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日本流にアレンジされて生まれた食べ物!
…探せば、たくさんありますよね。

本記事では、日本史を踏まえて、
私の取捨選択に基づき
四つの食べ物を挙げていきます。

◆高野豆腐

こうやどうふ。凍り豆腐、凍み豆腐とも。
…かなり、不思議な食品です。
見た目はスポンジっぽい豆腐。保存食。
豆腐を凍らせるなどして、干したもの。

一説によれば、平安時代の空海がひらいた
高野山で生まれ、精進料理に使われていき、
それが全国に広まった
、とも言われます。

(中国では「豆腐干絲」(とうふかんす)
という、豆腐の水分を抜いて干した食品も
あるので、その着想もあったのかも…)

江戸時代の豆腐料理の本、
『豆腐百珍』では凍豆腐(こごりとうふ)と
いう名前で掲載されていまして、
別名として「高野豆腐」と書かれています。

ちなみに全国凍豆腐工業協同組合連合会では
11月3日を「高野豆腐の日」に
制定している
そうです。

…って、なぜ?

「文化の日」だから。
日本の「食文化」の伝承とその素晴らしさを
再発見してほしい、とのこと、また、
11月3日から12月31日までの年内残り日数は
58日(27日+31日)。…コウヤ(なるほど!)。

◆カステラ

長崎土産と言えば、カステラ、ですよね!

戦国時代、南蛮貿易、そのあたりで
伝来してきた、と思う方も多いと思いますが、
実は、ポルトガルには「カステラ」という
お菓子はありません。

いわゆるカステラは、日本流のアレンジです。

一説によるとスペインのカスティーリャ地方
「レボホ・ドゥーノ」(堅い焼き菓子)が
隣国のポルトガルに伝わって
「ボーロ・デ・カステイラ」
(カスティーリャ地方のパン)と呼ばれ、
それが日本に伝わったのではないか、と。

ただ、これは「堅い焼き菓子」でした。
ふんわりカステラとは、似ても似つかない。
キリスト教を布教する中で、
宣教師たちが「どうだ、美味しいだろ!」と
ふるまったのではないか、と言われている。

さて、江戸時代になりますと、
「かすてほう路」「カステラボウル」などの
名称で文献に出てきます。
江戸の中期には「日本のお菓子」として
江戸城などで接待にも使われていたそうです。

今の長崎カステラの特徴「水あめ」の使用は
明治時代以降に始められたそうでして、
これがいまの「しっとりした食感」
カステラにつながってきています。

要は、戦国時代に伝わったお菓子を、
江戸時代、明治時代を通して改良を重ねて、
今のイメージのカステラになった、と。

◆あんパン

日本流にアレンジした食べ物、として
真っ先に思いつくのは、やはり
「あんパン」ではないでしょうか?

常陸国河内郡田宮(たくう)村、
今の茨城県牛久市田宮町の農家に生まれた
木村安兵衛は、

明治二年(1869年)に、今の新橋駅付近に
「文英堂」というお店を開きました。
(妻の文、息子の英三郎、の名前から命名)

ところが、すぐに火事のために、店が焼失…。

今の銀座に移転して「木村屋」という
屋号に変えて再スタートします。
焼き残ったのは石窯だけ。しかし、
英三郎やパン職人の武藤勝蔵の協力で
何とか営業再開にこぎつけました。
鉄道開通の際には駅の中に販売店も開いて
ビジネスを軌道に乗せる!

しかし、好事魔多し。
明治六年(1873年)に、またも火事…。

仮店舗で営業をしている時に、
安兵衛さんは、子どもの英三郎と考えます。
当時のパンは、かなり堅かったんですが、

「日本人に受け入れられやすいパンは
何かないだろうか?」


そこで考え付いたのが「酒饅頭」です。
酒饅頭の酒種(米と麹から作られた種)を
利用すれば、ふんわりしたパンを
作れるのではないか?

こうして、酒種発酵種によって作りあげた
柔らかいパンであんと桜の塩漬けを包んだ
「あんパン」が爆誕します。
和風の酒種とあんと桜、それに洋風のパン。
まさに和洋折衷です。文明開化の食べ物!

明治八年の4月4日には明治天皇に献上される。
いたくお気に召されたこともあり、
木村屋のあんパンは有名になっていきました。
今ではアニメの中で
某有名キャラが「あんパンチ」してますよね。
ちなみに、四月四日は「あんパンの日」です。

◆テリヤキバーガー

和風のハンバーガーと言えば
やはり「テリヤキバーガー」!

1973年、モスバーガーで誕生しました。
モスバーガーの創業者、櫻田慧さんは、
「MはMountain(山のように気高く堂々と)
OはOcean(海のように深く広い心で)
SはSun(太陽のように燃え尽きることのない
情熱を持って)」から、MOSと名付けたそうです。

創業二年目。1973年。

ライバルのマクドナルドとの差別化のため、
燃えるような情熱を持って、
モスは新商品の開発に乗り出していきます。

日本人の味覚に合い、
しかもハンバーガーにも合う味とは…。
そうだ、照り焼きだ!
隠し味に、味噌も使おう!


しかし販売した当初は、
あまり売れなかったそうです。
なぜなら当時、照り焼き=魚料理、でした。
ハンバーガーのイメージではなかったから。

そんなテリヤキバーガーを一躍
有名にしてくれたのは、
当時の女子高生たちだったそうです。
先入観の無い、若い感覚。
「なにこれ、オイシイ!」とクチコミで、
どんどん人気商品になっていきました。

今では他のハンバーガーチェーンにも
広がって、定番商品になっていますよね。
「テリヤキ」の言葉は、世界でも通じる。
なお、シンガポールやタイの
マクドナルドではサムライバーガーの名前で
販売されているそうです。

最後に、まとめます。

高野豆腐、カステラ、
あんパン、テリヤキバーガー…。

これらの元となった食べ物は、
すべて他国からの文化流入により
日本に入ってきたものです。

遣唐使などでもたらされた「豆腐」。
南蛮貿易でもたらされた「南蛮菓子」。
明治の文明開化で広がっていった「パン」。
戦後のアメリカ文化からの「ハンバーガー」。

これらの他国由来の食べ物が、
日本で改良され、工夫されて、
日本の風土、日本人の味覚に合うように
アレンジされてきました。

それが逆に、世界へも広がっていく。

…これぞ「造り変える力」
まさにアレンジするパワー!

高野豆腐は、近年の研究によって
「レジスタントプロテイン」が
多く含まれることが示されており、
「健康食」としても注目されているそうです。
テリヤキバーガーは、世界でも大人気!

ただそのままを真似る、で終わらせず、
付加価値を付けるべく、改良を重ねていく…。

この考えは、ビジネスにおいても
とても参考になる、のではないでしょうか?
私も、参考にさせていただきます。

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