短編ミステリー>痛み蟲
はじめに違和感を覚えたのは、姉との電話の最中だった。
「最近大きい発作あって。怖くてさ、眠れないんだ。」
僕より3つ年上の姉は高校卒業と同時に東京へ上京して、2年ほど経った頃から、定期的に電話をしてくるようになった。姉はなんというか………まるで蛍のように繊細で、綺麗な水と澄んだ空気の中でしか生きられないのではないかというくらい、東京の淀んだ空気には耐えられないと電話の向こうでいつも泣いていた。
僕としては、そんな姉が酷くうらやましかった。
僕の両親は俗にいう“毒親”で、普