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IT業界を解説しよう!- 企業編
IT業界を傍からみれば、モダンでキラキラしているイメージとブラック残業のイメージ、光と闇を併せ持った謎の業界に見えるだろう。そこで業界の中にいる私が、例によって歴史という軸をもとに分類して解説する。就活生・転職希望者に見てくれると嬉しい。また、業界関係者のコメント・フォロー大歓迎だ。
今回は前編として企業分析の入門的な記事にしてみたいと思う。
業種別分類:4つの分類
WEBサービス企業
WEBサービス企業はWEBを介して提供されるサービスを提供している会社だ。そのまんまじゃないか!と思われるかもしれないが、ポイントはWEBを介してという部分である。常時オンラインであることが条件だ。例えばYahooやGoogleなどの検索エンジン、TwitterやFacebookなどのSNSは自分の投稿のシェアなどをしようとするとURLが出るだろう。これはWEBを介している証左である。日本だとメルカリやミクシィなどだ。またブラウザでできるゲームを開発している企業などはWEBサービスに含まれるだろう。
また、これらBtoCの企業のみならず、BtoBの企業もある。例えばSlackやSAPなどはソフトウェアに近いが、WEBを介しているという点で本稿ではWEBサービスというカウントにさせていただく。日本企業で言えばChatwork株式会社やジョブカンなどのオフィスアプリケーションを作っている株式会社Donuts、クラウドワークス株式会社など様々な会社がある。
これらの企業は先に挙げたYahoo!による検索エンジンの登場で大きく変わった。それまでダイレクトにURLを打たなければページにアクセスできなかった時代から、カテゴリ分けされたキーワードに関連したページが表示されるようになったのである。その後、通信容量の拡大・HTMLのバージョンアップなどで提供できる情報量が大幅に増えた。
通信・ネットワーク企業
通信・ネットワーク企業のBtoCの代表的な企業はNTT東日本・西日本、KDDI、SoftBankの3社だ。ここに挑戦している真っ最中の企業が楽天だ。ここに加えてNUROやOCN、BIGLOBEなどのMVNO回線を提供している企業が入ってくる。先に挙げた3社と楽天の違いは固定回線の通信網の有無だ。楽天はモバイル基地局の設置のみで、固定回線用の基地局は持っていない。
またNTT、KDDI、SoftBankはBtoBとしての機能もある。ここに加えて、のちに紹介するシステムインテグレーション企業、ネットワンシステムズやIIJといった通信・ネットワークに特化したSI企業が名を連ねる。
ソフトウェア企業
ソフトウェア企業はPCやスマートフォンに組み込むソフトウェアを開発・提供している業種である。以前はディスクやカセットなどがあったので分かりやすかったが、最近はダウンロード販売などが増えているため、WEB企業との境界が分かりづらくなっている。
BtoC企業で一番わかりやすいのはゲームだ。スクウェア・エニックスやバンダイナムコエンターテインメントなどである。後に出てくるが、任天堂やソニーもソフトウェア企業の要素を含んでいるだろう。
BtoBで言えばMicrosoftだろう。WindowsというPCに組み込むソフトウェア、社名を冠したオフィスソフトを開発・提供している企業だ。他にもRed Hatやセキュリティソフトで有名なNortonを開発しているシマンテックなどが海外の会社では有名だ。日本のメーカーで言えば、PaaSサービスの提供をしているサイボウズ株式会社や勘定奉行などの財務ソフトを開発している株式会社オービックビジネスコンサルタントなどだ。
ハードウェアメーカー企業
ハードウェアメーカー企業はその名の通り、ハードウェアを販売しているメーカー企業だ。例によって海外BtoCから紹介すると、AppleやHP、DELLやLenovoなどのPCメーカー、LogiやRAZERなどPC周辺機器メーカーなどがあげられる。一方国内は富士通や東芝、NECやPanasonic、周辺機器で言えばBUFFALOやエレコム、EIZOなど家電量販店でよく見るメーカーがあげられると思う。また、ゲームといえば任天堂とソニー(Playstation)の2つだろう。ゲーム界隈への親しみを込めるなら、セガやSNKなど夢破れた会社のことも忘れてはいけない。
