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「地方創生」への期待と違和感

こんにちは。今自分は気分転換に沖縄北部の国頭村というところでこの文章を書いています。(気分転換に来るところではないけど、、)今日は沖縄の話ではなく「地方創生」というテーマで僕が今リディラバでやっている事業の話もしつつ、自分の就職の話も少ししていこうと思っています。ちなみに予告しておくと最終的にはこのnoteはリディラバの告知へとつながります。色々がごちゃごちゃした話になってしまうかもしれませんが、ご容赦ください笑

就職先の話

急に自分の話からで申し訳ないが、僕は来年4月から社会人になる大学4年生で地域の活性化をマーティングで手助けする100名ほどの小さなベンチャー企業に入社する。いわゆる「地方創生」ってやつに取り組んでいる企業だ。この会社は全国にパートナーとなる自治体を持っていて、有名な都市ばかりだけでなく聞いたことのない名前の町への出張とかもあるらしい。やっている事業や出張も含め社会人になるのが今から楽しみでもある。

こうやって地域に興味を持っているという話をすると「どこの地方出身なの?」とよく聞かれるが、生まれてから千葉→名古屋→千葉とずっと都会育ちなので別に僕のルーツに地域は全く関係ない。地域に興味を持ったきっかけは自分でもよくわからない。強いてあげるとすれば「旅」と「ゼミ」。旅では東京から京都までヒッチハイクをやってみたり、1人で色んな地方に飛び回ってみたりする中で地元との人とのふれあうのが楽しかったとか、ゼミで「日本における都市部への人口集中は望ましいか」というテーマでディベートをしたのが学びになったとかそんな程度だ。

↓ヒッチハイクをしたときのnote↓

地方創生に取り組む学生が増えている

ちなみに地域での活動に興味を持つ学生は何も僕だけに限ったことではない。地方での活動に興味を持つ人は特に学生をはじめとして身の回りにもとても増えていると感じる。理由は人それぞれだが、自分が生まれ育った地域に恩返しをしたいというのもあれば、都市に住むの疲れたから何となく地方に逃げたいというのもある。僕は去年休学をしていて色んなところをフラフラしていたが、「自分で事業をやっている」、「イベントを主催している」人と出会うことが多く、そういう人たちの中でも「地方を盛り上げる」「地方を活性化する」という文脈で活動している人は結構な割合でいるのだ。もちろん自分が社会課題に興味があるから身の回りにも多いというのも否めないが、それでも多くの人が関心を寄せている分野だといえる。

それだけでなく、今年の前期に受講した地方創生に関する授業で話した人の中には、「地方での就職を考えている」「地方創生にかかわる仕事がしたい」人を何人も見かけた。自分が就職する企業の話をすると必ずといっていいほど興味を持ってもらえ、実際何人か後輩を人事につなげてほしいなんてこともあった。その中には僕と同じで都市にしか住んだことしかないけど地域での活動に興味があるという人もいた。

地方創生って結局何なんだっけ?

これまでの話を踏まえると地方創生というのはある意味でトレンドになっているといえる。加えてこのコロナ禍の影響もあって、「私たちってなんでわざわざ都会に住んで満員電車にもまれて会社まで行ってるんだっけ?」と考えなおす人が増えてきていることもあり、若者に限らず地方というものへの関心はこれからますます広がっていくだろう。

これは地方の住民、そして地方に関わっている多くの人にとって喜ばしいことだと思う。なぜなら無関心な人に関心を持ってもらうという一番高い壁をすでに越えることができているから。でも一方で違和感を覚えることもある。地域で活動する若者が増えているという話に戻るが、同世代の人に出会って話を聞いていると、「地方で若者を集めて大きなイベントを開催した」「地域に1か月住んでビジネスプランを提案してきた」といった話が結構多かったりする。こういった人たちは本当に行動力があるし、その姿勢に同じ学生として感銘を受けることも多い。でも地域で活動する者であるのなら本当にそれだけでいいのだろうか?とも思うのだ。

ここで言いたいのは地方創生は本来誰のためにあるのか?ということ。たしかに経済的には国のためかもしれないし、外部から協力してくれる人をないがしろにしてはいけないだろう。学生が来てくれようものなら地域の人たちも大喜びだと思う。でも一番大事なのはそこに住む人たちなんじゃないだろうか?大きなイベントの話でいえばたしかにその一瞬は地域にお金を落としているのかもしれないが、その先の持続性はどうなのだろう?とか、あなたが提案したそのビジネスプランは本当に実行できるものなのだろうか?と。そもそも地方創生というもののゴールが曖昧すぎるということの問題もあるし、別にやったこと自体は全く悪いことではない。でも、そうやって「私はあなたの地域にたくさん貢献しているのよ」とドヤ顔されてしまっては地域の人にとってはたまったもんじゃないだろう。

