ひつじそば人と羊

荻窪の羊ラーメン店です。

ひつじそば人と羊

荻窪の羊ラーメン店です。

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「日本一」より「日本初」 〜開店から一年によせて〜

本日のちょうど一年前、2019年11月6日に神保町にて人と羊は営業を始めました。 あれから丸一年となりましたが、5月以降は週1回のみで実動9ヶ月ほどですし、今かろうじて命脈を保っているのはねいろ屋に依存している部分が大きいので、「1周年」と呼ぶのはおこがましく思います。 正式な移転先で1年経って「1周年」と呼ぶのが正確でしょうから、もしお祝いのお言葉を贈られるのであれば真の1周年の日まで取っておいてください。 何はともあれ何とか1年生き延びました。皆様ありがとうございます。

    • 限定ラーメンお休みします 〜「ラーメン屋」になるために 〜

      久々のnote投稿になりました。 神保町から退去し荻窪で週1〜2回の営業になってかれこれ1年少々、休止期間除いてほぼまる1年でしょうか、看板商品の「ひつじそば」とその週の限定ラーメン(4月からは「羊中華」のレギュラー2品)というスタイルでほぼ毎週別メニューを作り続けてきました。 おかげ様で週2日に増やしてもお客様が半分になることもなくなんとか続けてこれました。 ただ徐々にどうしても払拭できないものが澱のように溜まってきました。 懸念していたのは看板商品のひつじそばでは無

      • 続・「黙食」の向こう側 〜「おひとりさま限定」という新しい価値観〜

        正月明けの緊急事態宣言から広まった「黙食」という言葉。 この「黙食」という感染防止策には理解も共感もできますが、言葉のニュアンスにどうも違和感がありまして。 人と羊が感染防止策として「会話禁止(≒黙食)」ではなく「おひとりさま限定」にしていたのは、 「禁止」「黙れ」という単なる束縛ではなく、「限定」にすることで生まれる新しい価値観を模索していたからです。 複数で来店しながら会話せずに食事する意義もあまりないですし、完全におひとりさまになることでしか生じない、料理に対する

        • 「黙食」の向こう側

          静岡の至宝「さわやか」の壁にはこう書かれています。 「炭焼きハンバーグは"話食"です。」 この「話食」とは話のネタとして語り合いながら食べたり、食後にSNSに上げて語り合うという意味ではありません。 一対一で集中してハンバーグと向き合い、ハンバーグに耳を傾けハンバーグと語り合い、しいてはそのハンバーグとの対話を通してその奥にいるハンバーグの作り手と語り合うということです。 たぶん。 いや、絶対に。 絶対にさわやかの人はそんなこと考えてないとは思いますが。 例えば

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        「日本一」より「日本初」 〜開店から一年によせて〜

          売れるネーミング、残るネーミング

          2021年初noteです。 今年もよろしくお願い申し上げます。 いっこうに見つからない移転先に新年早々からの時短営業要請、人と羊も一旦お休みをいただくなどまだまだ不透明な見通しですが、皆様と一緒に1年乗り越えられればと思います。 昨年は1年間で51杯の新作らーめんを出しました。 だいたい週1ペース。そのうち1ヶ月は休みで半年は週1のみ営業だったので、実質的には週1以上のペースで新作を出していたことになります。 以下、開店から昨年末までの前商品名(商品名の後の数字は出した

          売れるネーミング、残るネーミング

          新・すべてのラーメンは限定ラーメンである

          開店時、ひそかに限定麺について三つの目標を立てていました。 その一、限定は特別な時にしか出さない。 その二、他の店が出していないもの、思いつきそうにないものしか出さない。 その三、限定が売り切れたからとがっかりされる店、何も食べずに帰ってしまわれるような店にはならない。 その一は早々に断念しましたが、その二は今のところ限定に限らず全てのメニューでできていると思います。 その三がまだ達成できてないし、やってみると想像以上にものすごく高いハードルに感じます。 限定売り

