枠のフレーム、さらに湧く
きへん(木)に「九」と「十」と書くと?
…『枠』(わく)ですね。
『卆』は「そつ」とも読みます。
『卒』の略字です。
試しにPCやスマホなどで
「そつ」と打って変換してみますと、
「卒」の他に「卆」も出てくる。
ここから私は『枠』(わく)という漢字は、
「木を卒業する」意味がある、つまり
「ここまでは木(の枠の中)で、
その外は木じゃない(枠の外)」と
範囲をあらわす漢字なのでは…と
勝手に誤解していました。
ところが、実は違うのですね。
『枠』とは元の字(本字)があって、
『篗』(たけかんむりに隻)という字が
元の漢字のようです。
(「単漢字」変換などでようやく出てくる)
本記事では『枠』について色々と
書いてみようと思います。
まず、たけかんむりに隻の
『篗』という字の由来、ですけれども、
「糸を巻き取る道具」から来ている。
中心に回転軸をつけた「木の枠」を設けて、
糸をぐるぐるっと巻き取る。
この道具に「枠」がついていることから、
「四角の形に木を組んだもの」ひいては
「木の骨組み」「四方を囲んだもの」を
『篗』と呼ぶようになったと思われます。
この言葉が、漢字とともに日本に入ってきた。
これは何だ、どういう意味だ…?
木の骨組み…?
ああ、囲うものね!と考えられ、
今の「枠」という意味で使われ始めた、
のではないか。
このあたりは私も国語学者ではありませんし、
ネット情報を元に書いているので、
ちょっとあやふやです。すみません。
ただ、ですね。
ここで、疑問が生まれた。
「わく」という日本語には、
同音で異義、違う意味の言葉があります。
それが「枠」(わく)と
同じ音になったのはなぜなんだろう…と。
「わく」と打って漢字変換しますと、
「湧く」「沸く」「涌く」などの
動詞が出てきます。
こちらは「何かが生じる、湧き起こる」
という意味の「わく」ですよね。
日本列島は火山列島でもありますから、
大地が噴火して溶岩が「湧き」起こったり、
温泉が「湧い」たり、そういうことが
ずっと古代からあったでしょう。
そのような現象に「湧く」と名付けたはず。
「湧き水」は、命の源でもあります。
「湧く」と「枠」。
…真逆ですよね。
これが同じ『わく』という音で
表現をされていることに、
私は興味を感じてしまうのです。
さらに加えて言えば、
わく、で漢字変換しますと
『和久』も出てくる。
…どうしても中年世代のイメージでは
映画『踊る大捜査線』の
「和久さん」を思い出してしまいます。
あの「いかりや長介」さんが演じた
シブいベテランの刑事さん。
若い青島刑事を諭したりする役。
こちらは人名です。
他には、NHKアナウンサーの
「和久田真由子」さんもいらっしゃる。
下の名前だと和久(かずひさ)と読む。
プロ野球選手ですと「稲尾和久」投手や
広島・巨人の「川口和久」投手が有名。
和久、という名字自体は
丹波の「和久荘」などが
ルーツではないか、と言われています。
でも、そのおおもとは「湧く」でしょうね。
何か湧き水などが出てくるところ。
ひいては「若い」(ワカい)にも
通じる、と思われます。
そもそも日本は「倭」の国と呼ばれ、
じきに漢字を「和」に代えて
「大和=やまと」などと
呼び名を変えていった経緯がある。
「和を以て貴しとなす」は十七条憲法。
和久には「和」が幾「久」しく続くという
意味も込められている。
ずっと若い、エネルギーを出すという意味。
確かに、和久さんはベテラン刑事ですが
情熱が枯れ果てているわけではなく、
熱血なところもかなり残っていました。
和久田アナも、エースアナ。
稲尾さんや川口さんも
ワクワクする熱血の投球で球場を沸かせた…。
と、広げ過ぎると大変なので
考察に戻りましょう。
◆「わく」=若い・出る・湧き出る
◆「わく」=篗・枠・囲う・止める
この一見、真反対に見える「わく」について。
…ここからは完全な私見ですが、
私は『篗』(たけかんむりの隻)の
本字、元の漢字にヒントがある、と思います。
「糸を巻き取る道具」。
「糸」というものは
植物や蚕のまゆなどから
繊維をひも状に加工していって
つくるものですよね。
つまり、ぶわっと生い茂る植物、繊維を
細長くどんどん続けて伸ばして、
それを巻き取って加工しやすくする。
その長い糸を使って、私たちは例えば
「布地」のように広い生地に
再加工したりしています。
ひいては「服」にする。
すなわち「枠」とは、
いったん「巻き取り」「囲い込む」ことで
さらに「加工」していくために
必要な過程と言えるのではないでしょうか?
枠があるからこそ「次」に進める…!
例えば「思考の枠」「枠組み」。
これはどちらかと言えば、
カチッとした、既存の「フレーム」です。
もちろんこれだけ、枠に収めて終わり、では
広がることはできません。
しかし、いったん枠に収めて、理解して、
無限に広がり湧き起こる情熱や思考を
整理して「見える化」することは
とても重要なことです。
そう、繊維を糸にして巻き取るように…。
その枠組み、骨組みを土台にすることで、
さらに家を建てたり、布や服を作ったり、
思考の幅を広げたり、
そんなことができるのではないでしょうか?
つまり、わく、という言葉に当てる
真逆に見える「湧く」「枠」は『表裏一体』。
湧き出るものをいったん「枠」に収める。
「枠」に収めてからさらに「湧かせる」…。
その繰り返しです。
ただの単独の
「湧く」や「枠」に終わらせずに、
「ワク・ワク」させること、
それを繰り返すことこそが重要なのです。
最後に、まとめます。
本記事では『枠』という漢字から
「湧く」「和久」にも思いの糸を伸ばして、
「わく」について考えてみました。
なお、なぜ「卒」が「卆」になったのか、
その謎は結局わかりませんでした…。
(もしご存知の方がいらっしゃたら
教えてください…)
◆きへんに卆で『枠』(わく)
◆こめへんに卆で『粋』(いき)
◆いしへんに卆で『砕』(くだく)
◆とりへんに卆で『酔』(よう)
◆にんべんに卆なら『伜』(せがれ)
このように「つくり」としては
とてもよく使われる「卆」ですが、
「卒業」のそつは「卆業」とは書かれず、
「卒」のほうを使います。
単独では「卆」は、あまり使われない…。
このことを考えるとやはり『枠』(わく)は、
何かと「組み合わせて」「ワクワクさせて」
発展させてこそ、
『粋』(いき)に使っていけるのだなあ…。
そう思った次第です。
ワク・ワクと働いていきたいですね!
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