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レポート:オンライン発信塾第4回「協力者を集め、前に進むには~クラウドファンディングで農業実践の事例~」

この記事では「地方のカチを高めるオンライン発信塾~しょうおう志援塾2020~」の第4回「協力者を集め、前に進むには~クラウドファンディングで農業実践の事例~」についてまとめたいと思います。11月6日(金)に開催されました。

 オンライン発信塾の概要、前回第3回のまとめについてはこちらをご覧ください。

1.農業に誇りを持てるように

 今回の講師は、岡山県瀬戸内市で農業生産法人「株式会社 いぶき」を経営されている若き社長 梶岡洋佑さんにお願いしました。21歳の学生の時から起業し、28歳の社長として活躍されています。私が梶岡さんのことを知ったのは、梶岡さんのクラウドファンディング

 若くして会社経営をされているのも驚きでしたが、クラウドファンディングの中に「農業の魅力は、お金で測れない価値を生み出すポテンシャルがあること」とあるのに目が留まり、講師をお願いしました。この研修は「地方のカチ」をともに学ぶことを目的としており、ピッタリの方だと感じました。

 梶岡さんは、会社経営をされている従兄弟の影響から大学進学前から起業を志し、大学の法学部に進学。起業しても法律を知っていると何かあっても役に立つかもしれないと理由でした。そして、起業するにあたり「誰もやったことがないから」というで農業で学生ベンチャーとして起業をします。もう一つの理由として出身の真庭市は農業が盛んだが、若い人が減っているという現状もあるところでした。高校生の時から一貫して起業に向けて考えていることに驚きでした。

2.周りが気の毒に思うくらい働く

 大学卒業後、23歳の時に1000万円を超えるの借金をして付き合いのあった方から農場を買い取り、現在の瀬戸内市に移ります。

 梶岡さんは農場を引き続いて3年間5000時間くらい働いたそうです。農場のそばのテントの中の小屋で寝泊まり、文字通り朝から晩まで働き詰めをしたそうです。この時の過酷なエピソードの数々を紹介していただきましたが、ここでは割愛します。これにより元々農場をしていた方から教えてもらいながらの農業の実践をしノウハウを学んだそうです。

 それだけでなく、周囲の農家さんや住民も気の毒だと思い、応援してくれるようになったそうです。梶岡さんは、人生のうちで一瞬は周りが気の毒と思うくらい働くことも大事だと説明されました。農場の作業の様子をYouTubeにアップされています。

3.大きな夢:食から子どもの未来に貢献

 梶岡さんが農業を通じて大きな夢を感じたのは、学生時代に付き合いのあった農場の美味しい野菜を売っていた時のことだそうです。保育園で野菜を使ったおやつを提供して喜んで食べてくれたり、野菜を販売すると親御さんから「野菜を嫌いな子が喜んでおかわりしてくれた」との感想をたくさんいただいたり、野菜の可能性や子どもと関わる喜びを感じたということです。

 梶岡さん同様学生ベンチャーで起業する人はIT関係が多く、そちらでは実績を作ると多くのお金が得られます。一方、農業は作った分しか売れず、大きなお金が得られないと考えられます。しかし、「こういう子どもに関わる価値の出し方は、お金で測れない勝ち負けを生むことができる」と誇りを書感じ、子どもの偏食を防いで病気を防ぐことで「食から子どもの未来に貢献できる」。梶岡さんはこうした思いをで、働く人も誇りを持って働くことができると考えています。

4.クラファンを通じて夢を伝える

 クラウドファンディングでは、この夢の実現のために野菜スイーツをつくるための農産物加工所をつくる計画を立てます。これまでクラウドファンディングでは手数料がかかることが気になっていたところ、ちょうど友人に「SDGs マッチングギフト」という「支援を受けた金額分、協賛企業からもお金を得られるという仕組み」を教えてもらい、開始したということです。加えて、農業体験者向けのトイレを整備する予算も調達を計画します。

 クラウドファンディングで活かされたのが、日ごろからの人間関係だったということです。先に協力する、なんでもやるという気持ちで頼まれたことはできる限り手伝ってきた梶岡さん。留学生をサポートしたり、農業体験のサポートをしたり、マルシェをしたり、カタログのモデルのバイトをしたり、こうした活動が結果的に味方になったそうです。

 さらに、クラウドファンディングをして良かったことは、自分の想いを自分の言葉で文章にしたことだそうです。本当は「マッチングギフト」の担当の人がもっとサポートしてくれるかなと思っていたようですが、これも結果的に自分のことばで文章にしたことで、このクラファンのサイトを読んで心から応援してくれる人がたくさんいたようです。

 梶岡さんのことば「現実的な経営をしようとしたら、小さく小さくなってしまう。でも、例え自分が1000万円借金をしても後悔がないくらい、興味がある、大きな夢のあることをすることが大切、それによって応援してくれる人が増えてくる」と言われていたのが印象的でした。私にとって、1000万円の借金なんて考えたことなかったですが、夢のためにそこまでかける想い、かっこいいと感じるとともに、私自身を夢について見つめ直しました。

5.3haの農場の魅力を伝えるために

 質問時間では、効率化された農業との差別化についてお話を伺いました。梶岡さんの農場は、スーパーなどで販売している野菜の農場とは違う小さな農場で、年間約50品目という多品種を生産するという効率とは逆の方向をいっています。しかし、農場のそばの無人直売所では、年間約1000万円を売り上げるという驚異的な販売所です。その理由として、少し見た目が整っていなくても安くて美味しいものを提供ができることでリピーターがついています。商品の形や性質によっておすすめの食べ方のポップをつけることでお客さんに商品の良さを感じてもらうことができる、という秘訣を紹介してくださいました。

 それ以外にも、JAなどに卸さず売り先を作ってスーパーでも直接販売をしています。販売先のスーパーにとっては、多品種のためここで一通りの野菜が買えるということなどメリットがあるようで、多品種の良さを活かして販売されています。

 私もご挨拶に伺った時にたくさん野菜を買い、美味しくいただきました!ぜひお近くに来られた際は買いに行ってもらいたいです!「日本一の駄菓子屋」のそばです。

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【この記事は、こちらのメンバーと刺激しあって作成しています】
 私は「Locally Driven LABs(LDL)」のプロジェクトの1つ“地方のオンラインの普及と価値の創造“にも所属しています。ここでは、参加者同士でオンラインツールの情報共有を記事にしています。地方で実践しているメンバーがオンラインツールの使用感、参考事例などを話しており、資料としても活用できるよう整理しています。

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