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ひさのメモ⑦事象を深く理解する~質的研究の概要とポイント~

研究スタイルは大きく量的研究(数値で表す研究)と質的研究(ことばで表す研究)とに分類される.尺度開発などの研究では,どちらの研究スタイルも必要となり,最近は両者を含めた混合研究法(ミクストメソッド)といわれる研究スタイルも登場している.

研究の第一段階である設定したリサーチ・クエスチョンのタイプによって,どの研究スタイルを採用するのか決まってくるので,質的研究の基本的な視点や方法論は知っておく必要があるといえる.

本書の構成は以下のとおりである.

1.質的研究とは
2.質的研究の理論的視点
3.質的研究の種類・方法論
4.リサーチ・クエスチョンの関係と基本的手続き
(1)リサーチ・クエスチョンの関係
(2)質的研究方法の基本的手続き:質的帰納的分析とテキストマイニング
(3)研究の質の確保:メンバーチェッキング
5.質的研究と量的研究の関係
6.質的研究の研究報告
(1)論文執筆のポイント
(2)質的研究論報告のガイドライン:COREQ声明
7.研究例の紹介

1.質的研究とは
質的研究(Qualitative Research)とは文字通り,“数値”ではなく“言葉”で表す研究であり,具体的な事例を重視し,それを文化・社会・時間的文脈の中でとらえようとし,人々自身の行為や語りを,その人々が生きているフィールドの中で理解しようとする方法の総称である.

質的研究の目的は以下に示すことなどが該当し,質的研究は仮説形成型研究ともいわれる.クライエントの背景や適応過程について,クライエントの語りを通して深く理解したい場合などが質的研究を用いた研究計画になる.

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