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[DX事例78]AIを使ったフォークリフトの自動化で物流施設の業務を効率化_大和ハウス工業株式会社

ITコンサル×パートナーCFOのタナショーです。

このnoteではDX事例やIT活用事例の紹介を通して、経営者の方がITを身近に感じたり面白いと思ってもらえることで、企業の成長に役立つ情報をお届けしていきます。

今回は建設業界からです。総合住宅メーカーとして最大手である大和ハウス工業
株式会社の建設DXについてお伝えしていきます。


AIフォークリフトやWebカメラで建設に関わる工程を自動化! 大和ハウスのDX事例

最近はリモートワークもすっかり定着しましたね。タナショーの周りでも地方に移住する方も出てきました。どんな場所にいても働くことができると実感しています♪
大和ハウスも注文住宅ではテレワーク用の省スペースの個室オプションが用意されていたりと、ニューノーマルな暮らし方に合わせた商品もどんどん登場しているようです。今回はそんな大和ハウスが行っているDX事例を紹介していきます。


①AIフォークリフトがトラック積み卸しを自動化

大和ハウスは2021年9月からイオングローバルSCM株式会社、花王株式会社などの5社共同でトラックからの積卸しを自動化する共同実証事業を開始しています。

この実証実験は物流施設への「入荷」と「出荷」の自動化を目標としており、その第一段階としてAI(自動運転)フォークリフトを使った積卸し自動化に取り組んでいます。

現在物流施設において、棚から必要な荷物を取り出す「ピッキング作業」や、パレットへの積みつける作業や荷下ろしする作業である「パレタイズ」「デパレタイズ」は自動化が進んでいます。しかしながら、物流施設での「業務の入り口」でもあるトラックからの積み卸しについてはトラックの停車位置や荷台の高さなどが変動するため、自動化が難しく人手に頼っていた状態でした。

今回の取り組みでは、AIを搭載したフォークリフトを利用します。フォークリフト内にあるカメラからトラックの停車位置、パレットの色や穴の位置などを認識して自動積み卸しをします。これをすることで、物流施設内での荷物の移動を省人化・効率化に繋げます。

大和ハウス工業株式会社「AIを搭載した自動運転フォークリフトを活用し、トラック運行と連携させる共同実証事業を開始」より抜粋


さらに今回の実証実験ではトラック運行計画情報との連携も進めています。
適切なタイミングでトラックが物流施設に到着するようにコントロールすることで、積み卸し待ちのトラック渋滞がなくなります。さらに自動運転のフォークリフトによる荷下ろしと組み合わせることで、夜間でも物流施設の操業ができるようになりサプライチェーン全体の効率化を実現することが可能になります。

大和ハウス工業株式会社「AIを搭載した自動運転フォークリフトを活用し、トラック運行と連携させる共同実証事業を開始」より抜粋




②ITによる管理・監理の無人化「統合ビデオ管理システム」

大和ハウスは2022年2月より、全ての戸建住宅の全工事現場にWebカメラを導入しています。大和ハウスの戸建住宅の工事現場は年間約7,000棟もあるそうです。
数字からも分かる通り、ビルやマンションなどと比べて小規模な工事現場の数は多く、現場監督は複数の現場を兼務することが多いため、現場巡回のための移動時間が大きな負担となっていました。
今回のWEBカメラ導入は、そんな現場監督の労働環境の改善と業務効率化を目的としています。工事現場に設置されたWEBカメラから工事状況や資材の運搬状況のデータを収集し、遠隔管理できるシステム「スマートコントロールセンター」に情報が集約しています。

大和ハウス工業株式会社「全ての戸建住宅工事現場にWEBカメラを導入します」より抜粋

工事現場監督はこのコントロールセンターから管理・監視をすることができます。また、現地に行かなくともタブレット端末やモニターなどを通じて、作業員との円滑なコミュニケーションを取ることも可能です。これらの取り組みにより、現場監督の業務効率を約15%改善し、残業等の長時間労働の抑制につなげることができています。

また、Webカメラから得られる情報をAI分析することも進めており、作業員の危険予知・危険予防の検知。敷地内への不審人物の侵入検知システムも開発しており、工事現場における様々な改善を進めるとともに建設DXを進めています。


経営戦略とDXの関連性について

大和ハウスの「統合報告書2021」では、DXのことを「社会ニーズに対応し、多様な働き方やものづくりで新たなイノベーションを生み出す手段」としており、積極的にDX推進を進めようとしています。

特に、建設業界を働く人々に向けて、建設業をさらに魅力的な仕事とするための「働き方の抜本的改革」である「デジタルコンストラクションプロジェクト」を開始しています。

大和ハウス工業株式会社「統合報告書2021」より抜粋


今回のDX事例でも取り上げたWebカメラは、本プロジェクトのテーマの1つでもある「管理・監理の省人化・無人化」となっており、他にも「施工の省人化・無人化」「設計の省人化・無人化」「次世代工業化システムの開発」「システム構築、運営、人材育成」というテーマもあります。

これらの重点テーマは、ものづくりに関する現場の様々な業務をデジタル化し、業務の大部分を省人化・無人化するとともに、より安全で品質の高い建築物を作り出すための取り組みとなります。

大和ハウスは建設業界のリーダーとして、建設業界におけるかつての“3K”のイメージを変え、将来の建設業界を担う若い世代が「働きたい」「働きがいがある」現場を目指し、働く人にとって魅力的な仕事となるよう、建設現場のDXを進めています。


まとめ

いかがでしたでしょうか? 今回は建設に関する業務や物流を効率化するための取り組みでしたね。
特に1つ目のDX事例では、AIフォークリフトを使った自動積み卸しという、物流施設での業務でボトルネックとなっている箇所を解決する試みです。
ITを使った業務効率化でよくある話ですが、一つの業務をIT化・DX化をしても全体を通して見ると効率化できていない場合があります。それは後続のボトルネックとなる業務で滞留や遅延が起きていることが原因です。
効率化を考える場合、一部分だけを見るのではなく全体を通して一気通貫で業務効率化できないか考えることが重要です。
タナショー


参考にさせていただいた情報
大和ハウス工業株式会社「統合報告書2021」
https://www.daiwahouse.com/ir/ar/pdf/daiwahouse_IR2021J_a5.pdf
大和ハウス工業株式会社「IT Annual Report2020」
https://www.daiwahouse.com/ir/dxar/pdf/itar2020.pdf
大和ハウス工業株式会社「AIを搭載した自動運転フォークリフトを活用し、トラック運行と連携させる共同実証事業を開始」
https://www.daiwahouse.com/about/release/house/20210917093153.html
大和ハウス工業株式会社「全ての戸建住宅工事現場にWEBカメラを導入します」
https://www.daiwahouse.com/about/release/house/20220217132214.html
日本経済新聞「AIフォークリフトで入出荷を自動化 大和ハウスなど実験」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF14D9Q0U1A910C2000000/
日経XTECH「大和ハウス工業が6段階のレベル設定で挑む「現場管理の無人化」」
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01806/101200018/

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