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【服部奨学生インタビュー #1】 第13期奨学生/ニケライ・ベッヘナーゼ(東京大学)

服部国際奨学財団には、年齢・国籍・専門分野を問わず、多くの奨学生が在籍しています。今回は、名古屋大学の服部ホールで、現役服部奨学生のニケライ・ベッヘナーゼさんにお話を伺いました。

─まずは、自己紹介をお願いします。

ニケライ
東京大学総合文化研究科、多文化共生・統合人間学プログラム(IHS)修士1年のニケライ・ベッヘナーゼと申します。よろしくお願いします。

─どのような研究をしているのか教えてください。

ニケライ
私はざっくりというと移民研究を行っていますが、移民研究ってかなり学際的な分野で。私はその中でもとりわけ教育の分野を中心に扱っています。
具体的に説明しますと、日本における在留外国人の方が抱える言語の問題。特に日本語教育の問題にフォーカスして、共生という視点を視野に入れながら、研究を進めています。他にも私自身、言語教育政策であったり、法律に関わる分野にも興味があります。

第13期奨学生のニケライさん

─この研究をしようと思ったきっかけは何ですか?

ニケライ
自分の両親だったり、周囲だったりを含めて、日本語を困難としている人がすごく多くて。それで、より深くこの分野について学びたいと思いました。そして何より、自分自身、研究する意義を強く感じて生きてきた部分があったからですね。
私は今も実家で暮らしてるんですけど、母に限らず、父も日本語の読み書きができなくて。母の方がまだ父よりはできるんですけど、それでも漢字はまだまだ難しいです。でも、仕事とか、学校からのお便りとか、普段生活してて「読み書き」を必要とする場面ってすごく多くて。それができなかったことで、色々と問題になることがあって。例えば「この期日までに出さなきゃいけない」っていうもの。もちろん、一番困っていたのは両親なんですけど、代わりに読まなければいけない立場にいる私や姉も大変なことはあって。
そうやって、当事者に近い存在として、色々と葛藤してきましたし、やっぱり両親を見て色々と感じることもあったので、こうした教育の問題を解決していくためにはどうしたらいいのか研究しようと思いました。

─ご自身の実体験から導かれたテーマだったんですね。

ニケライ
そうですね。違うことを研究することもできたんですけど、やっぱり移民研究の中で一番やりたいのは教育の分野だったので。

─大学院ではどんな環境で研究されていますか?

ニケライ
私の専攻は言語情報科学専攻というところで、言語を研究する人が集まってるところなんです。私が所属しているゼミは結構留学生が多くて、色々な国出身の方々と、一緒に肩を並べて学んでいます。留学生が多いゼミということもあって、私自身留学生と勘違いされることも多くて。英語で話しかけられることもあります(笑)

東京大学 大学院入学式

─服部奨学金に応募したきっかけは何でしたか?

ニケライ
色々な民間財団のなかで、服部財団をぱっと見たときに、給付で月10万円っていうのは額が大きくて。そこにびっくりしたと同時に「ほんとに?」っていう…なんというか、疑いと驚きみたいなのがあって(笑)。かなりインパクトがありましたね。
あとは、財団の名前を見たときに「国際」って書いてあって。どういう点で「国際」なんだろうと思って調べてみたら、留学生が多く在籍していて。年齢とか、専攻、国籍、地域、色々なバックグラウンドを持った人たちと交流できるっていうところに、すごく魅力を感じたんです。対面行事も豊富だったし、それで応募してみようと思ったっていう感じですね。

─怪しさは解消されましたか?

ニケライ
もう解消されました(笑)。給付の振込日が期日から遅れることもありませんし、行事で連れて行ってくださるところがとても素敵で。怪しさはすっかり無くなりました。あと、私は関東に住んでいるのですが、対面の行事で名古屋に行くとなると、新幹線代とか結構お金がかかってきて。そういう費用も月額10万円とは別に振り込んでくださるので、安心しました。

─奨学生との交流で、どんなことが心に残っていますか?

ニケライ
去年、大学院の進学で悩んでいた時期があって。その時に実際に院に進学した服部奨学生の方とのお話がすごく参考になりました。モチベーションアップにも繋がったし、すごく刺激を受けて。
去年の10月に京都の研究旅行があって、そこでたまたま同じく研修旅行に参加されていた方とそこで少しお話をする機会があったんです。その方は、学部卒業後はストレートに修士課程に進まれたんですけど、そのあともう1回受験して、別の大学院の修士課程に入学されていて。「そういう道もあるんだ」っていう。大体みんな入ったらもうずっとそこの大学にいるものだと思っていたので。

2022年度・京都研修旅行
宴会風景

─研修旅行にはどんな思い出がありますか?

ニケライ
私は中学の修学旅行でも京都に行ったんですけど、研修旅行は内容が違っていて。舞妓さんの舞踊を見たり、平安神宮でお祓いしてもらったり。中学の修学旅行ではそういった機会はなかったので、とても貴重な経験でした。
服部財団ならではの、研修旅行で行かなければ経験できなかったことだと思うので、 本当に感謝しています。大学院進学後もこうして継続して採用していただいて、こんなに素晴らしい経験までさせていただいて。何らかの形で財団には恩返しがしたいと思って、何度かイベントでスタッフをやらせていただきました。これからも少しずつ恩返しをしていけるよう、頑張ります。

研修旅行での舞踊見学
先日の授与式でも、公式行事の運営をお手伝いしていただきました

─最後に、将来の夢を教えてください。

ニケライ
私がいま行っている研究や、今後行っていく活動によって、何らかの形で社会に貢献できたらいいなと思っています。在留外国人の方の日本語教育をめぐる問題だったり、当事者の葛藤だったりを解消する一助となるような論文を書きたいし、彼ら彼女らの役に立てるような活動をしていきたいです。日本社会と、そこで困難を抱えて生きる人々に寄与できたらと思っています。

* 服部国際奨学財団では、国籍・専門分野を問わず、社会的課題に強い関心と問題意識を持ち、その解決を目指した学修・研究に取り組む学生、また、経済的理由により修学が困難な学生に対して、月額10万円の給付型奨学金による支援を行っています。新規奨学生募集情報は、noteブログ・公式HPで随時公開いたします。お問い合わせはHPのフォームより受け付けております。

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