見出し画像

100年前から愛され続ける「クリームソーダ」誕生ストーリー

本日は、喫茶店メニューに欠かせない「クリームソーダ」の誕生ストーリーをご紹介いたします。
 



日本初のクリームソーダが誕生したのは、およそ100年前。明治時代の銀座で生まれました。

場所は、資生堂薬局の中に作られた小さなスペース「ソーダ・ファウンテン」。

ソーダ・ファウンテンとは、清涼飲料水や軽食を提供するために備えられた、カウンター形式の売店のこと。

今の「資生堂パーラー銀座本店サロン・ド・カフェ」の前身です。ここに残されている一番古いメニュー表(1922年のもの)に「アイスクリームソーダ水」と記載されています。

正確な日時は分かりませんが、1922年にはすでにクリームソーダは存在していました。

現在の銀座の街並み

クリームソーダが誕生したきっかけは、1900年に資生堂の創業者である福原有信氏が出かけた「欧米視察旅行」。

アメリカに、ソーダ水とアイスクリームを製造・販売するドラッグストアがあることを知った福原氏は「日本にも作ろう」と決意します。

1902年、資生堂薬局の中にソーダ・ファウンテンを開設。日本ではじめてソーダ水を作り始めました。また、当時まだ珍しかったアイスクリームも製造・販売し始めたのです。

ソーダ水製造機、シロップ、グラス、スプーンなどを本場アメリカから取り寄せて作ったハイカラな味わいは、西洋文化が集まる銀座でたちまち大評判となりました。

また、資生堂は、化粧水「オイデルミン」をソーダ一水につき一本、景品としてプレゼントしました。

この取り組みが、流行に敏感な新橋の芸者を中心に広まり、大当たり。銀座の名物になりました。

現在の銀座の街並み

クリームソーダが誕生した明治時代は、文明開化により日本の生活習慣が変化していた時代でした。暦も変わり「一日24時間」に制定。レンガ造りの洋館、洋服、洋食が広まりました。

また、ガス灯やアーク灯が街を明るく照らしました。ろうそくや行灯に慣れ親しんでいた人々は、きっと驚いたのではないでしょうか。

新しいものへの期待や好奇心が高まる中、グラスの中できらめくクリームソーダは人々の心を掴みました。

あの文豪・森鴎外もソーダ・ファウンテンへ足繁く通い、娘と一緒に「レモン味のクリームソーダ」を味わったのだとか。

のどが渇いたときや気分転換したいとき、シュワシュワした炭酸水を飲みたくなります。爽やかな味わいはもちろん、目にもおいしいクリームソーダの魅力は、昔も今も変わらないのですね。

今、InstagramなどのSNSで再び注目されているクリームソーダ。当喫茶店でも、季節を問わず老若男女にとても人気があります。

100年もの長い間、わたしたちを夢中にしてきたクリームソーダは、きっとこれからも愛され続けるのではないでしょうか。

クリームソーダ


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?