こうやって偉そうに書いている僕も同じようなことをしてしまったことがある。新潟県の十日町市という場所に遊びにいった時のことだ。十日町というのは大地の芸術祭を主催する町でアートで街おこしをやっている町だ。ここで僕は草刈り体験をした。最初はわざわざ十日町に行って草刈りかーと思っていたがやってみると意外と楽しかった。草刈りを終えた時、やり終えた達成感と地域の役に立てたという貢献実感でとても気持ちはとても晴れ晴れしていた。でも草刈りがおわってしばらくして、よく考えたらこれって十日町で慣れている人たちが自分たちでやってしまったほうが早いんじゃないか?とも同時に思った。僕らがおしゃべりしながら草刈りを楽しそうにやっている裏では地域の人たちが草刈りのレンタル用具をそろえ、若者にもわかりやすいような説明を考え、ツアーを開催する人員をそろえ、草刈りをした後の後始末をするという涙ぐましい努力があったかもしれないのだ。たぶん十日町の人たちも若者が草刈りを手伝って心の底から喜んでくれたとは思う。でもこういった背景を無視して自分は地域の役に立ったのだと威張る権利はないのではないか。ちなみにこの草刈りの様子は実はちょっとだけ記事で紹介されているのでよかったら見てもらいたい。この写真を撮ったときは完全に「地域の役に立ってやったぜ」と勘違いしていた。

こういう自分の経験も踏まえてもそうなのだが、言葉自体がトレンドになれば関心を持つ人が増える一方で、広がれば広がるほどその本質を忘れられていく。今問題になりつつあるSDGsおじさんもその1つ。SDGsという言葉が世の中に広まったおかげで社会課題に対して問題意識を持つ企業、個人は増えたが、一方でSDGsバッジをファッションとして身に着け、カラフルなSDGsバッジを付けながらペットボトルを大量消費し、ハラスメントを繰り返す人が出てきてしまう。これは人間の性だといえばそれまでだが、ここで一度立ち止まって考えることを忘れてはいけないと僕は思う。

ちなみに今沖縄北部の国頭村という小さな町に来ているが、ちょうど今日仲良くなった現地の大学生も「地域の若者が国頭村のじいちゃんばあちゃんの困りごとを百姓のように解決しちゃうサービスを作りたい」と話していて、そうだ、地方創生とかでかい話じゃなくていい。地域のためにやることってこういうことだと思った。これがビジネスになるかとか持続可能かとかいう話は一旦置いておいて、地元でずっと育ってきて、「多くのじいちゃんばあちゃんが困っているのを見てきたから若いやつらで助けてあげようや。」っていう純粋な気持ちがそこにはあるし、それが本来の地域での事業のおこし方だよなと強く感じた。

地域を知る努力をする

改めて補足しておくと僕は地域でイベントや事業を展開したりすることに反対するつもりはまったくない。むしろ自分は地域に興味があるといいながら大して何も実行していないのでそれと比べても尊敬しかない。さらに僕が感じている地方創生への違和感を書いてきたが、僕も完全にそういった違和感を抱かれる人たちと同じ側面があるとも思っている。

なぜ、地域に興味を持ったか未だにはっきりわかっていないし、地方に住んだこともないのに地方っていいよねって言って来年から地域を飛び回る仕事をしようとしている。トレンドだから、ファッションとして地域にかかわっているよねと言われても仕方ない。地域の本質的な課題を理解できているとも言い難い。でも、だからこそまずは自分が地域のことを全くわかりませんと認めることからスタートし、謙虚に学んでいく姿勢が大事なのだと思っている。

少なくとも地域で何かしらの活動をするのであれば、その地域の人の気持ちや地域の政治がどういう論理で動いているのか、どうやって反対派を巻き込んでいけばいいのかなど、知っておくべきことはたくさんあると思うのだ。

「僕が残りの大学生活でやり抜きたいこと」と「社会問題を考えるコミュニティ」の話

突然話が変わるが、自分は株式会社Ridiloverという会社でインターンをしている。たぶん今までnoteを見てくださっていた方なら何度も登場しているのでご存知かもしれないが、あらゆる社会課題について関心を持ってもらう、社会課題を解決するべく様々な事業を展開している会社だ。

僕はその中でもリディ部という社会課題について考え、実際に社会を良くしていくための小さなアクションを起こしていくオンラインコミュニティの運営をしている。このコミュニティでは週3回勉強会を開催しており、政治、教育、LGBT、ホームレスなどいわゆる社会課題といわれるものから恋愛・結婚、エンタメなど一見社会課題と関係なさそうなものまでさまざまなテーマを扱っている。僕はこの勉強会の企画も担当しているがやっていると本当に世の中には色んな社会課題があり、こんなにも困っている人がいるんだということを日々痛感させられる。

▼リディ部 HP

そして僕はこの勉強会を通して、今まで述べてきた地域に関する問題意識を世の中に問いかけることはできないかと考えた。これらはもしかしたら自分だけが抱いている違和感かもしれないし、もしかしたら多くの人が共感してくれることなのかもしれない。企画で企画者のエゴを出してしまうことは決して良いことだとは思わないが、地方創生という言葉が広がりを見せている今だからこそ世の中に問いかけてみる価値はあるのではないかと考えた。

