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ゆっくり沈んでいく島「キリバス共和国」

ゆっくり沈んでいく島「キリバス共和国」とは?


キリバス共和国と聞いても「どんな国なのか」と疑問に感じている方もいるのではないでしょうか。

また、キリバス共和国で「どんな問題が起きているのか」「経済状況はどうなのか」を知っている方も少ないと思います。

キリバス共和国の経済は、自給自足が多いことから就業率も低く、一人当たりのGDPも低いのが現状です。

また、気温の変動から「ゆっくり沈んでいく島」とも呼ばれています。

一見すると、日本と関係ないように思えるキリバス共和国ですが、キリバス共和国は中国と外交を結んでいることから、日本も注目しておくべき国なのです。


そこで、今回はキリバス共和国について詳しくご紹介していきます。


キリバス共和国とは?


キリバス共和国とは、太平洋に浮かぶ33の島で成り立った海に囲まれた小国です。

キリバス共和国の面積は811kmで、長崎県の対馬ほどしかありません。

ただ、散らばっている島の東西は3,200kmのため、資源などを国が独占することができるエリア「排他的経済水域」では、世界第3位となっています。

キリバス共和国が建設された頃、広大な土地が点在していることから、島によって日付が違う問題が発生していました。

そこで、1995年に日付変更線を東端にズラすことにしました。

ところが、今まで真っ直ぐに伸びてした日付変更線は、ハワイの南で大きく東側に曲がってしまったことから、世界で一番早く、新しい一日を迎える国となったのです。

キリバス共和国の主な産業は、漁業・コプラの生産です。

しかし、一般的に自給自足を行っている国ため、就業人口は全体の 10%となっています。

この事態を受けて2007年には、熟練労働者を移住して日本、アメリカ合衆国、オーストラリアにキリバスでの職業訓練支援を呼びかけています。

キリバスの伝統的な食べ物は、タコノキのみを薄くスライスしてココナッツクリームをふりかけたスクリューパイ。

刻んだたまねぎとカレー粉にココナッツクリームを混ぜ、イモの葉を被せて、オーブンで焼くパルサミ料理などがあります。


キリバス共和国の歴史


キリバス共和国の先住民は、約2000年前にカヌーに乗ってやってきたミクロネシア系の人々です。

また、最初にキリバスに辿り着いたのは、1537年にクリスマス島に上陸したスペイン人航海家です。

1777年には、イギリス人のジェイムズ・クックがキリバスに上陸し、19世紀初めからヨーロッパ人による経済活動が始まっていきました。

1892年には、ギルバート諸島がエリス諸島と合わさって「ギルバート・エリス諸島」が出来上がり、イギリスの保護領となりました。

1916年には、キリバス共和国は植民地と変化していったのです。

第二次世界大戦中の1941年には、キリバスを植民地としていたイギリスの政府を追い出し、

大日本帝国に占領され、一部の島は要塞化されていきました。

その2年後の1943年は、アメリカ軍を相手に「ギルバート・マーシャル諸島の戦い」が行われ、1956年〜1962年には、クリスマス島がイギリスとアメリカ両国の核実験場とされました。

そして、1978年には、キリバス共和国は独立をしていきました。


キリバス共和国の外交


キリバス共和国は、1980年から中華人民共和国と国交がありました。

2003年には、中華民国(台湾)と外交関係を開いて、2019年に中華人民共和国と復交しています。

2022年には、中国が主催する中国・太平洋島嶼国外相会議に出席をし、オーストラリアなどが参加している「太平洋諸島フォーラム」から脱退をしました。

このことから、アメリカは中国の影響力を止めていくため、キリバスにアメリカ大使館を設置すること決めたのです。


キリバスは、ゆっくり沈んでいく


キリバス共和国は、クリスマス島があることから観光地として知られています。

しかし、綺麗な海があるキリバスでは世界的な気候変動によって海面が上昇してきています。

一般的にキリバスの平均海抜は、約2メートルのためすぐに沈むというわけではありません。

そのため、キリバスは「ゆっくり沈んでいく島」としても有名な国なのです。

しかし、海抜が低い島では、高波などの自然災害が起こってしまうと大きな影響を受け、そのまま島が沈んでしまう可能性があります。

2007年8月には、アノテ・トン大統領が「キリバスの水没は免れない」と明言しています。

2015年には、この事を恐れてアバヤン島沿岸のテブンギナコ村の村民200人以上が、内陸部に移住したとも言われているのです。

キリバス政府は、この現状を少しでも改善しようと、2014年2月11日にフィジーに約20kmの広大な土地を購入しました。

また、フィジー共和国のエペリ・ナイラティカウ大統領も「キリバスの国土が水没した場合、キリバスの全国民をフィジーに移住させる用意をしてある」と明言。

しかし、キリバス共和国も住民を受け入れると言ったフィジーも、先進国ではないため経済的に豊かではないため、移住は難しいのではないかと問題視されています。


まとめ


今回は、キリバス共和国についてご紹介しました。

キリバス共和国は、クリスマス島があることから人気の観光地です。

しかし、経済面などを見ていくと、発展途上国ということもあることから一人当たりGDPは約1,700ドルで、後発開発途上国に指定されています。

また、気温の激しい変動によってキリバス共和国自体がなくなってしまう可能性が高く、どのように解決をしていくかが注目されている国なのです。

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