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大学教員・研究者になるには

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卒業研究・修論研究を経て研究者になろうと考えている方々向けの記事を集めていきます。大学教員・企業研究者など。
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2022年6月の記事一覧

第6章 科研費を獲得するー科研費の審査はコンペである(1)「マーケット」を意識する

大学専任教員の仕事の2本柱は、教育(主に授業)と研究です。これに、大学行政の仕事である「校務」が加わります。非常勤講師には校務の義務がなく、授業のみを担当しますので、その分専任教員よりも報酬は安くなります。 昨今の大学は、少子化に伴い受験料収入や学費収入の伸びは年々期待しづらくなっており、外部資金獲得に力を入れています。 代表的な外部資金として、文部科学省科学研究費補助金(科研費)があります。研究を担う大学専任教員や各種研究機関の研究員などから提出された「計画調書」(自身

大学教員公募で工夫したこと:「公募餌に群がる魚群の1匹」から釣り手を唸らせる「金の魚」になるには

魚釣りをするとき、我々は餌を撒くか、餌付きの針を水面下に垂らします。仮に魚が多くいるところであれば、時には魚群が押し寄せてきます。ふつうは、そのうちの一匹が連れればいいやという感覚で釣りをします。ここで、餌に食らいつく魚群が目に見えるとしましょう。そして、魚群の中に、ひときわ大きく艶も申し分ない魅力的な個体がいたとします。釣り人は、是が非でもその魚を釣りたい!と強く願うでしょう。この瞬間、釣り人と魚の立場は逆転します。釣り人は、その魚の魅力に釣られているのです。 回りくどい

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研究者としてのキャリアを総合的に考える: 知っておくべきこと

アカデミアでのキャリアは簡単ではありません。自分の研究だけでなく、一緒に働く人たちにも気を配らなければなりません。しかし、すべての研究者がアカデミアに向いているわけではありません。研究者が自分の仕事に情熱を持てないこともあるでしょう。そうなると、憧れの職業であるにもかかわらず、アカデミアを敬遠してしまうかもしれません。もしあなたが研究者で、大学でのキャリアを考えていたら、この記事を読んでみてください。アカデミアで研究を続けることの利点や課題、研究者としてアカデミアで成功するた

【未来の進路】 教育系の独立研究者になる方法を模索する

はじめに博士課程院試の一次選考の結果が発表された。一次選考は書類審査だが、合格していた。面接は、来月の上旬にある。このまま僕が博士課程に行けるのかどうかはわからないが、これからの進路を最近、よく考えている。今日はそんな僕が考える進路の1つ「独立研究者」という進路について考えていきたい。 ①独立研究者とは何か独立研究者というのは、研究者だけれど、大学・国・企業などの研究機関に属していない研究者のことを言うらしい。なるほど、そういう「研究機関」から「独立」しているから「独立研究

第6章 科研費を獲得する−科研費はコンペである(2)科研費に採択されるための業績の作り方

科研費に採択される計画調書を書くために必要な項目として、「応募者の研究遂行能力及び研究環境」において「これまでの研究活動」を記入する欄があります。 「これまでの研究活動」には、研究代表者(研究分担者がいる場合は研究分担者)の研究論文リストを記載します。 ここで注意すべき点は、研究計画に関連のある論文かつなるべく新しい論文のタイトルを記載するということです。 研究分担者がいない場合は15点程度、研究分担者が2 人の場合は研究代表者7〜8点、研究分担者各3〜4点程度の研究論

No.10理解しがたい大学教員というお仕事

2023.4から1年間、夫のフランス・ブザンソンでの海外赴任に向けて準備する駐在妻予定のnote。 私の夫は35歳で大学教員になりました。 それまでは民間の研究機関を転々としていました。 民間の研究機関というのは殆どが期限付きの契約社員で、研究と就職活動を同時並行でやらなければいけません。 言葉で表すと簡単なようですが、研究と就活を同時にするのはとても難しく、精神的にも疲弊します。 当時の私は大学教員になることの厳しさを全く理解していませんでした。実感したのは、夫がある

まだ大学院行かずに消耗してるの?

博士課程の中間報告がひと段落してヒャッハー!!!って気分なので、noteを書く。 (明日も実習だけど気にしない。) 今日の大学教員は、悲しいかな、真面目に働けば働くほど大学業務に追われ、研究からどんどん遠のいていく・・・。 しかしながら、過去記事でも述べたが、研究業績がものを言うのが大学という組織なのである。 じゃあいつ研究するの?今でしょ!わかっちゃいるけど、目の前の山積みのタスクを優先し、研究までたどり着けない。 みなさんは「時間管理の4領域」をご存じだろうか?