          新・すべてのラーメンは限定ラーメンである

          続・すべてのラーメンは限定ラーメンである

          前項で「実際は限定ラーメンなしでは売上が立たないから半ば仕方なく作っている」と書きましたが、その仕方なさのもう半分は楽しさでもあります。 では僕の場合どういったきっかけで限定ラーメンを作るのか、6つのパターンに分けてみました。 ①クリスマスやハロウィン、バレンタインなど(内心は乗り気ではないしラーメンには不向きなイベントだが何も手を打たないと惨敗必至なので仕方なくそれ)に合わせて作る限定 ②余剰になった食材を消費するために作る限定 ③季節ならではの食材や夏は冷製やつけめん

          続・すべてのラーメンは限定ラーメンである

          すべてのラーメンは限定ラーメンである

          自信でもなんでもなく客観的にみて、人と羊は日本でもトップクラスに限定ラーメンを頻発する店です。 「あんなに頻繁に限定ラーメンが作れるって凄いですね」とよく言われます。 でも限定ラーメンを頻発することが凄いことだとは思わないです。 むしろ凄くないから限定ラーメンを頻発しています。 限定ラーメンを頻発しないとなかなかリピーターがつかず日々の売上が立たないから半ば仕方なくそうしているのが実情だったりします。 本当に凄い店は限定ラーメンなどめったに出しません。 いつも出してい

          すべてのラーメンは限定ラーメンである

          「引き出し」は出してナンボ

          高評価レビューを見て違和感覚えるフレーズ。 「引き出しが多そう」 …「多そう」って評価に値するもんなんですか? 「引き出しが多い」のなら評価に値するのはわかりますが、「引き出しが多い」店より「引き出しが多そう」な店を評価するってアンフェアじゃないですか? 引き出しが多そうな素振りといいますか、なんとなくまだ見せていない凄いテクやアイデアがあるように思わせるオーラ、を評価しているのでしょうか。 実際には「引き出しが多そう」なのはどの店でも同じだと思います。 料理の「引き

          「引き出し」は出してナンボ

          輝く未来のためのラーメンビジネス

          緊急事態宣言が解除されましたね。 だからといって飲食店をめぐる状況がただちに元通りになるわけではなく、これまでとは違った飲食店の在り方になっていくわけで。 コロナ以降急増したテイクアウトでの展開は一時のピークは過ぎたでしょうが、生活習慣のひとつとして定着もしたでしょう。 通販でわざわざお取り寄せする際の心理的なハードルも相当下がったのではないでしょうか。 ソーシャルディスタンスも1メートルよりは短くはなるでしょうが、今までのような詰め詰めの距離感に戻るには数年はかかるかも

          輝く未来のためのラーメンビジネス

          味玉不要論

          人と羊では味玉は開店当初より出しておりません。 羊をメインに使った今までにないラーメンを作っておいてトッピングが普通の味玉っていうのは作り手としても客観的に見てもありえないだろう、というのが理由です。 そもそも醤油で味つけした茹で卵がラーメンに入ったのは荻窪の今はなき「漢珍亭」さんとも言われています。ひき肉と一緒に煮た茹で卵をひき肉ごとラーメンに乗せるのはまだまだ卵も肉もご馳走の部類だった頃にはさぞ衝撃だったでしょう。 それから30年以上経ち葛西の「ちばき屋」さんが半熟

          「羊感」とは

          開店以来ずっと引っかかっていた言葉です。 「羊感がしっかりしてる」 「もっと羊感がほしい」 う〜ん。 その…「羊感」って…どういう意味なんでしょうか? 「旨味」よりも「風味」 お客様に直接話を聞いてみると各々微妙な違いはあれど、「旨味」ではなくとにかく「香り」「羊臭さ」などの「風味」、その次の次くらいに「脂の質感」であることがわかりました。 開業当初、さらにその前の前身店での限定品の頃は羊の匂いをダイレクトには出さず、スパイスの風味を脂に移していました。 それは決して

          ひつじでラーメンを作るということ

          正確には「羊肉と羊骨メインのラーメンを作り続け売り続けるということ」。その実体験と現時点での結論。 ①「高い」羊肉と「安い」ラーメン「羊肉=臭い」というイメージが根強い日本社会。 またそのイメージに対抗するように「臭くはない」「むしろ臭いほうが好き」という人も多いのですが、とかく匂いが先行して語られて意外と旨味について批評するのは後回しだったりしますね。 そして「羊肉=高い」というまぎれもない現実についてはさらに語られることなく、肉屋やスーパーでの取扱いもまだまだ少ないこ

          ひつじでラーメンを作るということ