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The Trusted Advisor

 "お客様にとってのTrusted Advisorになりなさい" ここ十数年上司やその周りの人達から口を酸っぱくして言われ続けてきました。日本語に訳すと"信頼できる助言者"ですが一体何のことで何故大切なのでしょうか?


 先ず大前提として人の悩み事は尽きないことがあると思います。人は多かれ少なかれ何らかの悩み事を抱えて日々を過ごしています。企業も人の集合のため組織として何らかの悩み事を抱えて企業活動を行っているはずです。

 次に悩み事は複雑で自社だけでは解決できないことです。特にデジタルの世界では各々のテーマに沿って専門領域が細分化されており、各領域の専門家を名乗るベンダーやサービスプロバイダーが存在します。

 企業はこれらの複数のベンダーやサービスプロバイダーと会話しながら悩み事の解決策を探ります。

 最後に企業は自社の悩み事を解決してくれる策を探しています。これは全ての業種/規模の企業に共通して当てはまる事実と言って良いかと。

 ベンダーやサービスプロバイダーは、自社の製品やサービスをより多くの企業に採用してもらうことで自社の社会的価値を高めて自社に投資してくれている株主の期待に応えることが基本的な使命です。

 それと同時に、自社の製品やサービスを利用して相手企業の悩み事を解決して企業活動を支援することも重要なミッションです。製品やサービスを販売することだけがミッションではありません。


 私はTrusted Advisorとは、自社の悩み事をより深く理解してくれる人や組織だと理解しています。これはこちらの書籍にも明記されており定量化できる公式も公開されているのである程度信じて良いのではないでしょうか。

Trust = (C + R + I / S)P


 CはCredibilityで日本語で信頼とか信用のことですね。特に組織の中でSolutions Engineer/Sales Engineerと名乗る人は、相手企業からすれば"この人は営業じゃないから自社の製品やサービスの話の前にうちの悩み事を聞いてくれるんじゃないかな?" といった期待を持たれるかと思います。

 製品やサービスのデモを行う前に相手企業の悩み事についてプロアクティブに質問をして、どんな悩みで理由は何でほっといたらどんな損失が出てしますのかを良く聴くことが求められます。

 プロアクティブに質問するためには、事前に相手企業のことを調査して自分なりの仮設を持つことが大切です。相手企業のことを何も知らないと質問できないので。


 RはReliabilityでCとほぼ同義です。プロアクティブに質問して相手企業の悩み事をより深く理解(するように努めたら)したら、悩み事の根本的な質を高めるためのアクションプランを提示します。

 一般的にはデモやワークショップ、その場で受けた質問の調査がアクションプランに入ってくるかと思います。その際、相手企業に約束した期限や質を必ず守ることがCを高める鍵になります。約束できないことは約束しないことが重要ですね。


 IはIntimacyで日本語で言うと親密性です。繰り返しですが企業も人の集団ですので、自社の悩み事をより深く理解しようと努める人や集団に親近感を覚えると思います。

 ただし、相手とどうでも良い与太話だけしていても親近感は上がりません。ビジネスの会話は飲み会でする会話とは違うので。


 SはSalf-orientationです。数値が小さいほどTrustは上がります。先にも触れたとおり、自社の製品やサービスをより多くの企業に採用してもらうことで自社の社会的価値を高めることも重要なミッションです。

 しかしながら、このミッションだけにフォーカスしてしまうと販売することだけに集中してしまい、"相手の悩み事は良くわからないくてうちの製品で解決できるかわからないけどとりあえず売っちまおう。数字厳しいし。"となって自社のTrustは下がります。


 PはProblemです。この数値が大きいほどTrustは上がります。これはProblemの大きさとイコールではありません。Problemの質も含まれます。

 得てして企業は各々のテーマの専門家では無いため、自社の悩み事の根本的な原因が何でそれをほおっておいたらどんなことが起きるのか理解できないかと。

 相手企業から聞いた表面的な悩み事にフォーカスするのではなく、その悩み事に関連する(と思われる)あらゆる事柄について問を投げかけながら、本質的な悩み事にフォーカスすることでTrustは上がりますね。

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