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ヒットの法則:使用場所を変える法則

今日もご覧いただき、ありがとうございます。
今回もインターネットが生活を変えつつあることが実感できるような商品を見ていきたいと思います。

チューナーレステレビの例

「NHK受信料不要のテレビ」としてドン・キホーテで販売され話題となったチューナーレステレビ。「日経トレンディ」の「2022年ヒット商品ベスト30」にもランクインしています。

「受信料を払いたくない」というネガティブな動機で商品はヒットするものでしょうか。

「使用場所を変える法則」

今回のチューナーレステレビは「使用場所を変える法則」と言えると思います。「使用場所を変える法則」は「商品を使う場所やシーンを変え、それに適した形に変えることでヒットにつなげる法則」です。

チューナーレステレビで見られるコンテンツは、当然ながらYouTubeやNetflixのようなインターネットを介してみることができる動画や、ストリーミングサービスです。
これらのコンテンツを視聴する際には、スマートフォンやタブレット、パソコンやプレイステーション、任天堂Switchといったデバイスで見ることになります。アマゾンFireTVstickをテレビに差すという方法もあります。
この中で、パソコンやゲーム機を使った方法は、本体の機動、アプリの立ち上げが必要で、従来のテレビのようにリモコンを入れたらすぐに見られる、という手軽さはないでしょう。
その点、スマートフォンやタブレットでのコンテンツ視聴は手軽です。ただ、スマートフォンやタブレットは、持ち歩きを前提としていますので、当然は画面は小さいものとなります。
では、宅内でのコンテンツ視聴をメインとした、据え置きのスマートフォンやタブレットがあったとしたら、どんな形になるでしょう?
スマートフォンやタブレットを持ち歩きという場所から、自宅という場所に
変えたものが、チューナーレステレビであると考えます。「NHK受信料不要のテレビ」のキャッチコピーは本質ではなかったわけです。

チューナーレステレビ ヒットの背景にあるもの

冒頭でも記載しましたが、チューナーレステレビのヒットの背景には、インターネットは無視できません。ひと昔前であれば、テレビなのに放送番組が見られないテレビなど、商品として成り立たなかったでしょう。
令和3年の総務省の調査では、10代~40代では平日、休日ともにインターネットの利用時間がテレビの視聴時間を上回っています。

インターネット利用のすべてがコンテンツ視聴とは限りませんが、YouTuberの影響力などを考えると、コンテンツ視聴の時間は伸びていて、チューナーレステレビやFireTVstickのニーズを形成していると想像されます。
特に若い人ほどその比率が高まるということから、一人暮らしを始める際に「テレビは見られなくてもいいか」と思う人も多くいそうです。
実際に、ドン・キホーテでは新生活向けに小型の冷蔵庫や洗濯機も扱っていますし、ドン・キホーテユーザー層とも合致しています。新生活における家電の購入は1月ごろから始まるので、2021年12月の発売も新生活需要をターゲットにしていそうです。
チューナーレステレビのヒットはドン・キホーテが火付け役ですが、時流に沿った商品だけでなく、ドン・キホーテのユーザー層、販売タイミングといった戦略が垣間見て取れます。

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