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〈最初へ〉 〈前へ〉 縦に長い直方体の台の上に敷き詰めた小石。その上に純白の卵をそっと…
〈最初へ〉 〈前へ〉 「こんな時ですが、ご依頼の話をしましょうか」 肩を落としたシーさ…
〈最初へ〉 〈前へ〉 出立は明日ということになった。 スバルは兄の部屋から動こうとせ…
〈最初へ〉 〈前へ〉 「スバルさん」 シーさんが静かに呼びかけた。 「満潮時の道を渡っ…
〈最初へ〉 〈前へ〉 ごろごろと岩の露出した山道をシーさんの先導で上る。 こうしてい…
〈最初へ〉 〈前へ〉 眩い海岸線に沿って、島の中心よりもやや奥にある丘へ向かって歩く。…
〈最初へ〉 〈前へ〉 ノックの音に目覚めてドアを開ける。訪ねてきたのはフリフリのエプロンを着たマネキンのようなイナミだった。 「もう寝てたのか? 悪いな。日暮れ前からナチャが見当たらなくて心配してるんだ。ここには来なかったか?」 「お披露目の後は見てませんね。しかし彼ももう大人ですし、そこまで心配しなくても大丈夫なのでは?」 少女はわずかに目を尖らせる。 「この島は人里と違って人間の手が入っていない箇所が多いからな。夜、灯りも持たずに歩いていたら、道に迷ったり足
〈最初へ〉 〈前へ〉 草原に据えられたカフェテーブルを、てんでばらばらな格好の十数人が…
〈最初へ〉 〈前へ〉 眠れない闇が重くて、夜明け前に抜け出した。 人工の灯りを持たな…
〈最初へ〉 〈前へ〉 宿に滞在していたのは私だけではなかった。隣の部屋にいたのは蓑虫状…
〈最初へ〉 〈前へ〉 骨を手の中で滑らせながら、硬いベッドの上に日がな一日座っていた。…
〈最初へ〉 〈前へ〉 「君はあまり驚かないね」 まだ少女と言ってもいい年頃の主人が言う…
〈最初へ〉 〈前へ〉 幅の狭い砂浜に半ば乗り上げて船は止まった。ようやく足を付けた揺れ…
〈最初へ〉 〈前へ〉 水は苦手だ。とらえどころのないのっぺらぼうでありながら、万物の母体でもあるかのような顔をして至る所にのさばっている。儚い朝靄でいたかと思えば濁流となって大地を抉る。 この身体も水そのものだ。水を循環させるための臓器があり、水を零さないように皮で覆われている。目から溢れる水は心だ。 巨大な一つの心であるにもかかわらず、その実一滴一滴の心の莫大な集合体でもある海は、ひしめき合う生の匂いの香水であり、それ故に死を意味している。 深い緑色をした生