大学教員採用への道 〜1戦目〜

こんにちは。 Akita(あきた)です。 今回、大学教員になるための経験を記事にしていきたいと思います。 このトピックスにどれほどのニーズがあるかわからないので、興味のある方、この情報を多く知りたい方はコメント等をもらえるとありがたいです。 まず、私の簡単な経歴を記載しておきます。 ーーーーーーーーー 現在、医療系学部の教員4年目(任期付き助教)です。 大学院卒業後、多くの教員採用にチャレンジをしてきました。 結果的に、現在の大学のポストに落ち着くことになりましたが、現

研究・執筆・発表の基礎をしっかり学ぶ【石原尚のnote記事一覧】

大学・大学院で学んでおきたい研究・執筆・発表の方法を「基礎からしっかり」学んでいただくための解説記事の一覧です。ご卒業後の学び直しに。在学中の自学自習に。大学研究室での教育の教材に。中学・高校での探求学習の参考に。ご自由にお使いください。すべて無料で最後までお読みいただけます。 記事を気に入っていただけましたら、より網羅的かつ体系的に研究・執筆・発表の実践的な技術と学び方を解説している拙著『卒論・修論研究の攻略本』も是非ご覧ください。卒業研究や修士研究を楽して早く終わらせる

大学教員になるためにすべきこと:公募の書類作成、面接、模擬授業に向けて(更新用)※2023年4月3日更新

 私が執筆した中で最も閲覧数が伸びているのは、大学・研究関連の記事です。大学教員公募に関する有料記事へのアクセスも伸びています。ご購入いただいた方、感謝申し上げます。  本記事は、1か月に1度くらいを目途に更新しつつ、私が執筆してきた大学教員公募、学振、研究関連の記事の道案内的な役割を目指すものです。トップに固定しているのは、こうした理由からです。  最後の部分では、私が公募戦線で戦うにあたり、特に参考にさせていただいた記事を紹介させていただきます。公募は、学問分野によって状

大学教員公募裏ワザ白書~短編エッセイ:科研採択で業績アップ~

皆様ごきげんよう、某私立大学で専任教員として勤務している「裏ワザ暴露太郎」です。 今回は短編エッセイ的に、「科研採択による業績アップ」についてお話したいと思います。 無料なので最後までお付き合いください(*^-^*) ご存じの通り、科研とは「科学研究費助成事業」の略であり、研究を発展させることを目的とした助成金事業です。 この助成金はもちろん競争的資金であり、「科研に採択される=研究者としてのステータス」に繋がります。 私も科研に初めて採択された時は、「やっとこれで研究者

今度こそ自己紹介

前回、自己紹介と書いておきながら ほぼnoteを始めた動機だったな、と思い改めまして自己紹介です。 ・Akane(29歳, 女性) ・2021年3月に博士後期課程終了 ・2021年4月より助教着任, 現在大学教員2年目 ・研究分野はどっちかっていうと文系。ジェンダーもかじってる分野 ・留学経験等なし ・現在はやめの産休中 キャリアについて 学部→修士→博士とストレートに進学し、 運よく博士修了と同時に就職できました。 と言えば聞こえはいいですが、本当にアカデミックへの就

【生々しい話】大学教員になれるか、なれないかー両者を比較ー

大学・研究業界の生々しい話、現実について綴ります。大学教員を目指して奮闘中の公募戦士にはなんとしても戦線を勝ち抜いていただきたく、研究者としての一歩を踏み出した院生の皆さんにはやがて直面する現実への備えをしていただきたく、研究者を志す学部生・中高生には覚悟を固めるために現実をお見せしたく、錯綜する気持ちを正直に本稿に込めます。自分の体験談と、身近にいた(いる)方のかなり生々しいお話しです。 モチベーションを是非上げていただきたく、今回は大学教員に「なれた」後の話から始めます

第5章 「好きなことを仕事に」上級編−アカデミックポストを獲得する(3)大学専任教員を目指した就職活動

大学院博士後期課程3年次には、修了後の進路を決めるため、博士論文の執筆と並行して「就職活動」を進めることになります。 大学専任教員を目指した就職活動は多くの場合、"研究者・研究支援者・技術者等の研究人材のキャリア形成・能力開発を情報面から支援する研究人材のためのポータルサイト"J-RECINを通じて公募情報を探すことから始まります。 J-RECINでは、「キーワード」「研究分野」「職種」「複数条件」のタブから公募情報を検索することが可能です。 たとえば、観光学分野の教員