一方、BtoB企業で言えばPCメーカーやスマホメーカー、周辺機器メーカーのサプライチェーンがこれにあたるだろう。サプライチェーンとは調達→製造→販売→流通の商品販売の一連の流れのことで、いわば人間の臓器のように不可欠なものだ。
「PCの製造」を例にとってみよう。(半導体の原石の採取から行くと素材系業界になってしまうのでそこはカットする。)まずPCパーツのほとんどは半導体という回路でできている。この回路がなければこうして私がキーボードを打って出したこの信号を、内部で処理を行い、モニターに映すというところまでできない。この半導体メーカーも広義のIT企業といえるだろう。昨今ニュースに出てくる台湾のTSMC、日本の三社が合同したルネサスエレクトロニクス、この半導体を製造する機械を製造している東京エレクトロンなどだ。この辺りは半導体メーカーという区分かもしれない。
よりITらしいところで言うと、内部で処理を行うCPUという部品の製造を行っている企業だ。IntelやAMD、スマートフォンで言えばソフトバンクが買収したARMなどが有名だ。日本のメーカーはCPUよりも記憶媒体(写真やファイルを保存するもの)に強みを持っており、KIOXIA(旧:東芝メモリ)や先に登場したBUFFALO、エレコムなどが有名だ。
最後にこれらの企業と取引をし、最終的なPCやスマートフォン、サーバーの製造を行うのがいわゆるメーカー、DELLやHPE、日立や富士通などである。歴史については各社のHPやWikipediaなどを参照していただきたい。(ここで書くととんでもない量になってしまう。)
システムインテグレーション企業
さて、最後に持ってきたシステムインテグレーション企業は、単にITサービスを提供するだけではなく、利用者~管理者までが連なる「システム」を考え、実装していく企業である。
正直なところここが一番よくわからないだろう。なにせBtoCという我々消費者向けのビジネスをやっていないため想像しづらいし、体験した人間でなければ伝えるのは難しい。というわけでたとえ話を持ってきた。
読者のあなたが企業に属していたとする。もちろん給与は欲しいだろう。その給与はどうやって決めているか?一つは勤怠システムだ。勤怠状況をもとに残業や病欠などの判定をし、それを会社既定のルールに則って反映する。この勤怠状況から給与に反映させるまでの一連の体系が「システム」だ。
これを独自のものにしたいとする。そうすると計画~実装までかなりの労力を要する。まずシステムを発注する企業の中では、社員の状況を把握したり、人事・総務などの管理部門との調整が必要になる。そもそも独自のものを作るためにはプログラマを雇って実装まで導かなければならない。そんなときに使えるのがシステムインテグレーション企業、いわゆるSI企業(SIer)である。ITベンダーという呼称もあるが、つまりは同じものを指している。
SIerはシステムの計画(要件定義)~プログラムの設計・テスト~実装・納品まで責任を持ってやってくれる。古くはPCやサーバーの実装に付随するサービスとして、お客様(システム発注側の企業)の御用を聞くというサービスから始まった、日本独自の業態である。
具体的な会社名を挙げる。海外の会社は存在しない、と言い切るのは難しいのでITコンサルタントを類似の業態とすればアクセンチュアやPwC、IBMなどは海外の会社として挙げられるだろう。一方、日本独自の業態ということで日本の企業は多い。就活する皆さんはご存じだろうがNTTデータや野村総研、CTC(伊藤忠テクノソリューションズ)やSCSK、日立システムズやメーカーで登場した富士通、BIPROGYや富士ソフトなどが大手になるだろう。そのほかのSIerもたくさん存在するが、規模次第ではあるが、あまり行かないほうがいい気がしている。(詳しくは後の記事 - エンジニア編 にて)
まとめ
本記事は定期的に見直して更新をかけようと思う。カオスマップの作成などをしてもっと参考になる記事として練り上げていきたい。
後半の記事では職種別解説としてIT業界独自の職種「エンジニア」にフォーカスを当てる。
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