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【レポート】大恩寺(ベトナム寺院) ティック・タム・チー住職を訪れて

農作業を手伝う訪問者を撮影するタム・チー住職を撮影する私

㈱BRICSのある静岡県駿東郡清水町から車で3時間、埼玉県の緑豊かな場所にとあるお寺があります。

どことなく沼津市大平に似た風景のなかにある、色鮮やかなペナントで飾られた大恩寺を訪ねてきました。

13:00に私が訪ねるとみなさんが集まって食事中でした。

静岡県のお土産詰め合わせを渡したらまず仏様にお供え。
「こちらに座って、食べていってください」
手招きされて、私にもベトナムの味付けがされたうどんを勧めてくれました。
日本語とベトナム語が飛び交いつつ、和気あいあいと食卓を囲みます。

あっさりとしていて辛味もあるベトナムうどんやスープ・サラダたち

食べ終わったら全員で片付けが始まります。みなさんとても慣れた手つきで、そのとき自分ができることをサクサクすすめています。なんとなく、修学旅行が思い出されました。

夏の只中の晴天でも山中のここには涼しい風が吹き、全員テキパキと働いたあとそれぞれにくつろいでいます。


一息ついたあと、ここにいるベトナム人ひとりひとりとお話させていただく機会をいただきました。

そこで気づかされました。
ここは単なる風光明媚なお寺ではなく、ここは日本でひどい待遇を受けたり、ベトナムの悪質な送り出し機関に騙されてしまったベトナム人技能実習生/特定技能の駆け込み寺です。

事実のみを書き出しますと、2021年のベトナム人失踪者は4772名おり、コロナ前2019年の6105名が過去8年間で最多でした。
入国者に対する失踪者の割合は、人数の上下はあってもここ8年は2%程度で推移しています。
この2000人の差と2%の割合はデータの捉え方の余地がありますので、ここでは考察しません。

そして、いま目の前にいるMさん、Tさん、Kさん、Dさんはひとつボタンを掛け違えてしまえば失踪者になりかねなかった方たちです。

特定活動(臨時滞在ビザ)を持ち、仕事が決まらなければ帰国を余儀なくされています。
そして、その期限を見ればそんなに長くありません。

お話の内容は『就業先を探している』ということ。在留ビザ『特定技能』外国人の登録支援機関である弊社・株式会社BRICSを頼って話してくれたのです。
ここはそういうお寺です。

様々な企業の方が訪れ、彼らをスカウトしていきます。
タム・チー住職は地域の方や入国管理局と連携し、不法滞在にならないための制度を整え、『まだ日本で働きたい』と言ってくれるベトナムの若者たちにしっかりとした居場所を提供しています。

タム・チー住職の周りにはベトナム人だけでなく、いつも人がいます。
この日も私のような者以外に、何人も大恩寺を訪れてきていました。

彼らに聞くと、今回初めてで、なんとなく来てしまったとのこと、、、、、!
しかし、その気持ちもすごくわかります。

タム・チー住職が席を離れたあとも私と彼らの打ち解けた話が続き、なんとなく、今日が終わってもこの出会いは続くと思わされました。(実際コンタクトを取っております)

タム・チー住職と、この日たまたま訪問された方たち。『大恩寺 浄農園』看板下が私です

日も暮れ、大恩寺に住みながらアルバイトしているベトナム人も帰ってきました。自分の農園で採れた野菜などを使って大量に料理が作られていきます。私はここでお暇させていただきましたが、きっとお昼と同じような光景が広がるのでしょう。

ティック・タム・チー住職は2001年来日。およそ半生を日本で過ごし日本を良く知っています。
そして2011年からいままでずっと、困っているベトナム人を支援しながら「来日したベトナム人が日本を好きになってくれる」ようにしてくれています。

2019年に始まったばかりの『特定技能』制度が好循環し、外国人労働者がなくてはならない日本と、外国人労働者から魅力的に見える日本の両立を願わずにはいられません。

2021年11月には栃木県那須塩原に「栃木大恩寺」を開きました。
他、タム・チー住職にはまだまだ夢があるようです。
弊社・株式会社BRICSができることは今はそんなに多くはありませんが、タム・チー住職と同じ方向を見ていると思っています。
いつかチカラになれるよう精進していきます。

ティック・タム・チー住職

大恩寺(ベトナム寺院)
〒367-0224 埼玉県本庄市児玉町高柳668−2
080-4133-6999


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