#90. 誕生日には、毎年この言葉がよぎる
じつは今日、誕生日を迎えた。92 年に生まれたぼくは、とうとう28 歳になった。
こういう日は、たいていの人が家族や恋人、友人からのお祝いメッセージをもらい、あさ起きてから夜ねむるまで、幸せな気持ちを噛みしめるだろう。
もちろんぼくも、国内外からお祝いのメッセージをもらい、いつになく幸せな気持ちである。
◇
しかし、毎年この日が来るたび、頭にフッと浮かんでは、ぼくの肝を恐怖で冷やす言葉がある。
あなたは 30 年の経験を積んではいない。
1 年分の経験を、ただ 30 回繰り返しただけだ。
イギリスの作家 J. L. Carr の言葉だ。
学生のうちは、年度が一つ変わるたび、心身は成長し、学年とクラスが変わり、また新しい行事もあったりで、新しさなど、勝手に空から降ってきた。
けれど学生でなくなってからは、もう身長は伸びないし、たった一年でガラッと変わるような環境もない。自分でなにかを掴みに行かないかぎり、予定調和であっという間に一年が経つ。
自分は今日まで一年間、去年・おととしの経験をただもう一年繰り返していただけではないか ......?
今年の自分は、いままでの自分とここが違うと、胸を張って言えるなにかがあるだろうか ......?
◇
ぼくにとっての誕生日は、「いままでの自分がだれに支えられてここまで来たのか」や「これまでどういった友人関係を周りに築いてきたのか」など、そういったことをお祝いの言葉をもらい再確認する日であり、
また、上の言葉を思い出しつつ、今日までの自分に対する自戒と、来年の今日を生きる自分にそこはかとない期待を送る、そんな日でもある。
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