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【ほねなしエッセイ#9】幼少期の記憶。トンボとハネアリとコウモリと。

3歳くらいまでは父の実家に住んでいた。祖父が建てたその家は古い木造2階建ての一軒家で、隣には川が流れていた。

この家での記憶は非常に限られたものである。
その中でも印象的なのが、トンボとハネアリとコウモリ。

母に”ねるねるねるね”というおやつを買ってもらった日のこと。ねるねるねるねというのは、粉に水を混ぜると紫とか緑とかのネバネバした謎の物体ができるグロテスクな子供のお菓子である。今考えるとすごいものを食べてたなと尻込みしてしまうけど、子供はああいうの好きだよね。。。

楽しくねるねるしていたところ、外の物干し竿の上にトンボが止まった。

「トンボさん、のど渇いてるかなぁ?」

何を思ったか、トンボに水を飲ませてあげようと考えたらしい。ねるねるねるねの容器には、水を混ぜるために使う小さなカップが付属している。カップに水を注ぎ,物干し竿のトンボに持っていって飲ませた・・・と記憶しているのだが,そんなわけあるのだろうか。。。しかし非常に嬉しい思い出として私の中に残っているのでそのままにしておくことにする。


ハネアリの大量発生事件も記憶に鮮明だ。ある日、家中がハネアリだらけになった。居間の床を覆い尽くすハネアリを母が懸命に掃除機で吸っている。私は座布団の上でぴょんぴょんと跳ねながら大喜びでそれを見ていた。

コウモリは実は実際には見ていない。見たかもしれないけれど覚えてはいない。けれど、ことあるごとに母が「うちの屋根裏にはコウモリが住んでるからね!」と言っていたのでなんだかとても身近に感じていた。2階へつながる昔のやけに急な階段の奥にコウモリの存在を意識して過ごしていた。


昔は生き物と人とがもっと近かったよな、と懐かしく振り返っている。今でも私は家の中でクモを見つけても放っておくし、ゴキブリもできる限り生け捕りしてお外へ帰ってもらう。

清潔なのはいいけれど、周りから人以外のものを排除しようとすればするほど自然との繋がりは薄くなっていく。コロナ禍で除菌除菌とついに目に見えないものまで排除し始めてしまった。このままいくと人類は・・・なんて幼少期を楽しく振り返るつもりがつい難しく考え始めてしまった。

どちらにせよ私たちはこの地球で他の生き物と生きていくのだ。自分の息子はもちろん、他の子供たちにも生き物との愉快で楽しい記憶が残ることを心から願っている。


☆☆生き物との出会いや体験を綴るエッセイ連載中☆

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