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このPodcastがすごい!『Bad Blood - The Final Chapter』
史上最大の詐欺会社と呼ばれたユニコーン企業「セラノス」をご存知でしょうか。
創業者のエリザベス・ホームズはスタンフォード大学を中退して19歳でバイオテックの会社を起業し、女性として最年少でビリオネアとなったとメディアでずいぶんもてはやされました。
彼女は「セラノスが開発した血液検査技術では指先から採取した1滴で全てが判る」と主張し、著名政治家や投資会社から多くの賞賛を得て、資金を集めました。
スティーブ・ジョブズに心酔し、黒のタートルネックを毎日着て秘密主義を徹底していましたが、ウォールストリートジャーナル誌に「その主張には信憑性がない」と記事にされてから株価が下がり始め、やがては企業は解散となり、また創業者で最高経営責任者だったエリザベスと、元ナンバー2でホームズと恋人関係にあった最高執行責任者のサニー・バルワニは詐欺罪で起訴されています。
そのエリザベスの詐欺罪の裁判が始まります。
あまりにももてはやされ、社会的にも著名な人たちや経済系雑誌が賛美に走ったのにも関わらず、実は1滴の血液で全てが判るような技術はそもそもなかったのです。実際、会社の中は安全性始め基本的なことが全くなっておらずぐちゃぐちゃでした。
エリザベスは生粋のストリーテラーで人たらしです。人を惹きつけるカリスマ性があったわけですね。だから世間に対し15年間真実を隠し続けてセラノスを経営していました。また訴えられた詐欺罪では懲役20年となる可能性があるにもかかわらず、ホテル経営一族の御曹司と結婚し、さらには男児をつい最近もうけています(その出産のため予定されていた裁判が延期になったほど直近の出産でした)。
彼女は…
ハッタリをかます一方でまだ完成していない夢の技術を諦めずに追求するシリコンバレーの典型だったのか?
人を騙すことに良心の呵責を一切持たないソシオパスなのか?(彼女の周囲にいた人達の多くはそう感じているみたいです。) 特にこれは生死に影響を及ぼす可能性のある医療技術です。普通に考えて、嘘をついてるのならば悩まないはずはないと思うのですがね…。
それとも(エリザベスの弁護師団が裁判でそう主張するだろうと言われているように)19歳年上の恋人で最高執行責任者のサニーにコントロールされ、虐待されていたうら若き被害者であったのか?
何が真実かは分かりませんが、ドラマ性は満載で、すでにABCやHBOでドキュメンタリー映画が作られ、ジェニファーローレンス主演での別映画も撮影されているようです。
ちょっと前の記事ですがよくまとまってるWired記事を貼っておきます。
セラノスが凋落するきっかけとなった元WSJ記者がポッドキャスト番組を持っていて、解説をしています。めちゃ面白い!(英語なので、英語好きな方向けです)
この裁判は確かにドラマ的要素が強く、話題にはなってますが、単なるエンタメネタではありません。裁判結果が今後のシリコンバレー文化、起業家精神、さらには女性に対する投資家の投資行動にも影響を及ぼすだろうと言われてます。
つまり、成果が確約されてなくても、可能性にかけて起業家は新事業を起こすし、投資家は投資しますよね。残りは外れでも1割大当たりすりゃあいいだろみたいな感じで。
でもこうやって口先だけ上手い話を語って大掛かりで騙す人がいることが明るみに出ると、こういう前のめりのシリコンバレー文化はやばいとなり、衰退する可能性が出てくるわけですよね。
ジェンダー問題もあります。そもそも白人男性以外のマイノリティは投資を受けにくいのです。社会的信用を低く見積もられ、成功の可能性が少ないと思われがちだからですかね。
ただのスキャンダルではなくて、背景にはいろいろな社会的要素が組み合わさってます。そこも要注目です!
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