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【前編】 文系と理系の歴史

以下、隠岐さや香さんの『文系と理系はなぜ分かれたのか』に基づいた文章になっています。

まだ読んでいない、自分で読むまで内容を知りたくない、という人はここでストップすることを推奨します。

筆者撮影

文系と理系?早くそんな括り方古いからやめた方がいいでしょ。

情報収集をする中で、上記見出しのような文系と理系という二元論で判断する日本のステレオタイプ的な教育のあり方に疑問が湧き、反対の意見を持っていたが、

「みんな似たようなこと言ってるけどもしかしたらこの考え方の方がステレオタイプなのかもしれない…」

「そもそもなんでこうなってるのか知らないのに批判をしていた…」

と感じこの本を手に取った。まずは前編ということで文系と理系の歴史に着目する。

まずは歴史をみよう

この本は、最初の章、それも結構なページ数を使って文系や理系といった概念の誕生と変遷を追っていくために、学問の歴史、取り分け大学が誕生した場所、ヨーロッパの歴史を中世から紐解いていく。

多くの人は、いわゆる「文系の学問」が先に存在していて、科学技術の発展に伴って理系の学問が後を追って誕生したのだ、と思っているが、実はそうとは言えない。

もちろん、今のような括り方でなくとも紀元前から存在する哲学といった文系の学問は存在していたが、今日文系に分類される社会科学や人文科学といった学問の概念は、いわゆる現在の理系の基になる自然科学分野よりも出現が遅く、なんと19世紀末から出現した比較的新しい分野なのである。

神や宗教や権威といった学問を縛っていた存在から独立をしていく過程でさまざまな思想の影響を受けながら学問は形を変えていく。

ここから今日の大学で学ばれるような学問体系に派生していくのである。

文理融合=学問は1つ?

https://unsplash.com/photos/UMZQ_cYWJns

諸学は1つ、という主張がありながら、かといって多様に分化していく学問には簡単に混ぜることのできない分野もある。

「海外の大学は文理がない、文理融合なんだ。」

この主張は正しいと言えるが、文系と理系というカテゴライズにしか馴染みのない日本人にとっては全く学問がカテゴライズされていない状態を想像するかもしれない。

これは誤解であり、歴史的にも文系や理系とはまた違う、学問をカテゴライズすることは盛んに行われてきた上に、今も行われている。

歴史的に見ると、神や宗教、権威や学ぶ人の身分によってカテゴライズ、制限されていた学問が、そういったしがらみから自律していく中で、今の日本の文理といった概念ではなく2つではなくとも複数のカテゴリに分ける、というのが主流になった。

文理融合とは、学問のカテゴライズそのものを壊すこととは区別されるべきだと考える。別の方向を向いた学問には括り切ることのできない違いが存在するのではないだろうか?

まとめ

実はまだ本の読み途中なのでこの先のお話は知らないのですが、
次回は日本の文理の概念の成り立ちに迫ろうと思います。

ここまで読んでいただきありがとうございます!次回もお楽しみに!

追記:中編は以下になります!


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