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[DX事例52]オンライン診療が生み出す安心安全な医療現場のDX化_エムスリー株式会社

ITコンサル×パートナーCFOのタナショーです。

このnoteではDX事例やIT活用事例の紹介を通して、経営者の方がITを身近に感じたり面白いと思ってもらえることで、企業の成長に役立つ情報をお届けしていきます。

今回は医療業界からです。国内の医師の約80%以上が登録する医療ポータルサイト「m3.com」を運営するエムスリー株式会社のオンライン診療のDXです。


オンライン診療で自宅から気軽に受信可能。エムスリーのDX事例

エムスリーは従来、製薬企業向けのマーケティング支援を主力としている会社ですが、近年では製薬企業ではなく医療現場・診療現場へのサービス展開も積極的に行っています。そんなエムスリーの医療現場DXについてご紹介します。


①自宅にいながらLINEでオンライン診療「LINEドクター」
エムスリーはLINE株式会社との共同出資により設立した合弁会社「LINEヘルスケア株式会社」にて、LINEでオンライン診療が可能なサービス「LINEドクター」を展開しています。

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LINEヘルスケア株式会社「LINEドクター」より抜粋

使い方も手軽で、LINEまたはPC上から受信したい医療機関を選択し、医師や希望時間を選択することで簡単に診療予約が完了、LINEのビデオ通話で受診ができます。初期登録も、自身の情報や診察券の写真を「LINEドクター」上で登録するだけでOKであり、決済もクレジットカード/LINEPayに対応しています。処方箋は「自宅に郵送」または「薬局にFAXで送付」が選択でき、薬局がFAX対応していれば、受診後に当該薬局に行けばすぐに受け取ることが可能です。

このサービスのメリットはもちろんのことながら、非対面で受診が受けられることにあります。受診時間が予約できることから病院の待合室で長時間待つ必要はなく、三密を回避して自宅でリラックスして受診することが可能になります。

LINEドクターは現時点において受信者/医療機関共に利用料は無料ということで、都内以外にも順次導入しているクリニックが増えてきているとのことです。


②クラウド版電子カルテで、カルテの入力作業を大幅省力化。「M3 DigiKar」
電子カルテは他同業他社もサービス展開しており、特筆すべき機能もそこまで多くはないためポイントを絞ってご紹介します。

エムスリーはクラウド版電子カルテサービス「M3 DigiKar(エムスリーデジカル)」を提供しています。この特徴としてAIによる自動学習機能が挙げられます。患者の処置行為の傾向パターンと医師の診断処置傾向パターンを学習し、AIが「患者の特性に合わせて、医師の好みの処置行為を覚える」ことで電子カルテの記録を省力化することが可能になっています。このAI学習機能により、従来の電子カルテ入力よりも80%の時間を削減できるとのことです。

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M3 DigiKar HPより抜粋

エムスリーデジカルでは他にも、処方監査として処方した薬剤の適応症チェックや副作用・相互作用チェックができるようになっており、処方ミスによる医療事故を防ぐための機能も用意されています。


DXと経営戦略の関連性について

エムスリーの2021年の決算発表資料「エムスリー株式会社会社説明資料」にて、医療現場のDXを積極的に支援していくと発表しています。

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エムスリー「エムスリー株式会社会社説明資料 2021年4月」より抜粋

上記のように「アクセス/診療/支払い/薬/カルテ/夜間緊急対応」というカテゴリに対してDX化の参考例をあげています。どれもオンライン化としてのメリットとなり、これら医療現場のDXが実現した際のポテンシャルは同社のマーケティング支援より大きくなると想定しているとのことで、引き続き医療現場や診療現場DX支援を展開していくとのことです。


まとめ

いかがでしたでしょうか?
オンライン診療は2018年4月にスタートしていますが、当初は「初診はNG」「自宅とオンライン診療する医療機関が近いこと」などの条件がありました。そこから新型コロナウィルスの流行に伴う、2020年4月13日より初診のオンライン診療が一時的に解禁となり、今後はオンライン診療が恒久化される動きも出ています。三密を避けつつ、気軽に受診が可能なオンライン診断の需要はますます高まっていくでしょう。

今回は時代の状況に合わせて法改正を続けている医療業界に対して、法改正にいち早く対応し、顧客のニーズにマッチしたサービスを作り出した事例だったかと思います。

皆さんの会社を取り巻く業界も、法改正や顧客のニーズの変容など、変化のスピードが激しい業界も多いでしょう。その変化に対応するためにDX活用が一つのヒントになるかもしれません。引き続き、DX事例を紹介していくので次回もお楽しみにしていただければと思います。
タナショー


参考にさせていただいた情報
エムスリー株式会社 HP
https://corporate.m3.com
エムスリー株式会社「エムスリー株式会社会社説明資料 2021年4月」
https://corporate.m3.com
LINEヘルスケア株式会社「LINEドクター」
https://doctor.line.me
M3 DigiKar HP
https://digikar.co.jp
m3.com HP
https://www.m3.com
日経ビジネス「LINEの健康相談、月10万件ペース 4割強が新型コロナ関連」
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00110/040900015/

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