社の使命」という資料において、お客様・社会への価値提供の一つに「先進技術も活用し、 お客様の車両1台ごとにOne to Oneのサポートを提供する」を掲げており、IT活用を積極的に推進していくことを記載しています。

日野自動車株式会社「2015年に向けて 会社の使命」

また、コネクティッドカーから得られる情報の活用にも着目しており、今回紹介した安全運転の向上に使うだけではなく、物流や他業種とのデータプラットフォームへの活用も進めています。

2020年10月には株式会社Hacobuと資本業務提携を締結し、Hacobuの提供する勤怠管理サービスである「MOVO Fleet」と日野のコネクティッドトラックが連携をスタート
さらに2021年12月は株式会社ドコマップジャパンともデータ連携を開始し、ドコマップジャパンの動態管理ソリューション「DoCoMAP」とも日野のコネクティッドトラックが連携開始しています。

日野自動車株式会社「日野自動車とHacobu、日野コネクティッドトラック向けに動態管理サービス MOVO Fleet の1か月無料トライアルキャンペーンを実施」より抜粋
日野自動車株式会社「ドコマップジャパンと日野、データ連携を開始 DoCoMAPに日野のコネクティッドトラックが対応、稼働効率化に貢献」より抜粋

これらの取り組みはCASE時代を見据えた活動とも言えます。日野自動車はコネクティッドカーから得られる情報を様々な分野に公開、提供していくことでデータを提供する企業「データプロバイダー」を目指しています。
日野自動車はこれからもお客様の課題に真摯に取り組みながら、データを活用したソリューション提供を続けています。


まとめ

いかがでしたでしょうか?
今回はAIや、コネクティッドカーから得られるデータ活用を行うことで、ドライバーが安全・安心な運転をするためのIT活用でした。
以前の佐川の記事でも書きましたが、これからは物流が急激に高効率・高度化していく時代になると思います。
「注文した荷物がいつでも、すぐに届いてほしい」という顧客のニーズに対して、ドライバー不足/人手不足などの問題がある物流業界では、ロボットやIT活用による効率化が必須になってきました。
物流業界では、今後ますます便利な技術やIT活用が登場してくると思いますので、引続きDX事例にてご紹介をしていきたいと思います♪


参考にさせていただいた情報
日野自動車株式会社HP
https://www.hino.co.jp
日野自動車株式会社「2025年に向けて 会社の使命」
https://www.hino.co.jp/corp/for_investors/pdf/business_strategy/20181030IR_4.pdf
日野自動車株式会社「HINO REPORT 第109回報告書」
https://www.hino.co.jp/corp/for_investors/hino_report/pdf/20210624IR_1.pdf
日野自動車株式会社「日野自動車とHacobu、日野コネクティッドトラック向けに動態管理サービス MOVO Fleet の1か月無料トライアルキャンペーンを実施」
https://www.hino.co.jp/corp/news/2021/20210614-002950.html
日野自動車株式会社「ドコマップジャパンと日野、データ連携を開始 DoCoMAPに日野のコネクティッドトラックが対応、稼働効率化に貢献」
https://www.hino.co.jp/corp/news/2021/20211130-003101.html
日野自動車株式会社「日野プロフィア_ハイブリッド」
https://www.hino.co.jp/profia/profia_hv/#hv-section7
日野自動車株式会社「日野自動車、商用車世界初となるドライバー異常時対応システム(EDSS: Emergency Driving Stop System)を開発 今夏、日野セレガに搭載し発売予定」
https://www.hino.co.jp/corp/news/2018/20180521.html


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?