見出し画像

[スペイン語通訳者インタビュー]石井裕子さん(4)


現役で活躍中のスペイン語通訳者へ、インタビューをしています。現在、お話をいただいているのは石井裕子さんです。前回は、通訳のお仕事をスタートして、ご家族のことなどいろいろな思いを抱きながらお仕事してきたということをお聞きしました。

☆これまでの記事:第1回第2回第3回

* * *

――通訳って、度胸がないとできない仕事だなあとすごく思います。

度胸というんでしょうかね、それはもう現場ではおそろしい緊張に襲われます。緊張を通り越してわけがわからなくなるというか、へんな話、雑念がぜんぶ飛んでしまう。家のこととかプライベートなこととか、たとえそのときに何か悩みがあったとしても、そんなことにかまってられないくらい、通訳の現場では集中を強いられるんですね。

自分の訳した言葉をちゃんとわかってもらった感覚があって、それを聞いた相手から的を射た質問が出てきたりして、ああ、伝わっているな、と思うと、わーっとその言葉の世界へ入っていくんです。逆に、その世界に入れていないなって思うときは、何かが上手くいっていない証拠で、自分で少しずつ調整しながら集中した世界に入っていけるようにしています。

そこに入ってしまうと、妙に静寂な気持ちになるんです。ゾーンと言うんでしょうか。そういう状態で仕事を終えると、ものすごく気持ちがいいんです。ああ、いい時間が過ごせたなあ、と思えるんですよね。もしかしたら、それを味わいたくてまた怖いところへ行くっていう、中毒みたいなものかもしれません(笑)。

もちろん、失敗することはあります。その度に“脛(すね)”に傷を負って帰ってくるわけですけど。その脛の傷が増えていくと、現場に立ったときに「ここは気をつけないとまた同じ失敗をするな」と脛の古傷が痛んで教えてくれることがあります(笑)。あと、失敗しても立ち直りが早いというのは、通訳者に必要な素質かもしれません。

画像1

――今まででいちばん勉強したと思われるのはいつごろですか?

いちばん勉強したのは、子どもを育てながら、長い仕事ができなくて、短い仕事を引き受けながら通訳の学校に通っていたころですかね。まだまだ違う世界が見られるかな、今とは違う世界に行けるかな、と思っていました。

ただ、今年は忙しすぎてあんまり勉強できなかったですね。通訳学校に通っていたころのほうが、ずっと広い分野の単語や文章にふれて、いろいろな知識を身につけていたと思います。今年は、仕事でアウトプットばかりしていて、インプットする時間と体力がないなあと感じています。これでは他の通訳者の皆さんに置いていかれてしまいますね!

先輩の通訳者の方々を見ていると、本当に皆さん、たゆまず勉強されていますから。少し年齢的に上の方々が本当にお元気だし活躍されているから、皆さん、私にとっては希望の星です。もし、あのまま銀行勤めをしていたら、今頃、第二の人生をどうしようとか、そろそろ退職かしら、なんて考えていたかもしれないけど、今、私のまわりには素晴らしい先輩がたくさんいるから。なかなか追いつけないと思うけど、自分が歳だなんて言ってられないです。

――勉強されていたころというのは、具体的にどんな勉強をされていましたか?

一時期、自分でホームページを作るくらい、サイトトランスレーションにのめり込んでいました。インターネットなどでスペイン語の記事を選んで、それを前から順番に訳して、自分だったらこういう風に通訳をする、というのを考えて書いて、サイトに載せてていました。

サイトという媒体を利用したのは、当時、自分でホームページを作るのが流行っていたのと、サイトに書きこむことで、この単語はこう訳す、この構文はこう訳す、というのを自分でフィードバックして、いつでも見返して自分の中に落とし込めるようにしていました。そのうち、たまたまホームページを見た方から「まだ更新しないんですか?」なんて言われるようになって、なんとなく義務のように感じ始めたらかえって更新できなくなってしまったんですけど。

画像2

(第5回に続きます)

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

note.user.nickname || note.user.urlname

お読みいただき、ありがとうございます。私は書くことが好きです。伝えることが好きです。私が書いて伝えることを続けるためのサポートを、あなたからしていただけたら、とてもうれしいです。(本橋)

¡¡Muchísimas gracias!!
4
通信添削と溜池山王教室のスペイン語スクール、イスパニカです。代表の本橋が更新しています。 イスパニカのホームページはこちらです。 http://www.hispanica.org/
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。