500円映画劇場「エイリアン・プラネット」

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500円映画のタイトルでしょっちゅう見かけるのが、「エイリアン」という単語。本欄でも「エイリアンvsアバター」「エイリアン・オリジン」を紹介しました。しかし、この「エイリアン(alien)」という単語も、映画のせいで本来の意味とは違うイメージを持ってしまった単語のひとつで、あの「エイリアン」の大ヒット以来、「エイリアン=異星人」だと世界中で思われています。

その点、この「エイリアン・プラネット」は、「エイリアン」の本来の意味に近い使われ方ですね。別の世界に迷い込んだ主人公たちが「エイリアン=異邦人」なわけです。「プラネット」? 知らんよ、そこまで(笑)

アメリカの連邦科学研究所で画期的な発明がなされます。常温核融合(おいおい)のエネルギーを利用して、異次元にある並行世界を覗き見る装置です。ところがお披露目の場で装置が暴走し、その場にいた人々は、怪物が歩き回る異様な世界へとワープしてしまいます。

タイトルから予想されるような宇宙ものではなく、パラレルワールドものですね。状況は大差ないけど。要するに、どこでもドアで遠いところへ行っちゃって、故障で帰るに帰れなくなったってこと。

「元の世界に帰るのが可能なのは6時間後まで」「帰るには水が大量に必要」「装置の起動に必要な冷却液を確保しなくては」と帰還までのタイムサスペンスを構成するイベントが配置され、そこに「危険な生物」「異世界の知的生命体」がミックスされている……うーん、こう書くと、うまく出来ているように見えるけど、なんか薄っぺらいんだよなぁ。

全体にこの「薄っぺらさ」もっといえば「安っぽさ」が目立つんですね。

それは例えば、冒頭に登場する連邦科学研究所が、どう頑張って見ても中学校の理科室程度にしか見えないとか、別次元の並行世界がいくら見てもタダの森にしか見えないとか、次元転移する常温核融合を使った画期的な装置がどこから見てもただのスーツケースにしか見えないとか……

異次元世界の怪物はこの映画の見せ場のひとつでしょうが、残念ながら「ジュラシック・パーク」のTレックスのパクリにしか見えません。あの恐竜に角とか余分な目玉とかをひっつけただけというデザイン的な乏しさや、そいつが動くさまもあの恐竜の動きをそのまま安っぽいCGに移植しただけに見えるせいでしょう。しかも異次元生物はこの一種類しか出てこない。あとは変に大きなキノコが一個出て来るだけ。じゃあ、普段あのでっかい怪物たちは何を食ってるんでしょうねえ。

シナリオや俳優の演技がそこそこ出来ているだけに、こうした画面上のアレコレが目につくわけです。もうちょっと、もう一ひねりしとけよ、と画面の向こう側のスタッフに投げ掛けたくなりますね。

せめて、異次元世界にはもっと見たこともないような植物や動物がウジャウジャいるとか、空や水の色も違うとか、そうしたセンス・オブ・ワンダー的な工夫がちょっとでもされていれば、映画全体の印象がずいぶん違ったと思うんですよ。

まあこの「エイリアン・プラネット」はテレビ用映画ですんで、予算や時間の制約が厳しかっだろうことはわかります。

でもね、「予算がなかったから」は製作側の言いわけに過ぎませんよね。見る側には関係のないことなんです。厳しく言えば「予算を確保することも映画作りだろ

そんな「エイリアン・プラネット」は原題「THE OTHER SIDE」 2011年のテレビムービーでした。

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