見出し画像

目指すはゼネコンから”先端ITゼネコン”へ!合言葉は「土木をコードで書きかえろ。」〜DX事例24_鹿島建設株式会社〜

ITコンサル×パートナーCFOのタナショーです。

このnoteではDX事例やIT活用事例の紹介を通して、経営者の方がITを身近に感じたり面白いと思ってもらえることで、企業の成長に役立つ情報をお届けしていきます。

今回は以前紹介した大林組と同じく、ゼネコンの中でも大手5社の一角を占める鹿島建設株式会社のスマート建設に関するDXです。


土木技術と建築技術の両面でDXを推進

鹿島建設はダムなどの土木現場での作業、ビルの建築現場それぞれにDX技術を活用しているので順に紹介していきます。

①土木現場での建設機器の自動化「A⁴CSEL(クワッドアクセル)」
2024年の完成を目指して建設中である秋田県成瀬ダム。この現場を舞台に、鹿島建設が開発した建設生産システムである「A⁴CSEL(クワッドアクセル)」が活用されています。「A⁴CSEL」システムは土木建設に使用するトラックやブルドーザを自立型の自動運転を可能にしています。

成瀬ダムでは現在、23台の自動化されたダンプトラック、ブルドーザ、振動ローラなどの重機が昼夜休むことなく働き続け、運転データから施工進捗をリアルタイムに確認することができています

スクリーンショット 2021-02-06 14.47.39

鹿島建設株式会社”A⁴CSEL”専用ページ「土木をコードで書き換えろ。」より抜粋


②建築現場での「データ化」と「見える化」を実現するDX
建築現場ではデジタルツインを活用した事例となります。

デジタルツイン:IoTデバイスなどで現実の情報を取得し、仮想空間上にリアル空間を再現すること。物理空間の将来の変化を仮想空間上でシミュレートすることができる。

上記の説明にもありますが、デジタルツインのメリットは仮想空間上でシミュレーションできることにあります。建築場面でのデジタルツイン活用例といえば、建築の図面を全てデータ化して、耐震構造に問題がないか耐震シミュレーション。高層ビルであればビル風シミュレーションによる周辺環境への影響評価に活用できます。

鹿島建設は企画開発から全ての図面をBIM(Building Information Modeling)でデータ化しています。これにより、気流や火災時の人の流れなど様々なシミュレーションを行っており、図面をブラッシュアップすることで付加価値の向上・手戻りの削減をしています。

スクリーンショット 2021-02-06 15.08.07

鹿島建設株式会社 プレスリリース「日本初!建物の全てのフェーズでBIMによる「デジタルツイン」を実現」より抜粋


更に建築現場内の人や機材、工事車両などの位置情報や稼働状況をリアルタイムに表示する「K-Field(ケイ・フィールド)」を開発しています。これを活用することで、データ化された仮想空間(BIM)でデジタルツインを生成/シミュレーションし、施工中も仮想空間上の建築構造のとおりに開発できているかモニタリングできるようになりました。

画像3


経営戦略とDXの関連性

鹿島建設のDXの取り組みと経営戦略の関連性を紹介していきます。IR資料である「鹿島統合報告書2020」から、鹿島建設は2018年度より建築の生産プロセスを変革する「鹿島スマート生産ビジョン」を策定しています。

その中で3つのコンセプトを示しており「作業の半分はロボットと」「管理の半分は遠隔で」「全てのプロセスをデジタルに」というコアメッセージを元に、2024年度までに生産性を3割向上することを目標にしています

スクリーンショット 2021-02-06 15.58.03

鹿島建設株式会社HP「鹿島統合報告書2020」より抜粋


「鹿島スマート生産ビジョン」は、建設就業者不足への対応と、働き方改革の実現を背景に策定されています。2019年時点の記事では「建設現場において一般化している4週4休の休日環境を4週8休にしていきたい」ともありました。

ITの積極活用により生産性向上に取り組む。そして、人の経験とノウハウがIoTやAIと融合することで、建設業が新しい魅力のある仕事へ生まれ変わるための活動を鹿島建設は続けています。


まとめ

いかがでしたでしょうか?
コアコンセプトである「作業の半分はロボットと」についてですが、鹿島建設は全ての作業をロボット化するのではなく、ロボットでできる作業と人ができる作業は切り分けて考えているとのことでした。だから半分なのですね。

これにはタナショーも賛成です。DXは人の作業を減らす省力化だけが目的ではありません。DXは、もっと”人が実施すべき”高度な作業や判断に注力できるようにするためのものでもあります

DX事例の中でも何度も書いていますが、DXは企業が最適なサービスを提供するために、人も組織もガラリと変えるものです。最適なサービスとは、サービスの高品質や提供スピードの高速化、付加価値向上、新しい体験の提供など様々な意味合いがありますが、それを考え出すには人の知恵が必要ですし、開発するための人の努力も必要不可欠です。

AIで人の仕事がなくなる領域はあるかもしれませんが、だからといって人の仕事はなくなったりしません。人が行うべき仕事が変遷していくのだと思います。
あなたは自身が実施すべき仕事や職務に注力できていますか?そんなとき、ITの活用が役立つ場面が多いはず。タナショーもそんなときにお役に立てるよう、引き続き有用な記事を紹介していきます♪
タナショー


参考にさせていただいた情報
鹿島建設株式会社HP
https://www.kajima.co.jp/welcome-j.html
鹿島建設株式会社「土木をコードで書き換えろ。」
https://www.kajima.co.jp/tech/c_recruit/index.html
鹿島建設株式会社「鹿島統合報告書2020」
https://www.kajima.co.jp/sustainability/report/2020/pdf/ir_all.pdf
鹿島建設株式会社 鹿島ダイジェスト「鹿島スマート生産が担う建設現場の未来」
https://www.kajima.co.jp/news/digest/may_2019/feature/05/index.html
鹿島建設株式会社 プレスリリース「日本初!建物の全てのフェーズでBIMによる「デジタルツイン」を実現」
https://www.kajima.co.jp/news/press/202005/11a1-j.htm
BUILT Building✗IT「設計から維持管理まで一気通貫のBIM連携を新築ビルで実現、鹿島のデジタルツイン構想」
https://built.itmedia.co.jp/bt/articles/2005/19/news034.html

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?