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ハクチョウのいる街【生ラブ#23】

菅生沼に今年もハクチョウが来たそうだ.

私が今住んでいる茨城県は日本で2番目に大きな霞ヶ浦をはじめ,前述の菅生沼など多数の沼や湖がある.ハクチョウなどの水鳥の渡来は冬の訪れを知らせてくれる嬉しいニュースだ.

しかし元々私は栃木県,それも中心地の宇都宮の出身だ.お隣の県といえども栃木県は日光の中禅寺湖など山奥に行かないと湖がない.そのため水鳥などとはあまり縁がなかった.

そんな私だが大学は新潟大学に進学した.新潟も言わずと知れた水鳥の渡来地だ.〇〇潟とつく湖が点在しており,もちろんハクチョウも訪れる.

新潟といえば米どころとしても有名.街の下には広大な田んぼが広がっており,見晴らしが良いところが好きだった.

あれは雪がまだ降る前,高速道路を走りながら稲刈りの終わった田んぼを眺めていた時のこと.田んぼの中に土嚢が点々と置かれているのを見た.どうして田んぼの中に土嚢が、それもばら撒かれているんだろう?と疑問に思ってよく見てみると,それは丸まっているハクチョウだった.

田んぼの中にハクチョウがいることにも驚いたし,その数もすごかった.何よりやっぱり,丸まった姿は白い土嚢に見えることが可笑しくて一人で笑ってしまった.

新潟でのハクチョウショックはそれだけではなかった.私の住んでいた大学周辺の街の上を普通にハクチョウが飛んでいくのだ.

まず,ハクチョウは結構声が大きい.コオーン!という感じの大きな声がしてビックリすると,頭上を大きな鳥が複数飛んでいく.知っていると思うが,ハクチョウは鳥の中でもかなり大きい.カラスやハトが頭上を飛んでいくのとは訳が違う.

しかもなかなかの低空飛行.はっきり言って怖い.思わず頭を引っ込めてしまうくらいだ.長距離移動となると体力が必要だろう.それでもあの巨体で渡りをしてくると思うと感心してしまう.

そんなわけで,新潟にいる間に私はハクチョウについて色々と衝撃を受けた.日本の鳥であるトキは見れなかったけれど,ハクチョウだけでなんだかお腹いっぱいだ.野生のトキは生粋の新潟県民でも見たことのある人は稀らしい.

トキはご丁寧に保護されているにもかかわらず,ドジョウを食べすぎて病気になったというニュースもあった.人間のエゴと野生生物の噛み合わなさよ.

そんなことを思い出しながら,今年もハクチョウを見にいくのを楽しみにしている.


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