この企画はこれから地域に入って仕事として関わっていく自分にとっても大きな意味を持つとも思っている。地方創生ってそもそも何なんだっけ?地域で活躍する人ってどんな仕事をしているの?地方で事業を作っていく人になるには?地方にある根本的な課題意識って何?地方自治体の組織ってどういう論理で動いているの?など地域に関するあらゆる疑問を解きほぐし、地方創生を構造的に理解してほしいというのがこの企画の目的で、まずはそれを自分が理解しなければならない。企画を作りながら自分は本当に地方のことを何も知らなかったのだと痛感させられる。今もなお絶賛勉強中だ。

具体的には日本中の様々な地域のプレーヤーをゲストにお呼びして、その地域のリアルな課題意識について深掘っていく。第1回は元熊本県知事で東京都知事選にも立候補した小野たいすけさんにお越しいただき「地方創生における都市と地方の関係性」というテーマでリディラバ代表の安部と対談する。

小野たいすけさんは熊本県がくまもんを世に広めた時に副知事を務めており、今年の都知事選に出馬したときには「都市部こそ地方創生に取り組むべきだ」と発信した唯一の候補者だ。実際に地方で先頭に立って活動したという経験を持った上で、都市の重要性を地方創生の文脈で取り上げ、日本全体の視点を俯瞰した上で語れる方は小野さん以外なかなかいないのではないかと思う。そういう意味でも今回小野さんにお引き受けいただき本当に感謝しかない。

また対談相手のリディラバ代表である安部さんは11年間あらゆる社会課題の現場に飛び込んだ視点を生かして、AbemaPrimeやTBSのグッどラックでもコメンテーターを務めた経験を持つ。早口すぎる!と話題になることもあるが、日本全国様々な地域と一緒に事業も展開してきており、リアルな地域の課題についても鋭く切り込める人だ。

完全に手前味噌だが、地方創生を理解していく上で都市と地方の関係は絶対に知っておくべきだし、現場での経験、深い知識の両方を持っている2人に対談してもらうことにはとても意義があると思っている。他にも第2弾では南相馬で地域の課題解決をする事業を展開している和田さんという方にお越しいただく。この方は僕が去年南相馬にツアーで行ったときに講演してくださった方で、南相馬を良くしていくんだという熱い思いと、課題を分析していくロジックを両方持っている方でとても感銘を受けた。ぜひ多くの人にこの話を聞いてほしいと思いオファーさせていただいた。

そして第1回は地方創生というものをもう一度世の中に問い直すという意義も踏まえて、無料公開にしている。本心は有料で見てもらっていいくらいの価値があると思っているけど、それよりも多くの人に見てほしいという思いで公開することになった。

▼小野たいすけさんのイベントについて

1ついえるのはこの企画はゲスト、ゲストの日程を調整してくださるスタッフのみなさん、そしてリディラバ社内の人たちの協力がありながら実現できるということ。だからこそ自分のエゴばかり出すべきではないが、地方への関心が高まりつつある今だからこそぜひ多くの人に見てほしいと思う。

そして僕はわがままなことにできればこの勉強会に参加するだけで終わってほしくないという思いもある。せっかく地域に関して考えるのであればその後のアクションも起こしてほしい。地方で活動する色んな人たちと交流したり、現地に一度行ってみたりするだけで全然地域への見え方が変わってくるはずだ。僕はこの企画を通して、地方で今起こっている課題を理解した上で実際に地域に足を運ぶというような行動変容を起こしてくれる。そんな機会になったら嬉しいなと思っている。

そしてリディ部というコミュニティならそれができると思ってもいる。
小野さんの話を聞いた上でもっと学びたいと思った人はぜひ現地にも行ってみてほしい。

改めてこの企画は僕が来年から地方に関わっていく上で最低限知識を持っておいたほうがいいし、そうあるべきだという問題意識で企画させてもらっている(もちろん色んな人に助けてもらいながら)。ぜひ地域に関わっている、関わりたい全ての人に参加してほしい。そしてあわよくばリディ部に入って一緒に社会のことについて考えてもらいたいなとも思っている。

▼改めてリディ部HP

▼さっき少し触れた新潟県の十日町の現地に行くツアー

▼現地に行くのはちょっと、という方にはオンラインツアーも(サムネが出てこない、、)


とても長い文章になってしまったが、自分が地域に関わっていく上でやり遂げたいという意志表明も込めてこのnoteを書いた。「ちょっとでも地域に関わってみたい」という方や「すでに地域に関わっていて同じような違和感を持っていた」「全然言ってることわかんないよ」という人もぜひこの企画は無料なので参加してほしい。

ということで卒論提出期限が迫っている中でそんな暇はないはずなのに熱が余って6000字の大作を書いてしまいました。ここまでお付き合いいただきありがとうございました。



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