物を大切にする人になりたいと言ったら笑われた
わたしは、中学生の頃の授業で、どんな大人になりたいか?と聞かれ、「物を大切にする人になりたい」と答えた。
先生とクラスの人たちに笑われた。
先生は「ふぅ~ん。物を大切にする人…」と呟いていた。
理想の答えではなかったらしい。
なぜ、そんなに不思議に思われ、笑われるのか分からなかった。
先生が他の人に同じ質問をした時に、「優しい人になりたい」とか「親に恩返しができる人になりたい」と答えていたのを聞き、そんな回答が良いのか…と思った。
それ以来、自分の答えが他の人と違っていないかと気になるようになった。
なぜ、物を大切にする人になりたいと口から出たのか、いまでも不思議に思う。
多分、祖母が「もったいない、もったいない」と口癖のように言っていたのを聞いて育ったからではないかと思う。
祖母の「もったいない」で一番印象に残っているのは、調理用の透明のラップを洗って干して使いまわすのだ。
我が家の縁側の窓には、サランラップを干すために洗濯ばさみが並んでいた。
ラップに太陽の光が反射しているのか、いつもキラキラしていた。
干したラップは、魚をさばいた時の骨や、食べ残しを捨てるために包んでいたような気がする。
だから、わたしもラップは洗って使うものだと思っていた。
そして、ひとり暮らしを始めた時に、ラップを干す場所を作っていた。
ある日、遊びに来た友達にラップを干しているのを見つかって大笑いされた。
「そんな無駄なことを…。しかも汚い」と言われて、驚いた。
今まで、当然だと思って生きていたことが、世間では笑われることだったのだ。
人の価値観はそれぞれだ。
ラップを洗って使うのが良いのか悪いのか分からないが、今でも、よっぽどの汚れではないラップは、キッチンのシンク洗いに再利用している。
やはり、物を大切にする人になりたい気持ちには変わりない。
感謝いたします。